SAKANAMON、マカロニえんぴつ、ヤユヨ、SPRINGMAN、WON……個性でぶつかり合った4度目の『TALTOナイト 2024』

<ヤユヨ>

 「エス・オー・エス」「うるさい!」「チョコミンツ」「あばよ、」「さよなら前夜」「ふたり曜日」の6曲を演奏。スタッフや、ずっとこのバンドを追っているファンに、「今ごろ何言ってんの?」と言われることを覚悟で書くと、この日、自分がいちばん驚いたのが、ヤユヨのステージだった。

 なぜ。自分がライブを観たのが、久々だったから(1年ちょっとぶり)。で、久々に観たら、「え!? 同じバンド?」と言いたくなるくらい、飛躍的によくなっていたから。特にボーカルのリコ。片手にマイク、片手にタンバリンの曲(「エス・オー・エス」)、スタンドマイクで歌う曲(「うるさい!」)、ギターを弾きながら歌った曲(「あばよ、」)、またハンドマイクで後半ハープを吹いた曲(「さよなら曜日」)ーーどの曲も、どの時も、パフォーマーとしてすさまじくレベルアップしている。感情豊かなボーカルはもちろん、動きや表情や目線なんかまで含めて、「なんとなくそうしている」とか「とりあえずそこにいる」みたいな、ゆるい瞬間が片時もない。

 何があってこんなによくなったのか。まあ普通に考えて、とにかくライブをたくさんやった、いっぱい客前に立ち続けたことで、鍛えられた、と捉えるのが、いちばん自然だと思う。

「前にも後ろにもどんな音楽があろうとも(←対バンのこと)、私はこの曲を、自信持って、めっちゃいい曲や、って今日は歌いに来たんで。悲しい歌じゃなくて、希望の歌なんで、みんな、笑って聴いてほしいなって思います」

 というMCから歌われた「あばよ、」が、特にエモーショナルで、特にグッときた。

リコ
ぺっぺ
はな

<マカロニえんぴつ>

はっとり

 とにかくもう、このキャパのハコで、このバンドを観れること自体が、とんでもなく貴重。すっかりそういう存在になったマカロニえんぴつは、「零色」でスタートした。TALTOの前のレーベルからリリースした最初のミニアルバム『アルデンテ』、つまりTALTOのレーベルヘッドである江森弘和と最初に組んだ作品の曲で、この日のステージを始めたわけである。

 2曲目からは「レモンパイ」「poole」「悲しみはバスに乗って」「忘レナ唄」「洗濯機と君とラヂオ」「ヤングアダルト」と、超人気曲の連打。この至近距離でこれらの曲を浴びられることに、オーディエンス、狂喜しっぱなしである。

 そりゃそうよね、去年出た「悲しみはバスに乗って」や、今年出た「忘レナ唄」「poole」は、マカロニえんぴつが「この距離で観れなくなって以降」の曲だもんね、と、納得する。「末っ子だったはずなんですけど、気づいたら下にいろんなのがちょろちょろ(笑)。でも、音楽で、個性で殴り合ってる感じが、とてもいい夜だなと思います。気持ちが引き締まる1日だな、と、レーベルナイトのたびに思うんですけど、今日は特にそんな気持ちを感じながら……」

 頭の2曲を終えたところで、はっとりはそんなMCを入れた。ジャンルや音楽性が近いバンドが集まっているレーベルもあるが、というかそういう方が多いが、確かにTALTO、ここまでの5バンド、見事にそれぞれ全然違う。マカロニえんぴつとSPRINGMANなんて、ルーツは同じなのに、まったく似ていないし。

 話をマカロニえんぴつに戻すと、前述のようなキラ星のごとき楽曲たちをこの距離で浴びられる、というのと同時に、フェスではいちばんでかいステージがあたりまえ、ワンマンはアリーナがあたりまえで次はスタジアム、というバンドになったのに伴って、演奏力とボーカル力もその規模にアップしていることが、まざまざとわかるステージでもあった。もともと演奏力は高いバンドだが、スケール感が違う、鳴り方が違う。

田辺由明
長谷川大喜
高野賢也

 本編ラストの「ヤングアダルト」を歌う前に、はっとりは、「ここ(TALTO)から始まったわけじゃないんだけど、てめえで勝手に始めたバンドなんだけど、自信をくれたのはここです。そして、もっと個性出していいんだって思えたのは、TALTOのバンドのおかげです。普段はあんまり言わないけど、江森さん、ありがとうございました……過去形にしちゃった(笑)。江森さん、発掘してくれてありがとうございました。江森弘和に大きな拍手を」と、感謝を伝えた。

 アンコールは「ミスター・ブルースカイ」、TALTOからの最初のアルバム『CHOSYOKU』からの曲で締められた。それから、WONを除く全員で記念撮影し、3時間強に及ぶ今年の『TALTOナイト』は終幕した。

 なお、SAKANAMONのステージで、2025年2月に『TALTOナイト -EXTRA-』の開催が発表された。2月14日大阪・246 LIVE HOUSE GABU、15日愛知・CLUB UPSET、24日東京・shibuya eggmanの東名阪ツアー形式。SAKANAMONとSPRINGMANが出演、プラス、各公演に2組ずつゲストバンドも加わる。

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