台南のフェス『浪人祭Vagabond Festival』に行ってきた(後編) YELLOW黃宣、Gigantic Roar巨大的轟鳴…印象的だった4組

Andr

ちょっと予習しただけで速攻ファンになってしまったのがAndrという女性SSW。やはり注目を集めているアーティストなんだそうです。2000年生まれ。デビュー1年目にSpotifyの『Best of Radar 新勢力2023』にも選出。ベッドルームアーティストなムードもあり、歌声も魅力的だし、細かいアレンジに思わずニヤリ。ちょっと聴いてしまったが最後、どんどん他の曲も知りたくなり、どうやってライブするのかなと動画を漁ってしまう。この日は3ピースバンドでのパフォーマンスで、飾らないのにフロントマンとしての輝きというか引力のある存在感。野外もいいんだけど、ライブハウスでしっかり観たいと思いました。10月25日に1stアルバム『shhh, it’s under my bed』が配信リリースになったり、『SXSW Sydney』にも出演したり、これからがめちゃくちゃ楽しみです。




JOYCE就以斯

最後にJOYCE就以斯。草東沒有派對No Party For Cao Dongと同じ時間に、風獅ステージに登場した女性SSWです。オープニングは歌声はすれど姿を現さず、ステージ上にはバンドメンバーのみ。その可憐な歌声にどんなシンガーなのかと思ったら、クルクルパーマのボブヘアに、ポロシャツ、パンツ、おまけに宴会部長のように、わざとらしい立派なたすきをかけた女子が、文字通りステージに元気いっぱい飛び出してきたんです。ギャップにびっくり。愛嬌たっぷりに「Cao Dongがあそこでライブしているのにここにいるということは、全員本当のファン」というような内容をアドリブでラップ。いま若い世代を中心に人気なのだそう。この愛されキャラですもんね、納得。




『浪人祭』はスタッフみんな強火のミュージックラバーな感じがしたし、素敵なフェスです。だからこそ、「どうせ大人数が集まるんだし、社会に役立つことをしようよ」というピュアな思いもちゃんと伝わって、本気のエコフレンドリーな飲食スタイルにお客さんは協力的で、ちょっと高値になるサスティナブルな素材のマーチャンダイズにもトライできる。前回書きませんでしたが、ペットボトルの使用量を減らすための給水サービスは水筒を持っていかなくても、空になったペットボトルにも給水OKなんですよ。これってフェス会場でのビジネス的に、実はなかなかすごいことだと思います。


あと、珍しいなと思ったのはペットフレンドリーなフェスで、あちこちにワンコがいました。YeYeのライブを見せているカップル。この子の名前はマルちゃん、ちびまる子ちゃんからつけたそう。キャップはHYUKOH×落日飛車Sunset RollercoasterのHOTなツアーグッズではないですか。最高。ペットがいても、日傘を使っていても、座っていても、誰も文句を言いません。それぞれが迷惑にならないように気をつけているし、嫌だと思ったら自分が離れたらいいのだし、自然と譲り合って同じ場所で気分よく過ごせるようにしてるんですよね。理想的です。




スタッフも出演者もお客さんもみんな、『浪人祭』への愛を会場に連れてきているんだなと思いました。いろんなフェスの主催者にも、ぜひ観てもらいたいフェスでした。また行くぞー! 日本のアーティストのブッキングを手伝いたい!
台南のフェス『浪人祭Vagabond Festival』に行ってきた(前編) 環境とローカルに配慮した現地の模様をレポート
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