中島健人「ピカレスク」バイラル首位獲得 アーティストとしての大きな転換点となる一曲

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの11月13日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:中島健人「ピカレスク」
2位:超特急「AwA AwA」
3位:ROSÉ & Bruno Mars「APT.」
4位:CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」
5位:ピラフ星人「ピラピー」
6位:THE JET BOY BANGERZ「UNBREAKABLE」
7位:JIN「I'll Be There」
8位:Liza「PARALLEL feat. 7」
9位:OUS BRIAN「俺は俺」
10位:INI「WMDA(Where My Drums At)」

 今週のSpotifyバイラルチャートは、新たな楽曲の台頭と継続的な人気を誇る楽曲が混在する結果となった。特に注目すべきは、1位に輝いた中島健人「ピカレスク」、2位の超特急「AwA AwA」、そして3位のROSÉ(ロゼ)とブルーノ・マーズの「APT.」のランクインだ。1位の「ピカレスク」は、今週初登場ながら圧倒的な支持を集め、ランキングトップに躍り出た。また、2位の「AwA AwA」も今週新たにランクインし、人生をゲームになぞらえた独自の世界観でリスナーを引きつけている。一方、先週1位だった「APT.」は3位に後退したが、依然として安定した人気を見せている。CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」が先週10位から4位へと大きくランクアップした点も興味深い動向だ。

中島健人「ピカレスク」Music Video

 このように多彩な楽曲がひしめくチャート動向のなか、今週注目したい楽曲が中島の「ピカレスク」である。Sexy Zone(現・timelesz)の元メンバーである中島のソロデビューアルバム『N / bias』から先行リリースされたリード曲だ。この楽曲は、中島自身が作詞を手掛けたもので、16〜17世紀のヨーロッパで流行した悪漢小説(ピカレスク)をモチーフとしている。タイトルが象徴するように、この楽曲はダークヒーローの苦悩や悲哀を描きながら、新しい未来を切り開いていくというテーマが込められた楽曲だ。

 音楽的には現代的なミクスチャートラックに仕上がっており、中島のグループ在籍時代のイメージとは一線を画した仕上がりとなっているのを見逃すことはできない。その挑戦的な内容が多くのリスナーの心を捉え、発売直後からランキングトップに浮上したのも納得の結果である。さらに、人間の多面性と沸々としたダークな感情を見事に表現してみせたMVは、楽曲の持つ怒りや悲しみを視覚的に強調し、「悪漢」の世界観を際立たせている。中島は今回のMVについて「冒険をしながら新しい人生と本当の自分を見つけるというメッセージを込めた」(※2)と語っており、彼自身がアーティストとして新たなステージに踏み出したことが象徴的に感じられる。

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