徳島から全国へ、路上で注目集めるシンガー 丸山純奈 本格始動の赤レンガ公演は忘れられない一夜に
徳島県出身、21歳のシンガー 丸山純奈。歌手を志し、中学時代から数々のオーディションや大会に出場してきた彼女。2017年9月には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)での番組史上初のオーディション企画『Mステへの階段 ウルトラオーディション』(応募総数2,000組超)にて優勝し、アマチュアながら『MUSIC STATION ウルトラFES 2017』に出演。同年12月には『今夜、誕生!音楽チャンプ』(テレビ朝日系)でも注目を集め、歌う姿を目にした人も多いことだろう。2023年4月からは路上ライブを開始し、現在では“いま路上で最も人を集めるシンガー”と言われている。
路上ではカバー曲も多数披露しており、そのレパートリーは「相思相愛」(aiko)、「わたがし」(back number)、「三日月」(絢香)、「ドライフラワー」(優里)、「茜さす」(Aimer)、「かたちあるもの」(柴咲コウ)、「いのちの歌」(竹内まりや)など多岐にわたる。その歌声は、聴く者を安心させる温もりと純粋性に満ちていて、パワフルでありながら丁寧な歌い方が、それぞれの日常と生き方に寄り添う効果を生んでいるのかもしれない。通学や通勤の途中でふと耳にした、彼女の歌に思わず足を止めてしまう人が続出するのも納得だ。
そんな丸山純奈が10月30日の新曲リリースを前に、前日29日に横浜赤レンガ倉庫でライブを行った(『丸山純奈 Live at 横浜赤レンガ倉庫』)。新曲「シツレンカ」のサプライズリリースの発表とともに、アーティストとして大きな一歩を踏み出したのだ。路上で人気を集めた彼女の晴れ舞台にふさわしい野外ライブというロケーションだったが、この日はあいにく冷たい雨と強風に見舞われた。しかし会場には約1,000人の観客が詰めかけ、「恋知らず」「Bye&Hi」「Petrichor」「カフェオレ」と冒頭から立て続けに4曲もの新曲を披露するという攻めの姿勢。トレードマークのキャップを目深にかぶって「寒い中、ありがとうございます! 元気ですか〜?」と、いつものほんわかした口調で観客を気遣い、「今日はみんなであったまれるように頑張りますので宜しくお願いします」と挨拶した。
この日のライブの中盤では「中学時代からずっと歌い続けてきた」という手嶌葵のカバー曲「明日への手紙」と、あいみょんのカバー曲「愛の花」を披露した。彼女が歌を歌い始めたら、その瞬間には大粒の雨音さえも消えてしまうような集中力が会場全体を覆う。みんなが、グッと楽曲世界に入り込んでいるのがわかる。
「今日は徳島から親戚・家族みんな来てくれています。故郷がある皆さんにも届いたらいいなと思います」というMCの後、高校1年生で地元・徳島を離れて上京してから初めて作ったという「この街」を届けてくれた。都会で暮らす寂しさと、でもそれに負けたくないという気持ちが入り交じるような想いを、透き通るハイトーンボイスと確かな熱量で歌い上げたのは、この日のハイライトのひとつだった。丸山純奈という人の、夢を追いかける一途な想いと強さを垣間見た気がした。