timelesz 菊池風磨は言葉にできない想いを歌詞にしてきた 3人体制最後の曲「because」に込められたもの

 そして、菊池自身もアイドルでありながら甘いフレーズを口にするのをためらうシャイさがあること。また、Sexy Zoneとして突然、グループが結成される形でデビューを果たした菊池は、想像していた未来とは違った現実に心が追いついていないように見えた時期もあったことを思い出す。そんな菊池に、ファンも動揺せずにはいられなかった過去があったことも。

 それでも支え続けてくれたファンがいたこと。彼が作詞を担当したソロ曲「20 -Tw/Nty-」(2015年)では、〈裏切っても傷つけても/信じてまた愛をくれたね〉〈上手く言えないけど/ありがとう/愛してるよ〉と、当時直接言葉にできないストレートな想いを歌詞に込めていたように思う。

 そして今、グループ活動にもがき続けてきた菊池が、先頭に立って新メンバーを迎え入れてでもtimeleszを存続させる道を選んだことに、また感慨深いものがある。この「月は綺麗かな」には、これだけ大きな変革を遂げている中で“それでも愛し続けてくれるかな”と、ファンに問いかけているのかもしれない、と。続けて聴こえてくるサビの「いつもいつでもずっと隣にいるから にじむ瞳もその声も どんな夜もこえていけるよ because 君が今ここにいて頷いてくれた ちょっと目を逸らし笑う それだけでも踏み出せるから」のフレーズ。「月は綺麗かな」の問いかけには、そばにいて頷いてくれるだけでいい、とでも言っているかのようだ。そしてファンが笑ってくれるなら、どんな試練も乗り越えて新たな一歩を踏み出せると言っているようにも思えるのだ。

 菊池は9月にラジオ『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)にゲスト出演した際、「言葉ひとつとってもいろんな意味に捉えられたりもする」と発言に慎重にならざるを得ない今の状況について語っていた。令和の日本人は、夏目漱石が感じていた奥ゆかしさを重んじる風潮とはまた違った形で、言葉に慎重にならざるを得なくなっているのかもしれない。

 オーディションが進むにつれて、菊池の地頭の良さ、面接官としての優秀な受け答えに注目が集まっている一方で、それだけ影響力が大きくなっているのを感じる。言葉を選べば選ぶほど、伝えたいことがまっすぐに届かないというケースも少なくない。だからこそ、なかなか口にできない想いを、歌にのせていく。そういう意味では今の菊池の心境を高純度に形にしたのが、今回の「because」ということになるのではないだろうか。

 菊池曰く、松島の振り付けは「ストーリー性もあってすごく良かった」、佐藤の手掛けたMVは「すっごくよかったですね。素に近い感じで。全部がナチュラルな感じ」とのこと。これが3人のtimeleszとしては最初で最後のシングル。それこそ言葉にならないさまざまな想いを胸に秘めた3人が、バトンをリレーするように創り上げた「because」の全貌を紐解くのが今から楽しみだ。

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