百花繚乱のアーティストが生んだ8時間の熱狂 豪華コラボ満載の『KAMITSUBAKI FES ’24』横浜公演

 ブルー系の髪と衣装で登場した、バーチャルロックシンガー幸祜。都会的なクールさを感じさせるバンドサウンドの「MiMi Cry」、最新のロックナンバー「始まりの銃声」では「いけるか横浜!」と観客を煽り、オチサビ前のブレイクでは「会えてうれしいよ」とコメント。ラストには圧倒的なロングトーンを響かせ、会場が大歓声で包まれた。

幸祜

 「盛り上がってますか! 最後まで楽しんで!」と声を掛けた、バーチャルシンガー明透(あす)。「皆さんこんにちは。KAMITSUBAKI FES盛り上がってますか。最後まで楽しんでね」とコメントし、YouTubeで500万回以上の再生数誇る代表「ソラゴト」などを披露。スポットライトを浴びながらしっとりとしたムードで歌唱し、会場にはオレンジのペンライトが揺れた。

明透

 「次は私が盛り上げますよ!」との挨拶で始まったヰ世界情緒。柊マグネタイトの楽曲提供による、ハイスピードのテンポとハイトーンへと駆け上がるメロディが魅力の「ヴァーミリオン」を繰り出し、会場には観客の掛け声がこだました。

 「最後は私のAnimaを象徴する歌です」と紹介した「描き続けた君へ」は、ドラマチックな同曲をウェット感たっぷりに歌い上げ、最後に「また会おうね!」と再会を誓った。

ヰ世界情緒

 そしてNEXT ARTISTとして花譜がアナウンスされると、会場は割れんばかりの拍手と大歓声で彼女を迎えた。まずは、MV再生数が2000万回近くの代表曲「過去を喰らう」で会場を沸かせる。激しいドラムとノリのいいギターリフに、一斉に声を上げてクラップを繰り出した会場。続いて1年ぶりのリリースでも話題を集めたダンスキラーチューン「ゲシュタルト」を披露し、彼女が観客を煽ると、それに応える大きな歓声があがり、タイトルを連呼する歌詞を大合唱。〈どっかーん〉以降のトランス展開ではみんなで手を挙げペンライトを揺らし、パシフィコ横浜がクラブのような盛り上がりになった。

花譜

 ここからは『KAMITSUBAKI FES』でしか観ることのできないコラボで会場を沸かせた。まずは、ヰ世界情緒の「キミ消失セカイ」を、ヰ世界情緒と幸祜、さらに夕凪機(罪十罰)の3人で披露。生バンドの迫力ある演奏で、スリリングな疾走感が増した同曲。3人は拳を振り上げワイルドな歌声を響かせ、背中合わせになるポーズもかっこ良かった。続いては、理芽✕春猿火 with 梓川の3人で、理芽の「ピルグリム」をコラボ。TVCMソングとしても話題を集めた同曲。理芽の歌声に、春猿火のフェイクやロングトーン、さらに梓川の歌声が混じり、さらに絶妙なハーモニーも聴かせた。ここでしか聴くことのできない新たな「ピルグリム」の表現に、背筋がゾクゾクした観客も多かっただろう。コラボの最後は、花譜×明透 with kahoca(Emply old City)による「ホワイトブーケ」。めくるめく楽曲展開に、情感をたっぷり込めてシアトリカルに歌い上げ、ステージの2F部分ではVALISの4人が、オリジンの姿でダンスを繰り広げ、楽曲の世界観を引き立てた。

 8時間に及ぶFESの大トリを務めたのは、花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜の人気バーチャルシンガー5人によるユニット“V.W.P”。「いろんなコラボが観られる。フェスって最高ですね」と理芽。前日に同所で3rdワンマンライブを開催したヰ世界情緒は「皆さん昨日ぶりです」と挨拶し「ライブが終わったら、思い出をSNSにたくさん載せてくれたらうれしい」とコメント。また「緊張してまーす!」とコメントした春猿火には、メンバーが「知ってまーす」と返して緊張をほぐしてあげる場面も。幸祜は「今日は楽しみすぎて、毎日ご飯を食べて、今日も食べてきました」など、それぞれらしくコメント。花譜は「今日会ってくれた皆さん、ありがとうございます」とコメント、全身全霊で「ヨコハマ〜!」と叫び、「We Are V.W.P!」と5人で声を合わせた。

 歌姫5人の圧倒的ボーカルと各々の個性が爆発しながら、5人が融合することで新たな感動へと導くV.W.Pの音楽。イントロから〈Virtual Witch Phenomenon〉と、会場全体による大合唱が響いたアッパーの「同盟」は、カラーの違う声が必殺技のように次から次へと繰り出され、まるで戦隊ヒーローのようなかっこよさ。続く「欲望」では、ソウルフルに、エモーショナルに、クールに、5人がプライドをぶつけ合うような歌とラップが、あまりのスリリングさで目が離せなかった。「欲望」はライブ初披露で、幸祜から「花譜ちゃんどうだった?」と聞かれ、「みんな生きてるなって思った。久しぶりにみんなと会えた気持ちになった」とコメントし、会場に温かい空気が流れた。そして最後は、5人で“せーの”と声を合わせて「電脳」と、タイトルをコール。オリジナルよりも少しテンポがゆっくりで、ピアノが前に出たのこの日だけのバージョン。より楽曲に込められた感情が感じられ、感動が倍増して聴こえた。最後に右手を高々と掲げた花譜。その拳には8時間に及ぶライブ成功の達成感と、観客への感謝が握りしめられていた。

【「KAMITSUBAKI FES ’24 THE DAY THE EARTH STOOD STILL」セットリスト】

ー第1部ー
M01 ど~ぱみん DJ Time
M02-1 梓川「今さらサレンダー - ノルカ//ソルカ Medley」
M03 跳亜「凍結」
M04 詩道「黎明」
M05 Awairo「Pale&Deep」
M06 Awairo「烙印」
M07 梓川×Awairo「Replay feat.梓川」
M08 KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE 
M09 Empty old City「カミツレと愛のブーケ」
M10 Empty old City「Buffer」

ー第2部ー
M11 雄之助 DJ Time
M12 音楽的同位体 V.I.P「フォニイ」
M13 音楽的同位体 V.I.P「機械の声」
M14 水野あつ「知りたい」
M15 雨宿り「スターダスト」
M16 雨宿り「猫かぶり」
M17 ANMC「月の匂い feat.WaMi, ueil」
M18 ANMC「Sad Sad Hot Latte feat.むト」
M19 獅子志司「虚ろを扇ぐ」
M20 獅子志司「絶え間なく藍色」
M21 獅子志司「神下り feat.可不」

ー第3部ー
M22 KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE
M23 罪十罰 from 少女革命計画「弔花」
M24 心世紀 from 少女革命計画「フェイクナイト・シンデレラ」
M25 VALIS「熱愛フローズン」
M26 VALIS「乙女的サイコパシー」
M27 理芽「フロム天国」
M28 理芽「食虫植物」
M29 春猿火「巫女」
M30 春猿火「META」
M31 幸祜「MiMi Cry」
M32 幸祜「始まりの銃声」
M33 明透「Spiral」
M34 明透「ソラゴト」
M35 ヰ世界情緒「ヴァーミリオン」
M36 ヰ世界情緒「描き続けた君へ」
M37 花譜「過去を喰らう」
M38 花譜「ゲシュタルト」
M39 ヰ世界情緒×幸祜 with 夕凪機(罪十罰)「キミ消失セカイ」
M40 理芽×春猿火 with 梓川「ピルグリム」
M41 花譜×明透 with kahoca(Empty old City) & VALIS「ホワイトブーケ」
M42 V.W.P「同盟」
M43 V.W.P「欲望」
M44 V.W.P「電脳 - THE DAY THE EARTH STOOD STILL -」

リアル×バーチャルが渾然一体となるカオス感 稀有なコラボが目白押しだった『KAMITSUBAKI FES ’23』DAY2公演

ネット発のクリエイティブレーベル「KAMISTUBAKI STUDIO」(以下、「KAMITSUBAKI」)の所属アーティストが…

花譜ら擁するKAMITSUBAKI STUDIOが創出する新たな音楽表現 初主催フェスで提示したクリエイティブレーベルとしての可能性

クリエイティブレーベル・KAMITSUBAKI STUDIO主催のフェス『KAMITSUBAKI FES ’23』が、3月30日…

関連記事