H1-KEY「私たちが持っている可能性は無限」 多彩な楽曲スタイルを武器に日本で成し遂げたい夢

H1-KEY、多彩な楽曲スタイルを語る

 ここ数年のK-POPは、“次に来るもの”を予測するトレンドセッター的なアーティストが最前線に立つことが多い。だが一方で、美しいメロディラインや情感あふれるボーカル、歌に込めたメッセージといった、ベーシックなものを大切にするアーティストも絶大な支持を得ている。H1-KEYは後者の代表格として知られる実力派の女性4人組で、2022年1月に韓国デビュー。口コミで人気に火がついた「Rose Blossom」をはじめ、「Time to Shine」や「SEOUL (Such a Beautiful City)」などのヒットソングを連発して、強豪ばかりのガールズグループ界で揺るぎないポジションを手に入れた。今年6月にリリースした3作目のミニアルバム『LOVE or HATE』が好評を博し、国内外を飛び回る日々が続く今、何を思い、ステージに立つのか。この夏、イベント参加のために来日した彼女たちは、単独取材で率直な気持ちを明かしてくれた。(まつもとたくお)

日本のファンと共に作った思い出

——グループとしては2度目の来日となります。日本の印象はいかがですか?

SEOI:もともと日本が大好きですし、日本の感性が自分に合うと以前から思っていました。今回は空いた時間にあちこち動き回ったおかげで、自分なりに日本を満喫できました。

——観光したエリアはどこですか?

SEOI:銀座、渋谷、新宿あたりをメンバーやスタッフと一緒に見て回りました。原宿にも行ってみたかったんですが……次回は必ず行きたいです!

SEOI
SEOI

HWISEO:私の場合、過去に何度か日本に来ているんです。日本へ来るたび仕事の合間にあちこち行っています。そして日本でしか買えないものをチェックしたり、美味しいものをたくさん食べたりして、とても癒されています。

YEL:実は外出するよりも家でじっとしているのが好きなんです(笑)。室内でゴロゴロするほうがいいので、日本でもほとんどホテルにいました。そして日本のコンビニで買ったデザートを楽しんでいたという感じです。美味しいものでしっかりヒーリングできましたよ(笑)。

RIINA:(流暢な日本語で)日本は幼い頃から何回も来ているんです。日本の雰囲気が自分によく合うので気に入っています。東京は前回訪れたときには観光が全然できなかったんですけど、今回は少し時間があったのでいろいろと行くことができました。やっぱり東京は華やかですね。お洒落ですし。

RIINA

——日本語がとてもお上手ですね。独学でマスターされたのですか?

RIINA:韓国で専門の先生に教えてもらいました。日本で活動することも想定していたんです。だから日本のラジオやテレビの番組も参考にしながら一生懸命勉強しました。

——実際に日本のファンと接してどのような印象を持ちましたか?

HWISEO:日本のファンのみなさんはどなたも親しく接してくださいますし、リアクションも大きくて本当に嬉しかったです。

@intersonymusicjp H1-KEY激エモ・来日オフショットVLOG📸❤7月のH1-KEY来日中の様子をメンバー同士で写真を撮って記録してもらいました🗝🎵H1-KEY – “Let It Burn”@h1key_glg#H1KEY #하이키 #ハイキー #KPOP #disposablecamera ♬ Let It Burn - H1-KEY

RIINA:日本の音楽フェスティバル(7月27日、28日に開催された『XD World Music Festival presented by Yogibo』)に参加するのは初めてだったので、恥ずかしくない姿を見せたいと、しっかり練習して本番に臨みました。いざステージに立ってみたら、会場に集まってくださった方々の反応がとてもよかったんです。心配はあっという間に吹き飛びました。私たちもウキウキしながら楽しむことができて……準備していた日本語もちゃんと言えたし、伝わって嬉しかったです。

YEL

——みなさんが韓国でデビューしたのは2022年1月ですね。

SEOI:H1-KEYとしてスタートする以前は、それぞれが歌手デビューを目指して練習生として頑張っていました。オリジナルメンバーは私とRIINAとYEL。その後、HWISEOが合流して現在の編成になりました。デビューからしばらくの間は健康的なビジュアルをアピールしながら活動していましたが、HWISEOの加入後は内面的にも健康美を見せていくことになったんです。コンセプトを変えたおかげなのか、以降は私たちが歌う曲を愛してくれる人たちがどんどん増えていきました。そこからミニアルバムをコンスタントに出しながら、自分たちならではのカラーを作ろうとしているところです。そうした試みがいい結果として出せたのは、やはり「Rose Blossom」が最初だと思います。

HWISEO

——2023年1月にリリースされた「Rose Blossom」は口コミで人気が広がり、時間をかけてヒットチャートの上位へ。最終的にその年を代表する1曲となりました。多くのリスナーに愛された要因は何だったと思いますか?

YEL:この曲の歌詞は、夢を諦めずに粘り強く努力する人を描いたものです。私たちが置かれている状況に似ていると感じたこともあって、レコーディングでは曲の世界に感情移入して歌えました。とはいえ、私たちだけではなく、この世の中に生きているすべての人たちにも当てはまるテーマだと思います。それぞれが抱えている悩みは違っても、共感したり癒されたりする言葉や表現が散りばめられているからこそ、長きにわたってヒットしたと考えています。

H1-KEY(하이키) '건물 사이에 피어난 장미 (Rose Blossom)' M/V

常にチャレンジして新しいカラーを打ち出す理由

——「Rose Blossom」ではガールクラッシュ的な魅力とメッセージ性が注目を集めましたが、最近はサウンド面でも高く評価されていますね。ニュージャックスウィングの「Time to Shine」、レトロなシンセポップ「SEOUL (Such a Beautiful City)」、ゆったりとしたギターポップ「Deeper」など多彩な音楽を届けて、着実に成長していると感じます。同じスタイルにとどまらないのもグループの大きな魅力だと思いますが、みなさんはどのように考えていますか?

H1-KEY(하이키) '불빛을 꺼뜨리지 마 (Time to Shine)' M/V
H1-KEY(하이키) 'SEOUL (Such a Beautiful City)' M/V

HWISEO:「Rose Blossom」のヒットのおかげで多くの方々に愛していただける存在になったわけですが、あの曲で伝えたかった気持ちや見せたかったスタイル以外にも多彩なコンセプトに対応できることを鮮明に打ち出したかったんです。私たちが持っている可能性は無限である——それをみなさんに知ってもらいたいという気持ちが強かったので、アルバムのリードトラックやシングルに関しては出すたびにカラーを変えていきました。

——どんなサウンドカラーでも歓迎されて、しかもセールスも順調。それが何よりも素晴らしいと思います。

HWISEO:これまでにいろいろなタイプの曲をリスナーの方々に届けていますが、私たち自身も楽曲からパワーをもらっています。だから「この音楽を通して自分たちが受け取ったパワーが、聴き手にも伝わったら嬉しいな」と思いながら、いつも歌っているんです。

YEL:私たち4人は、常にチャレンジするのが大好きなんですよ。

——今年6月にリリースした3作目のミニアルバム『LOVE or HATE』ですが、とても評判がいいですね。どういったコンセプトで作られた作品なのでしょうか。

SEOI:過去の曲は、どちらかというとリスナーに元気を与えるポジティブなものが大半でした。『LOVE or HATE』では従来のイメージから大きく変わることなく、よりストレートな表現に挑戦したかったんです。ミニアルバムのリードトラックとなる「Let It Burn」は、歌詞も振り付けも変化球は使わずストレートに勝負しています。この曲のパフォーマンスですべての人の気持ちがすっきりしてほしい、そんな思いで取り組みました。他の収録曲も聴きどころが多いですよ。ぐっとくるフレーズが出てきたり、リラックスできる歌声があったり、踊りたくなるようなリズムが響いたりと、誰もが楽しめる仕上がりになっています!

H1-KEY(하이키) 뜨거워지자(Let It Burn) Official M/V

——収録曲のうち「♥ Letter」ではメンバー全員が作詞に参加していますね。歌詞は恋愛の話のようであり、リスナーに寄り添う語りのようにも感じられます。この曲で伝えたかったものは何だったのでしょうか?

HWISEO:私たちはこの曲を作るにあたって、他のメンバー宛に書いた手紙とH1-KEY宛に書いた手紙を準備しました。お互いがどう思っているのか——ここがよかったとか、チームとしてはこれを目標にして頑張りたいよね、とか。4人が自由に書いたそんなコメントをもとに作ったのが「♥ Letter」なんです。この曲は私たちのプライベートな面が見え隠れする作品といったほうがよさそうですね。

YEL:M1-KEY(マイキー/ファンの総称)のみなさんの中には、この曲を聴いて「もしかすると自分に対して言っているのかな」って思う人がいるかもしれません。そんな方にはちょっと申し訳ないんですが(笑)。自分たちが楽曲制作する機会が再びあれば、今度はM1-KEYへの気持ちを伝える曲を書きたいなと思っています。

——楽曲制作と言えば、『LOVE or HATE』にはMonoTreeやSweetuneといった韓国の有名なチームに所属する作家が参加していますね。その結果、多彩なサウンドが楽しめるアルバムになったと思います。サウンドによって歌い方を変えたりするのは、テクニック的にとても大変だったのではないでしょうか?

RIINA:確かに難しかったです。とはいっても、私たちにとって勉強になることがたくさんあって有意義な経験でした。レコーディング中にいろいろなコンポーザーと一緒に、何がベターなのか、どんな声が似合うのか、どんな表現がふさわしいのかを考えていく時間は、自分たちが成長する過程において重要だったと思います。

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