般若、D.O、Novel Core、Red Eye、Benjazzy……『BATTLE SUMMIT Ⅱ』優勝賞金2000万円は誰の手に?
D.O
今年3月に10年ぶりとなるアルバム『Rain』をリリースし、現在はさまざまなメディアへの出演が目立つD.Oが、キャリア初となるMCバトルに出場する。略歴に触れておくと、ヒップホップクルー 練マザファッカーの元リーダーで、同じく今大会に出場する漢 a.k.a. GAMIが率いる9SARI GROUPに所属している。また、「ディスる」や「メーン」といった言葉をTV番組出演時に多用し、世間に広めたことでも知られているラッパーだ。「悪党の詩」や「FLY9」など、自身の壮絶なバックグラウンドを反映したリリックが特徴的なD.O。ライブ現場では、観客を自身の世界観に引き込むフリースタイルを度々披露しているが、初のMCバトルの舞台でどんなバトルを繰り広げてくれるのか楽しみだ。
般若
MCバトルを世に知らしめた番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)の“ラスボス”として君臨した般若が、満を持してMCバトルのステージに姿を現す。公の場でのMCバトルは、2022年配信の『フリースタイルモンスター』(ABEMA)以来であり、トーナメント型に絞ると2008年に開催された『ULTIMATE MC BATTLE』以来、つまり16年ぶりの出場となる。MCバトルにおける彼のスタイルは、鬼気迫る勢いで言葉を連打するといったものだ。しかし単純にバイブスのみで押し切るというわけではなく、4小節、8小節といった落とし所ではきっちり押韻を披露したりと、テクニックも充分。上手くツボをつくラップに、観客は惜しみなく歓声を上げる。
直近では、ALIとの共作「Professionalism feat. 般若」がTVアニメ『ザ・ファブル』(日本テレビ系)のオープニングテーマに起用され、来たる9月にはデビュー20周年を記念したワンマンライブ『般若 20th LIVE』を控えている。衰えを知らない“ラスボス”は、今大会でどのようなパフォーマンスを魅せてくれるのだろうか。
Benjazzy
今年2月にヒップホップアーティスト史上初となる東京ドーム公演をもって解散したクルー BAD HOPのメンバーであるBenjazzyが、今回は単独でMCバトルのステージに乗り込む。公の場でのMCバトルは2023年開催の『FSL VOL.2 presented by ASAP』以来であり、同大会が初のMCバトルと語っていた(※1)が、初めてとは到底思えない卓越したラップスキルで観客の心を掴んでいた。国内ヒップホップ史に残る解散ライブを経て、人気も実力も証明されている彼が今大会に出る理由は何なのか。またどんなラップを披露してくれるのか、筆者は彼を今大会におけるダークホース的存在として注目している。
そして彼の1回戦の対戦相手は孫GONGであることが発表された。奇しくも昨年末に衝突があったクルーのメンバー同士の対決となるが、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか。
本稿では一部のラッパーをピックアップしたが、出場メンバーを一見するとOZworldやLeon Fanourakisなど、現在はMCバトルシーンから離れて音源制作をメインに活動しているラッパーが目立つ。それぞれが音源制作やライブ活動などで輝かしい成績を残している中、自身の古巣であるMCバトルでどのようなステージを披露するのか、ヘッズの期待が高まっている。また、D.Oの他にもキャリアを通してMCバトルに初出場というJ-REXXXやMIYACHIといったラッパーもいる。なぜこのタイミングでMCバトルに挑戦しようと思ったのか、そしてどのようなフリースタイルラップを披露してくれるのか注目だ。
さらに特筆すべきは、今大会の優勝賞金がMCバトル史上最高額の2000万円、会場である代々木第一体育館も最大1万人以上を収容できる大舞台であるということだ。何もかもが規格外である今大会を経て、国内MCバトルシーンはどのように変化していくのか、今後もその動向をチェックしていきたい。
※1:https://youtu.be/4iEfRqFecpo?si=FmjciJu03vG9gxb_
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