yamada.、満員の初ワンマンで見せた“歌い手”から“アーティスト”への進化 今後の顔出し活動も発表

 そして「キラーチューン」(東京事変)、「ボーイフレンド」(aiko)とJ-POPヒッツのカバーを挟んでフロアを踊らせたのち、未発表のオリジナル曲「青春ガール」をさわやかに披露。すると、yamada.は改まった様子で「皆さんにお話ししたいことがあります」と客席に向けて切り出した。伝えるべきことを余さず、かつ誤解なく伝えられるようにと用意してきたメモを手に、彼女はとつとつと語り始める。これまでの活動を振り返り、カバー曲の歌い手から自分の音楽を表現するアーティストへと活動スタンスを変えることには葛藤もあったと明かしつつ、「今日このワンマンライブにたくさんの人が集まってくれました。ソールドアウトです。ありがとう!」とファンへの感謝を述べた。

 さらに「ここで少し発表というか、お知らせとなるんですが……」との言葉にフロアから期待に満ちた声が上がると、yamada.は息を整えながら言葉を続ける。「8月末頃にリリース予定の新曲から、私yamada.はネット上でも顔を出して1人のアーティストとして、1人の表現者として活動を始めます」と宣言。大きなどよめきに続いて盛大な拍手と声援が会場を埋め尽くすと、彼女は安堵の表情を浮かべて「今年の9月から大きな挑戦が始まります。たくさんのことを今チームで準備しています。決して皆さんを失望させないし、諦めさせません。どうかこれからもyamada.の応援をよろしくお願いいたします!」と結び、深々と頭を下げた。

 そして時折感極まりながらも「自分を尊敬してくれる人、自分にいい言葉をくれる人を大切に大切に、守るように生きていきましょう、ということを伝えたいです。それを思いながら書いた曲があるんですよ」と告げ、6月にリリースされたピアノバラード「灯」をしっとりと披露。自ら作詞を手がけた楽曲ということもあり、体重の乗った歌表現に思わず涙する観客の姿も見受けられた。

 ライブはその後、「ハニーメモリー」(aiko)、「気まぐれロマンティック」(いきものがかり)でフィニッシュ。すると客席からは魂を削るようなアンコール要求が絶え間なく鳴り響き、しばしの間を置いてTシャツ&ショートパンツ姿に装いを新たにしたyamada.は観客の声帯を心配しながら再びステージに舞い戻ってきた。そして未発表の新曲「あなたがいなくたって」に続いてラストナンバー「mela!」(緑黄色社会)を軽快に、かつ力強く歌唱。フロアではまたしても自然発生的にコール&レスポンスが巻き起こり、ハッピーでポジティブな空気が酸素を駆逐しかねない勢いで場内を埋め尽くしていく。こうして彼女の記念すべき初ワンマンライブは、ほがらかなムードに包まれてその幕を下ろした。

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