デコトラに囲まれるギャル5人組、f5veとは何者か 日本文化を世界に発信するトレンドセッターに
地下でパラパラを踊りデコトラに囲まれて歌う5人組、「チカ・チカ・チカ」と繰り返されるサビのメロディ……。タイムラインに突如現れた「f5ve」というグループを、あなたはもう知っているだろうか。f5veの発音は「ファイビー」。E-girls/Happinessのメンバーとして活動していたKAEDE、SAYAKA、RURI、MIYUUと、同じくLDH所属のガールズグループ・iScreamのメンバー・RUIの5人で新たに結成された、東京発の異次元ドリームグループだ。
彼女たちはHappinessやiScreamの活動と並行して、2022年から「SG5」名義で活動を開始。SG5は『美少女戦士セーラームーン』からインスパイアされた経緯もあり、当初は日本発の“セーラームーン公認のガールズプロジェクト”としても知られていた。同年7月には北米最大のアニメコンベンション『Anime Expo 2022』に出演し、「ムーンライト伝説」と持ち曲を含む数曲のパフォーマンスを披露。こうして『セーラームーン』人気が根強い欧米市場にアプローチしたことで、海外からの注目を一気に集めることに成功した。これが功を奏し、2023年3月リリースのデジタルシングル「Firetruck」のMVは14日間で520万回以上の再生を記録。
そして2024年、この度5人が新たに「f5ve」とグループ名を改め、再始動した。グループのエグゼクティブプロデューサーを務めるのは、レディー・ガガのプロデューサーとしてグラミー賞の受賞歴を持ち、ジャスティン・ビーバー、テイラー・スウィフトらも手がけるBloodPop®️だ。今年5月、まずは『Anime Expo 2022』でも披露された待望のシングル「Lettuce」を、f5ve名義で初リリース。中毒性のある英詞のメロディだけでなく、洗練されたガーリーな衣装やヘアメイクと、クセの強い“野菜コンセプト”の世界観とのギャップが、今までにないガールズグループ像を生み出し、既存ファンのみならず国内外の新規ファン層からの支持も席巻した。
7月12日には最新シングル曲「Underground」をリリース。日本の新幹線よりも速いスピードで駆け抜けるという文字通り、テンポはなんとBPM177。稀に見る疾走感でピコピコと鳴る四つ打ちのトラックが、これまでにない新感覚J-POPへの期待と希望、そして感動を呼び起こしている。また、同日公開されたMVでは、メンバー5人がスーツで出勤するサラリーマンやOLに囲まれ、地下鉄に乗るシーンから始まるのも今作の重要なキーポイントだ。KAEDEが歌う〈マニュアル通りの生活で/死にそうなんだ I just wanna escape〉という歌詞からは、なんの変哲もなく同じルーティンで繰り返される日々=〈カチカチの世界〉に限界を感じている心情が読み取れるが、そんな彼女たちが〈なりたい自分にやっとなれる場所〉として向かう先が他でもない「地下」、つまり今回のタイトル「Underground」なのである。
MVでも、2番のサビで2017〜18年頃に世界にも広まった“異色肌ギャル”や、眼鏡にハチマキ、肩紐短めのリュックを背負いペンライトを装備した“ヲタク”などをバックに、5人が地下のような場所でパラパラを踊るシーンが話題を集めているほか、SNSではグループ公式X(旧Twitter)アカウントが投稿した、特殊な装飾や塗装でデコレーションされた“デコトラ”の前で踊るラストサビの切り抜き映像が拡散され、大きな反響を生んでいる。7月15日には動画クリエイターのkemioも「やゔぇんだけど」と同動画を引用する形で投稿し(※1)、翌日には学生時代に踊ったと見られるパラパラの動画に「Underground」の音源をつけて投稿(※2)。まさに、本楽曲が日本、そして日本文化を好む世界の人々に、一大旋風を巻き起こそうとしているのだ。