チバユウスケの純粋な音楽愛に満ちたパーティ 11年ぶりに復活遂げる『WEEKEND LOVERS』の歴史

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(以下、TMGE)、ROSSO、そしてThe Birthday。稀代のボーカリスト・チバユウスケの歴代キャリアを思い返した時、やはり圧倒的な存在感を誇る唯一無二の“バンドマン”だった、という印象を持つリスナーも多い。

 確かにチバ自身もたびたび敬愛するミュージシャンを尋ねられた際、The DamnedやDr. Feelgood、ザ・ルースターズといった往年のロックバンドの名を欠かすことはなかった。しかし晩年、特に2010年代終盤以降はソロプロジェクト(YUSUKE CHIBA -SNAKE ON THE BEACH-)の活性化や、自身のレコードコレクションをまとめた書籍『EVE OF DESTRUCTION』(2022年)の刊行などから、彼がジャンルレスに音楽そのものを深く愛する人物だったと改めて感じた人もいたに違いない。

 彼のその姿勢は当然、若かりし頃から何も変わらない。TMGE時代からチバはバンドマンとしてだけでなく、自身の所持するレコードを抱え全国各地のクラブイベントへDJとして参加したりもしていた。バンドやロックという形式にとらわれず、自分の好きな音楽をただ純粋に愛したチバ。彼のそんな一面が窺えるイベント、それこそが今年11年ぶりの復活を遂げるパーティ『WEEKEND LOVERS』である。

 大元を辿れば2002年に“ROSSO & LOSALIOS presents”として、チバユウスケと中村達也が主宰のジョイントライブとして始まった。今夏、チバとも縁の深かった『FUJI ROCK FESTIVAL '24』、そして『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZO』(以下、『RSR』)の二大フェスにて、『WEEKEND LOVERS 2024 “with You”』の開催が先日発表となった。そこで今回は、この『WEEKEND LOVERS』がこれまでどのような歩みを辿ってきたのか、その歴史を振り返りつつ、彼のいない夏に本イベントが行われることの意義について、思いを馳せてみたい。

 まず、『WEEKEND LOVERS』がその名を冠して始動したのは2002年初夏のこと。当時チバ、中村それぞれの所属バンドによるサーキットツアーとして、2人がタッグを組み本イベントを立ち上げたのが事の発端となる。初回開催時は全12公演。偶然、開催日の多くが週末だったために、チバがイベント名をそう名づけたのが由来だ。公式発表の通り、この時本イベントは『RSR』でも一度開催された実績がある。

 当初のイベントコンセプトは“ロックンロール・パーティ”。そのため初回の大きな特徴としては、12公演中9公演がオールナイトパーティだった点だろう。公演ごとに出演ラインナップは多少変動があるが、この時は当時チバと中村が活動していたROSSOとLOSALIOSのほか、syrup 16g、町田康と佐藤タイジらによるミラクルヤング、THE TRAVELLERS、STROBO、CLASSIC CHIMESなどのバンド勢や、2000年に一度解散したThe Street Slidersの村越“HARRY”弘明が弾き語りで参加。すでにRSRでゲスト発表されている村越は、この時以来の『WEEKEND LOVERS』登場だ。

 さらに“ロックンロール・パーティ”のコンセプトに準じてか、この初回開催時にはバンドのみならず複数のDJも出演者としてクレジットされている。メンバーは村上淳、坂田カヨ、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)、冷牟田竜之、川村カオリほか。今見てもバンド・DJ共に錚々たる面々が揃っており、硬派ながらも狂騒的なロックパーティが毎夜繰り広げられていたことは想像に難くない。

 主宰2人を囲む大勢のミュージシャンの助力で初回開催を終えた後、2回目に行われたのは6年後の2008年秋。この時は全9公演が行われ、出演ラインナップが前回よりややロックバンドテイストに傾いている。

The Birthday - 涙がこぼれそう

 この時チバはThe Birthdayで、中村はFRICTION、Entity of Rude、JOY HEIGHTSの3形式で変幻自在に出演。そのほかTOKYO No.1 SOUL SETやMETALCHICKS、THE BACILLUS BRAINS(THE 日本脳炎)、MO'SOME TONEBENDER、NICO Touches the Walls、そして中村の元バンドメイト・浅井健一率いるSHERBETSの参加も注目を集めた。

 DJは全公演を村上純が担当。本開催時は初回のパーティムードとはやや異なり、バンド同士で火花を散らすような、良い意味で緊張感や闘争心漲るライブも多かったそうだ。当時のツアー模様を収録したドキュメントフォトブック『Weekend Lovers Document』が、のちにタワーレコードより独占刊行されている。

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