松下優也、自身の名前で歌い踊った久しぶりのワンマンライブ 軌跡と未来を照らした一夜

 6月28日、東京・ヒューリックホール東京にて『松下優也 LIVE 2024 “Mirror Maze”』が行われた。同公演は松下にとって、事務所移籍後初のワンマンライブ。ファンが待ち焦がれた待望のライブの様子をレポートする。

 オープニングSEが鳴り響くと、バンドメンバーとダンサーに続き、白を基調にしたシルバーのスパンコールがあしらわれた衣装にサングラスという姿でステージに登場した松下。早速「So High」でライブがスタートする。1曲目からバチバチのダンスを披露して会場を一気に熱狂させると、赤い照明に切り替わって「Mars」へ。ステージ上を所狭しと移動しながらパフォーマンスしていく様子を見ていると、もっと大きなステージでのパフォーマンスが見たくなってくる。ここでサングラスを外す松下。会場から大きな歓声が上がると、「Surrender」が始まった。クラップの音も一際大きくなり、笑顔で客席を見渡しながらパフォーマンスで魅せていく。「東京! 準備はいいですか!」「Put your hands up in the air!」という松下の掛け声に答えるかのように会場のボルテージは上がり続け、オープニングパートを一気に駆け抜けた。

 いつまでも鳴り止まない歓声を受けつつ、あらためて自己紹介へ。さらに、「“松下優也”名義でライブをするのは約5年ぶりなんですよ」と続け、満員になっている会場へ感謝を伝えた。「今夜は、俺と一緒に踊ってくれますか?」という曲振りをすると「Dance with me」がスタート。同曲はもともと英語詞だが、この日のために用意したという日本語バージョンをサプライズ初披露。観客を見つめたり、指を差したりしながら、歌詞の意味をじっくり伝えていった。ダンサーをステージに呼び込むと、「新曲いきたいと思います!」と宣言。さらに「もう多少歌えるようになってくれてるよね? 急にマイクをバッと向けたらイケる?」と笑いを誘う。それを確かめるようにアカペラで歌って観客に声を出させると、そのまま「Ride It」へ。楽しそうな笑顔を見せながら歌って踊る姿が印象的だった。

 ここで、スツールがステージ上に用意され、腰を掛ける松下。ピアノの音が流れる中、「素敵なバンドが揃ったので、ダンスだけじゃなく歌でもお届けしたいと思って」と語り、しっとりした雰囲気の中「スーサイド:)」へ。刺激的なタイトルの楽曲だが、松下曰く「それくらいストレートな、ド直球な思いを書いた曲です」。それを歌に込めるかのように、丁寧に言葉を紡いでいった。続けて、「ずっとカバーしてみたかった」というMISIA「つつみ込むように…」を披露。洋楽の影響を受けてきた松下だからこそ、軽くグルーヴしながら歌う姿もクールだ。MCでは、彼のアーティストとしての歩みを振り返っていく。小学生6年生の時に「歌って踊るアーティストになりたいと思った」という話から始まり、ミュージカル『キンキーブーツ』へ出演が決定したところまで振り返り、「すごくないですか、俺!?」と松下。笑いと拍手が巻き起こり、会場はあたたかな空気に包みこまれていた。

 「次歌う曲は、より言葉にフォーカスをおいた曲になっています」、「『52ヘルツの鯨』からインスパイアされて作った曲」、「(曲を作った)当時『ヴェラキッカ』という舞台をやらせてもらっていて。役とリンクするものがあるなと思いながら書いた」という話を経て「52」へ。ピアノの音色だけでの歌唱だからこそ、深みのある歌声、力強くも伸びやかな高音、透明感あるファルセットなど、松下の歌声をじっくり味わえる。続けて「Band-Aid」へ。1コーラス目はキーボード1本で歌声を聞かせ、徐々に会場にも一緒に歌うように促し、最後は全員で大合唱。一体感を高めていった。

 バンドとダンサーによるインタールードが終わると、衣装チェンジして登場した松下。6月21日に配信リリースされたばかりの新曲「Paradox」で、再び会場を踊らせていく。「もうすぐ終わっちゃうよ、ライブ」と名残惜しそうに言いつつ始まったのは、「Take It Back」。そのままノンストップで「Trust Me」へと続くと、この日一番の歓声が上がる。さらに「SUPER DRIVE」と懐かしのナンバーが続き、会場は揺れるほどの盛り上がり。松下も「『盛り上がってください』なんて言う必要ない! ブチかましてんじゃん!」と満足げな表情であった。ラストナンバーは「Angel」。同曲もこの日のために日本語バージョンにアレンジされており、しっかりと歌詞の内容を伝えつつ、松下らしいダンスも披露し、“アーティスト・松下優也”の姿を見せていった。

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