Little Black Dress、アルバム『SYNCHRONICITY POP』のムードをライブで再現したBLUE NOTE PLACE公演

『SYNCHRONICITY POP』BLUE NOTE PLACEオフィシャルレポート

 DJがプレイするラウンジミュージックがダイニングの雰囲気を彩るなか、バンドに続いてヴィヴィッドなカラーのジャケットをまとったLittle Black Dressが登場した。

 ここは、恵比寿にあるBLUE NOTE PLACE。極上の音楽を食事やお酒とともによりカジュアルなライフスタイルとして味わえるダイニングだ。ステージとダイニングがほとんどひと続きのように設計されていて、より生の音楽がダイレクトに感じられるのが特徴である。この空間とLittle Black Dressが6月7日にリリースした最新アルバム『SYNCHRONICITY POP』のコンセプトや雰囲気がぴったりだった。

 シティポップをいかにLBD流なポップスにして1枚の作品にするか、という今回のチャレンジは、タイプの異なる全8曲の楽曲が紡ぐ物語によって見事に表現されていた。レコ発ライブという位置付けの今回のライブでは、そのアルバムを1枚丸ごと収録曲順に披露していくという、ある意味でコンセプチュアルな手法が取られた。サブスクが主流となる世の中で、アルバムという作品単位の意味が問われる今、あえてアルバムを再現するライブにこだわった彼女の深い音楽愛を感じるとともに、シティポップをテーマにして制作した1枚だからこそアルバムという形態が重要な意味を持つのだという意志を改めて認識させられた。

 オープニングナンバーの「DRIVE OUR DREAMS」の心地よいリズムが弾ける。ドラム、ベース、キーボード、そしてギターは2名、ホーン隊が3名というフルバンドでの演奏は、オリジナル楽曲の繊細な表情をくっきりと写し取りながら、よりレアなグルーヴを加えてここでしか聴けないサウンドへと生まれ変わっている。とにかくLittle Black Dressの歌う姿がのびのびとしているのが印象的だった。

 続く「SPICE OF LIFE」は、山下達郎の70年代の名作『GO AHEAD!』や『MOONGLOW』あたりのファンクネスとポップネスが絶妙に融合した音楽のエッセンスが感じられる。曲間や後奏で、ギタリスト2人が交互にソロを弾き合い、それに合わせて彼女がアドリブを入れる場面ではフロアの熱気がグッと上昇するのが感じられた。

 3曲目に披露したのは「恥じらってグッバイ」。川谷絵音がこのアルバムに新たに提供した楽曲で、アシッドジャズや歌謡曲の要素までを含んだポップスだ。まるで映画のようなMVも話題になっており、すでにYouTubeの再生回数は100万回を突破している。

 短いMCを挟んで、アコギを構えてパフォーマンスしたのは「マロニエの花」。彼女のボーカリストとしての表現力が存分に発揮された楽曲だ。ソウルをベースとしながら、そこにしっとりとした和ものテイストなメロをブレンドするのは、おそらく狙いというよりも彼女のナチュラルな才能のなせる技だろう。

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