SEVENTEENが何度も記録を塗り替えられるのはなぜか CARATの心を掴んで離さない3つのポイント

 SEVENTEENがこれまで獲得してきた記録を振り返ってみると、競争の激しいK-POPシーンや世界の音楽市場において、ここまで多数の記録を打ち立て続けてきたことに改めて驚かされる。各種チャートでの圧倒的な記録の数々は、すなわち多くのリスナーに彼らの楽曲が支持されているということであり、SEVENTEENの常に進化し続けるサウンドと多彩な楽曲、どんなジャンルでも自分たちの表現に昇華させるパフォーマンス力が世界中のファンを魅了しているということの証左であろう。

 WOOZI(ウジ)が作曲し、グループとして世に放つ楽曲は、その時々の音楽トレンドの要素や過去の音楽作品へのリスペクトを感じさせる要素を取り入れながら、常に進化し続けている。K-POPシーンの中には一貫した音楽スタイルを維持し続けるアーティストも少なくないが、SEVENTEENは本当に多彩な楽曲をCARAT(SEVENTEENファンの呼称)に届けてきた。例えば、緻密にサウンドが作り込まれ、思わず聴き入ってしまうEDMの「아주 NICE (VERY NICE)」、エレキギターのカッティングとメンバーのラップや歌声が小気味よく響く2000年代のHIPHOPジャンルを再解釈した「Left & Right」、ジャズをベースに洗練されたサウンドが印象的な「HOME;RUN」、これぞSEVENTEENというような底抜けに明るいダンサブルなロックサウンドの「음악의 신 (God of Music)」、ジャージー・クラブを活かしつつもはやジャンルに収まりきらない独特なサウンドが中毒性を生んでいる「손오공 (Super)」……ざっと挙げただけでもこれだけカラフルな楽曲が存在している。楽曲がリリースされるたびに毎回新しい魅力が見つかるからこそ、多くの人がSEVENTEENの“沼”にハマり、支持しているのではないだろうか。

 そして、そんな多彩な楽曲を自分たちのパフォーマンスとして難なく表現し切ってしまうメンバーの実力と表現力の豊かさも、やはり目を見張るものがある。各メンバーに歌、ラップ、ダンスの高い実力があるからこそ様々な表現ができることは言わずもがなだが、実は“メンバー間の信頼と絆”も欠かせない要素の1つであると著者は考える。WOOZIが作る新しい挑戦を含んだ楽曲を、メンバー全員が「WOOZIが作ったものなら間違いない」と信頼し、全力でパフォーマンスと向き合っていく。そして、WOOZIが表現したかったものを的確に理解して、パフォーマンスを仕上げていく。長きにわたって築かれてきたメンバー間の絆があってこそ、これだけ多彩なジャンルの楽曲を表現できるのだと思う。

[슈취타] EP.10 SUGA with 우지

 さらに、楽曲やパフォーマンス、メンバーが語る言葉の端々から“ファンへの愛”を感じられることも、多くのファンを魅了し、数々の記録を打ち立ててきた要因の1つだと考えられる。例えば、作曲を手がけるWOOZIは、クオリティの高い楽曲を作ろうと努力する背景として「こんなかっこいいものを世に出したらCARATがどれほど誇らしく思うだろうか」という思いがあるのだと、BTSのSUGAがホストを務めるYouTube番組『슈취타(シュチタ)』で語っていた。SEUNGKWAN(スングァン)も、先日行われたベストアルバムの発売を記念したグローバル記者懇談会で「メンバーみんな、本当にSEVENTEENというチームを愛していますし、CARATも愛しています」と語るなど、WOOZIだけでなく、メンバー一人ひとりがファンへの思いを度々口にしていた。

 そう考えると、今作のタイトル曲「MAESTRO」は、ここまで振り返ってきたSEVENTEENの特徴をすべて含んだ、グループを象徴する楽曲になっていると言えるかもしれない。同楽曲は、デビュー曲から最新曲まで、過去作の音楽ソースを少しずつ活かして新しいスタイルをつくり上げた作品。過去の楽曲をもとに自分たちのスタイルを更新する彼らのすごさを感じられる一曲であり、グループのこれまでの歩みを辿るベストアルバムにふさわしい仕掛けが盛り込まれた楽曲である。

 このように、常に進化を続けながら多彩な楽曲を発表し、パフォーマンスしてきたSEVENTEEN。今日までの多数の記録は、彼らが作り上げてきたスタイルや特徴があってこそ実現できたものだと言えるのではないだろうか。

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