東京スカパラダイスオーケストラ、Mr.Children、TK from 凛として時雨、ゲスの極み乙女、&TEAM、乃紫……注目新作6作をレビュー
ゲスの極み乙女「シアラ」
CDではなくバームクーヘンをパッケージにした前作『ストリーミング、CD、レコード』以来、約4年ぶりのアルバム『ディスコの卵』を5月22日に配信するゲスの極み乙女。ニューアルバムから先行配信された新曲「シアラ」は、洗練されたファンクネスを感じさせるリズムセクション、美しいエレピの音色と緻密なギターカッティング、そして、ビタースイートな雰囲気の歌メロが一つになった楽曲。都会で暮らす主人公の穏やかな絶望と〈それでも未来に向かうよ〉という微かな意志を込めた歌詞もそうだが、“今”のムードを完璧に捉えた質の高いポップソングに仕上がっている。この曲を聴けば、ゲスの極み乙女の新たなピークのはじまりを実感してもらえるはずだ。(森)
&TEAM「五月雨 (Samidare)」
この夏に初のアリーナツアーが決定した9人組グローバルグループ、&TEAM。1stシングル「五月雨 (Samidare)」のタイトル曲は、春の雨を想起させるギターのフレーズからはじまるミディアムチューン。美しい憂いを帯びた旋律、抒情性をたっぷり含んだボーカルを優しい手触りのビートが際立たせている。歌詞が描いているのは、いつの間にか思いがすれ違っていた“君”と“僕”の関係。痛みや葛藤を感じながらも、それでも一緒にいたい、未来に向かって進んでいきたいという願いを綴ったリリックは、思春期の恋愛模様を想起させると同時に、互いの個性を認め合いながら活動を続ける&TEAMのメンバーのつながりをイメージさせる。(森)
乃紫「初恋キラー」
今年の2月にリリースされた楽曲「全方向美少女」がK-POPスターたちも反応するバイラルヒットとなり、一躍注目度を高めたシンガーソングライター・乃紫。新曲「初恋キラー」は、TikTokにポストされたデモバージョンがすでに大バズリ中のポップチューン。超キャッチーなギターリフ、ノリのいいトラック、耳馴染みのいいメロディ、初恋の切なさと愛らしさとどうしようもなさを描いたリリックは一度聴いただけで脳内リピートが止まらない中毒性があり、どのパートを切り取ってもショート動画との相性が抜群だ。SNSネイティブならではのアイデアと感性に裏打ちされたこの曲には、「これこそが2024年のポップスだ」と言いたくなるようなクオリティとパワーが確かに宿っている。(森)
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