真心ブラザーズ、10人編成“MB's”で繰り広げる音楽の自由さ LINE CUBE SHIBUYA公演

 「おぼろげな春」、「流れ星」、「一触即発」が披露されたのち、10人編成に戻ったMB's。そしてスタートした「どか~ん」では、陽気なダンスでホーンセクションの4人が観客を盛り上げた。続いて「モルツのテーマ」も届けられ、ますます明るいパーティー会場と化したLINE CUBE SHIBUYA。「お酒にまつわる曲を2曲演奏して、とどめを刺したくなりました。お酒を飲まない人には、いわゆるアルハラの曲を(笑)。みなさんに歌っていただきます!」と桜井が宣言した「ノーメル賞ブギ」は、〈サケヤメナイ ヤメラレナイ サケヤメルワキャナイ〉〈サケヤメナイ ヤメラレナイ サケヤメラレルワキャナイ〉という観客の大合唱が合流。エンディングを迎えた瞬間、紅白の投げテープ(演劇業界で“クモの糸”と称される小道具)を客席に向かって勢いよく放った桜井。先ほどYO-KINGが目に止めていた物体の正体が判明して、観客は拍手喝采を送った。

 『世紀のうた・心のうた -服部良一トリビュート-』に収録されているカバー曲「ヘイヘイブギー」(オリジナルは笠置シヅ子が歌唱)は、ホーンセクションで彩られた演奏が抜群にかっこよかった。続いて「突風」を経て披露された「炎」と「きみとぼく」は、桜井のエモーショナルなギタープレイが炸裂。素晴らしい演奏に敬意を表して、先ほど使用した紅白のクモの糸をオシャレなストールのように桜井の首に巻きつけたYO-KING。ジミ・ヘンドリックスの衣装をイメージしたそうだが、困惑しながら桜井が呟いた「これはゴミだよ……」という言葉が思い出される。そんな場面でも楽しませてくれながら本編は締めくくられた。

 アンコールの1曲目「COSMOS」を披露すると、「ここ、拍手の音いいね」と、会場の音の響きについて語り合っていたYO-KINGと桜井。オリジナルグッズのハーフスリーブスウェットを着て並ぶのが照れくさそうな様子が、とてもかわいらしかった。そして9月21日の東京・EX THEATER ROPPONGI、9月23日の大阪・なんばHatch――真心ブラザーズ 35周年記念公演『古稀1/2』の開催が発表されたのち、ラストを飾ったのは「RELAX~OPEN~ENJOY」。MB'sのサウンドを浴びて身体を揺らした観客の姿は、曲のタイトルに含まれる3つの言葉を鮮やかに体現していた。演奏が幕切れた直後、客席の全エリアから押し寄せた歓声を浴びながら「また来年!」と言って手を振ったYO-KING。紅白のクモの糸を大事そうに抱えて持ち帰った桜井。ステージをあとにしたふたりを力強い拍手が見送った。9月に開催される結成35周年記念公演『古稀1/2』は、オールタイムベスト的な内容となるらしいが、早くも期待が高まる。貫録たっぷりの音を鳴らすと同時に、素朴な音楽好きのお兄ちゃんたちでもあり続けている真心ブラザーズを、今回のライブは存分に感じさせてくれた。

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