RADWIMPS、世界各地を巡り日本に届ける愛 “ホーム”で繰り広げる観客との濃い交流
2023年の北米ツアーとヨーロッパツアー。その凱旋公演としての日本のライブハウスツアー。そして、10月のオーストラリアと上海公演。昨年からRADWIMPSは、いくつもの国境や大陸を越えながらライブを積み重ねる日々を過ごしていて、さらに今年に入ってからは『RADWIMPS WORLD TOUR 2024 “The way you yawn, and the outcry of Peace”』を開催。まず3月に中南米ツアーがあり、4〜5月のアジアツアーでは計4本の日本公演を経て、彼らはアジア各国へと飛び立っていく。今回は、同ツアー4本目の日本公演である4月14日のぴあアリーナMM公演の模様を振り返っていく。
今回の日本の4公演においては、3月の中南米ツアーからセットリストが大きく刷新されていた(昨年、北米ツアーとヨーロッパツアーのすぐ後の日本のライブハウスツアーでも同じようにセットリストが大きく変わっていた)。日本公演のために組まれたそのセットリストには、初期曲やライブで披露されることが少ないレア曲がめいっぱい詰め込まれていて、それはまさに、いつも支えてくれている日本のファンへの深い愛と信頼の証だったのだと思う。オープニングナンバーは、「人間ごっこ」。総勢30名のダンサーがステージに現れ、バンドの音、野田洋次郎(Vo/Gt/Pf)の歌としっかり呼吸を合わせながら、感情の繊細な抑揚や激しい昂りを華麗に表現していく。曲の終盤では、花道を辿って中央ステージでダンスが展開され、その一糸乱れぬパフォーマンスやバンドとのシンクロ度の高さに、思わず息を呑んだ。
続けて、「NEVER EVER ENDER」へ。歓喜のファンファーレのようなシンセリフが高らかに鳴り響く中、野田が「はっちゃける準備はできてるかい!」と力強く問いかける。ステージ上手と下手の端まで移動しながら観客と熱く親密なコミュニケーションを重ねていく野田と桑原彰(Gt)。ステージ中央で自ら飛び跳ねながら、観客にジャンプと手拍子を促す武田祐介(Ba)。そうした3人の姿から、この会場の誰よりもこの日のライブを楽しもうとする熱い気概が手に取るように伝わってきた。曲間も歓声が鳴り止まぬ中、不穏な響きを放つバンドサウンドが次第に絡み合い熾烈なジャムセッションへ突入。そして、渾身のライブアンセム「おしゃかしゃま」へ。スクリーンには、今回のツアーのメインアートをフィーチャーしたカオティックな映像が映し出され、その演出と相まって、楽曲に漲る爆発的なエネルギーがさらに増幅されていく。圧巻のオープニングセクションだった。
「季節外れの曲」として紹介された「セプテンバーさん」。「ちょっとまた懐かしい曲を」という前置きを経て披露された「‘I’ Novel」。この2曲に限らず、今回のライブ全編に通ずることではあるのだが、初期の曲やレア曲であろうと、野田が次々とフロアにマイクを託し、観客が全力の歌声で応えていく光景が幾度となく見られた。野田は、このホーム感をお守り代わりにして、初の海外のアリーナツアーへ挑んでいくことを力強く宣誓した上で、「来週以降、合唱できないと思うので、一緒に歌ってもいいですか?」と問いかける。そして、桑原と武田も集ったセンターステージで「正解」を披露する。歌い出しから会場全体に巻き起こる壮大な合唱。今まさに青春の季節を生きる人。これからその季節を生きようとする人。いつまでもその季節を生き続ける人。または、自分以外の誰かの青春の季節を応援する人。世代を超えた様々な観客の歌声がバンドパフォーマンスと重なっていく光景は本当に感動的だった。
再びメインステージへ戻った野田は、「ファイナルくらいぶっ飛ばしていこうぜ!」と呼びかけ、さらに、3月の中南米ツアーを振り返りつつ、「地球の裏側はすごかったぜ!」と観客を煽る。そして、ここから会場の熱気と一体感が際限なく高まり続ける怒涛の展開へ突入していく。炎の特効に彩られる中で披露された「なんちって」。昨年のライブハウスツアーでもハイライトを飾ったライブアンセム「DARMA GRAND PRIX」。「G行為」では、野田が再び登場したダンサーを従えながら中央ステージへ進み、ゆっくりとせり上がっていくステージ上で歌いながら会場全体の混沌とした熱狂を指揮していく。サイケデリックな映像演出と相まって、まるでトランス状態に突入したかのような興奮を覚えた。何より、このエッジの効いたミクスチャーナンバーを、ダイナミックなスケールのライブエンターテインメントに昇華させることに驚かされるし、これこそまさにRADWIMPSのライブの真髄であると感じた。セクションごとの振れ幅も非常に大きく、「涙袋」から「スパークル」へと繋ぎ、バンドの想いに一人ひとりの観客がスマホのライトで応える光景は言葉を失うほどに美しいものだった。