CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、活動の広がりから見出した“今作りたい音楽” ライブへのさらなる意欲も
本人たちにその気があるのかないのかはわからないけれど、そのゆる~く醸し出される魅力に徐々に多くの人が気づきはじめ、虜になっている。気がつけばテレビCMで彼らの音楽が流れている。CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(以下、CHO CO PA)が、どんどん人気者になっている。
読み方は「チョコパコチョコキンキン」。キューバ民謡のリズムパターンから名づけられたという、不思議かつ音楽的な名前。幼馴染から始まった気の置けない幸福な3人の関係性。今の若者らしい、ゆるやかで、手作りで、地に足のついた活動スタンスと、土着的な音楽と電子音楽の融合を軸に産み落とされる魅惑的な楽曲たち。CHO CO PAに惹かれる理由は多々あるが、この春、新たに届けられた「日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞ver-」とシングル『Correspondances』の2作品は、触れる者をさらに深いCHO CO PAの沼に引きずり込むだろう。「日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞ver-」は、〈酒が飲めるぞ〉の繰り返しで有名なバラクーダの1979年の大ヒット曲「日本全国酒飲み音頭」をカバーによって再構築した1作。そして『Correspondances』は「フェイクシャーマニズム」を標榜する彼らの本質が見える3曲入りシングルである。
リアルサウンドでは昨年の夏以来の取材。Daido(作曲/映像)、Yuta(Ba)、So(サウンドエンジニア/DJ)の3人に、あれからの変化や新作について、そして本人たちの想像を超えて観客が踊りまくるというライブについて、話を聞いた。(天野史彬)
2024年は“資金集め”の年? 拡大している楽しみ
――前回取材させていただいたのが昨年の夏で、その頃は皆さんにとってCHO CO PAはまだ模索中の存在というか、あくまでも遊びの延長線上にあるものという意識が強かったと思うんです。ただその後、CMで曲が流れていたり、ライブをしたり、テレビで取り上げられたりと、皆さんを取り巻く環境も大きく変わってきたと思います。そうした変化の中で、心境も変わってきていますか?
Daido:今も模索中、という感じですね(笑)。前とは別の状況で模索しているというか。
――それはどういう感覚ですか?
Daido:単純にテンパっています(笑)。相変わらずテンパっている。目の前のことだけを考えている感じですね。たぶん、前にお会いしたのが1年近く前だと思うんですけど。
――そうですね。
Daido:まだ存続しているのが面白いな、と思います。飽き性なので、今まで遊びをコロコロと変えてきたんですけど、CHO CO PAがまだ存続しているということは、楽しくできているんだろうなとも思います。
――Soさんはどうですか?
So:周りの目に晒されるようにもなってきたので(笑)、立ち回りを考えるようにはなってきました。作曲から発表までこの3人で完結していたときは、内輪で盛り上がって終わりだったんですけど、今はただ作曲するだけじゃなくて、考えることが他にもあって。そうやって「次のことを考えなきゃいけない」ということが多くなってきたなと思います。
――Yutaさんはどうですか?
Yuta:「どんどんバンドが手に負えなくなってきている」とどこかで言った気がするんですけど、それが絶賛拡大中というか(笑)。ただ、そういう状況に、ようやく慣れてきたという感じもします。
――Daidoさんがおっしゃった「まだ存続しているのが面白い」という感覚は、SoさんとYutaさんはどうですか?
Yuta:この3人で遊ぶときは、「次はこれ、次はこれ」という感じで、いろんなブームがあったんですよ。でも「ブームだけで終わっていないな」とは思います。それだけ楽しいのかな。
Daido:(音楽が)多少は得意だったのかもしれない。スケボーとかは下手くそなまま終わったから。
Yuta:たしかに(笑)。
So:ただ、音楽の中でもブームはこの3人の中で変わっていっているので。そういう意味では、盛り上がる場所が変化し続けているという部分は今もあるのかなと思います。
――バンドの新しい目標などは生まれてはいないですか?
Daido:これは前も言ったと思うんですけど、海外に行って、現地の人とコミュニケーションを取りながら曲を作りたい、という夢はあって。今年はそのための資金集めの年にしたいと私は思っています(笑)。
――(笑)。YutaさんとSoさんはどうですか?
Yuta:CHO CO PAだからというわけでもないんですけど、「楽器を作りたい」というのはずっとあって。1回、3人で試しに作ったことがあったんですけど、それは大失敗だったんです。なので、そこに再チャレンジしたいという気持ちはあります。
Daido:みんなでドラム缶を切ってスティールドラムを作ろうとしたんですけど、大失敗したんですよ(笑)。2音くらいしかなくて。
――それは、「こういう音が欲しい」みたいな気持ちがあってから作り始めたものだったんですか?
Daido:それだったらかっこいいですけど(笑)、単純に楽しそうだから作り始めました。
――目標的な部分、Soさんはどうですか?
So:僕は1stアルバムから(アートワークの)デザインもやっているので、音楽以外の面でも他の何かに携わることができたらいいなという気持ちがありますね。
――1stアルバム『tradition』のジャケット写真のアートワークはどのように生まれたものだったんですか?
So:アルバムの内容がこれまでの総まとめみたいなものだったので、最初はジャケットもごちゃごちゃしたものがいいかなと思ったんです。でも目の情報になるので、「まとめる」という意味でもシンプルにしたほうがいいかなと思って。真ん中にある頭のブロンズ像は「アートマン」のMVに一瞬だけ出てくるんですけど、ブロンズもよくよく考えれば伝統的なものだし、そういう意味もいろいろ絡めて、これがいいんじゃないかとなりました。
――あの作品に『tradition』というタイトルをつけたのはどういった意図があったんですか?
Daido:後づけの理由としては、「伝統的な音楽と今の音楽を結びつけよう」という感じですけど、発端としては、イギリスのダブアーティストにTraditionというグループがいて、車の中でよくかけていたんです。そこから取りました。