CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、活動の広がりから見出した“今作りたい音楽” ライブへのさらなる意欲も

CHO CO PA、今作りたい音楽

“嘘くささ”を残した上で自然を鳴らした「アダンの海辺」

――5月1日に配信リリースされたシングル『Correspondances』についても聞かせてください。3曲入りシングルになりますが、本作に収録される「アダンの海辺」は、3月にドキュメント番組『ドキュメント20min. ナイト ライト ライド』(NHK総合)に出演された際に制作されていた曲ということで、奄美大島と、画家・田中一村の作品『アダンの海辺』から受けたインスピレーションを元に制作されたそうですね。

Daido:去年、奄美大島にライブで行ったんですけど、そこですごくお世話になった人に、帰り際に空港で「奄美の曲を作ってください」と言われて。それがずっと気になっていたんです。それで東京に帰ってきてから、軽いデモを作って……本当は軽くないですけど(笑)。それを完成まで持っていく過程を番組でやったんです。

――具体的に、皆さんが奄美から受けたインスピレーションとはどのようなものだったのでしょうか?

Daido:やっぱり、自然ですかね。自然の中で人が暮らしている感じ。奄美にライブに行ったとき、1日だけ観光できる日があったんですけど、みんなで海に行ったんです。泳いでいたら大雨が降ってきて、大雨の中、泳ぎました。その前の年には3人で竹富島に行ったりもしたんですけど、ああいう場所が好きなんですよね。

Yuta:奄美のライブは、CHO CO PA史上一番盛り上がったんじゃないかというくらい盛り上がったんですよ。ライブの最後に「六調」という奄美の有名な民謡を、僕らの「秩父」という曲とミックスしてやったんです。現地の人に三味線を弾いてもらって。そしたら今までにないくらいの大盛り上がりで。

Daido:終わったら「もう1回やれ!」と言われて(笑)。「六調」は、奄美の豊年祭の最後で歌われるものらしいんですけど、2回目は僕らの前に演奏していたチジンという太鼓の奏者の人が乱入してきたんです。まったく違う拍で叩いてきて、もう大混乱で(笑)。でも、かなり盛り上がりました。

Yuta:あれは楽しかったね。

So:現地の人がすごく温かくて。「秩父」の六調バージョンを用意するのも、ちょっと構えて行ったし、そもそもライブに来ていただけるのかも不安だったけど、かなりの人が来てくれてたんです。

Daido:「琉球Boogie Woogie」をやったのは、ちょっと恥ずかしかったけど(笑)。

――奄美の「六調」のような現地の音楽を取り入れてライブをするのは、もちろん意識されることはたくさんあると思いますけど、いいですね。

Daido:こういうことは常にやりたいと思っています。現地の三味線奏者の人とコラボさせてもらったのも、今後もこういうことができたらいいなと思うし。現地の人と一緒にやるのは楽しいです。

――田中一村の絵画作品『アダンの海辺』からはどのようなインスピレーションを受けたのでしょうか?

Daido:2021年に、千葉市美術館で田中一村の企画展をやっていたんです。

――それに行かれたんですね。

Daido:いや、その時は行けていないんですけど(笑)。

――(笑)。

Daido:別の企画展に行ったときに、そのポスターを見たんです。それで「いいな」と思っていて。僕はもともとアンリ・ルソーの絵が好きなんですけど、「ルソーっぽくていいな」と思って。それから去年奄美に行くことになり、どこに行きたいかを調べていたときに田中一村記念美術館があることを知って。

――そこに行かれたんですね。

Daido:いや、行けていなくて(笑)。

――(笑)。

Daido:結局、画面でしか絵は見ていなくて、実際に見たことはないんです。それでも印象に残っていて、曲を作るときにその印象を引っ張り出してきました。

――「アダンの海辺」は、音楽的にはどのようなことを考えられていましたか?

Daido:電子音で自然っぽい音を作ることを考えていました。でも、自然に寄せすぎず粗くしていくことで、昔のゲームのポリゴンの自然みたいな、バックルームっぽい質感の自然を表現できればいいなと意識していて。あとは半屋外、廃墟みたいな場所で演奏しているような響きですね。

――奄美がモチーフとしてありつつも、「半屋外」のイメージなんですね。

Daido:沖縄や奄美、キューバもそうですけど、そういう場所で、側面に穴が空いちゃっているような廃墟っぽい建物にみんなで集まって歌っているときの独特な響きが好きなんです。そういうものをシンセで再現したいと思っていました。歌詞も、寂しい感じがいいなと思って書きました。奄美は観光客も少ないし、行った海も僕らしかいなくて。自然がメインで、人は部外者感がある、そのちょっと不気味な感覚というか。歌詞にもそういうイメージがありました。

――今回のシングルは、2曲目のタイトル曲「Correspondances」も、3曲目「声を聞かせて」も、「アダンの海辺」に通じるものを感じるというか、3曲でひとつの世界を描いているような印象もありますが、そういった点で考えられていたことはありますか?

Daido:今回のシングルは3曲とも「シンセの音で自然を作りたい」という気持ちがあって。鳥の声や羽ばたく音をシンセで作ったり、クジラの鳴く声や虫の声もシンセで作っています。“嘘くささ”をちゃんと残した上で、自然を作っていく。それを面白がったシングルだと思います。

――CHO CO PAのプロフィールには「フェイクのシャーマニズム」という言葉もありますが、「嘘」であるということは重要なポイントですか?

Daido:嘘、大好きです(笑)。さっき言ったルソーという画家も、フランスのパリで活動しながら「ブラジルのジャングルに行ったぜ」みたいなことを言って、ジャングルの絵をたくさん描いていたんです。でも、その絵に描かれている動物はジャングルにはいない動物で、一度もジャングルには行ったことがないんじゃないかという説が出てきていて。そういう感じが大好きなんですよね。僕らも、東京のクーラーの効いた部屋で、ブラジルのサンバを、ブラジルに行ったような顔をして作っているから。

――タイトルに『Correspondances』という言葉を掲げたのはなぜですか?

Daido:これは「万物照応」という意味の言葉なんですけど、人間と動植物や宇宙、大地がつながっている感覚が、産業革命以前にはあったんだと言っている人がいて(シャルル・ボードレール)、その人が言っている言葉です。人間と他の動植物とつながっている感覚なんて、本当にあるのかな? と思う。ちょっとオカルトっぽいけど、でも「産業革命の前にはあった」と言われると、あったのかもしれないなと思うし。「それはどういう感覚なんだろう?」というワクワクですね。今回のシングルは3曲とも、他の動植物とつながっている感覚を表現したいと思って作った曲たちです。

◾️映像情報
『日本全国酒飲み音頭 -集音歌詞ver-』
Director:永田 俊
Art Director / Designer : 柴谷 麻以
Producer:安藤 コウ

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN『Correspondances』ジャケット写真
『Correspondances』

◾️リリース情報
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN 『Correspondances』
2024年5月1日(水)リリース
配信:https://big-up.style/dxvZLPOS1p
【収録曲】
1. アダンの海辺
2. Correspondances
3. 声を聞かせて

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN 公式サイト

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