フィロソフィーのダンス『NEW BERRY』で開いた新しい扉 歌の中で光る5人の鮮やかな個性
ここで、5人のボーカルの個性について触れていきたい。アルバム『NEW BERRY』のオープニングを飾るDa-iCE工藤大輝提供の「Love&Loud」の歌詞に〈キューティー/セクシー/ビューティー/ラブリー/アグレッシブ〉というフレーズがあり、メンバーが順番に言葉を紡いでいるのだが、ここだけで5人の個性とグループ内のポジションがわかる。しっかり言葉を聴かせるために、トラックの音数が少なく、メロディもコンパクトでじつにキャッチーである。
〈キューティー〉と歌うのはグリーン担当の木葭のの。〈キューティー〉という言葉で甘い歌声を聴かせる木葭は、歌う言葉によって声音を変えられるカメレオンタイプ。同曲の他の部分では中低音、他曲のラップパートではクールで滑るようなフロウを披露したりと多面性が魅力だ。〈セクシー〉はブルー担当の奥津マリリ。元々の声質が艶っぽい上に、母音の抜き方でアンニュイさを醸し出す彼女は、子音と母音の強弱を使い分けた発音で、一つひとつの言葉に繊細な表情を乗せ、歌に物語を吹き込んでいく。〈ビューティー〉はピンク担当の佐藤まりあ。クリアな声質で、ストレートなボーカルアプローチだが、歌い出す際の最初の一音目から切れ味がいい。一音目から100%の実力を出し、そのまま自分のパートを歌い切る。リズム感とボーカルコントロールが素晴らしい。〈ラブリー〉がパープル担当の香山ななこ。同曲ではラップも披露している彼女の声質は、少し甘さもあるが、子音を強く出すことでそこを押さえ気味にし、中低音から中高音の迫力を持ち味にしている。同曲ではラップも披露しているほか、意識して喉を開いて歌っているのがわかり、今後さらに表現の幅が広がることが期待できる。
そして〈アグレッシブ〉がレッド担当の日向ハル。彼女はひとことで言えば、フィロソフィーのダンスのソウルディーヴァだ。少しかすれたような声質、母音を口の中で膨らませるように発音するアプローチなど、ブラックミュージック好きにはたまらないスキルの宝庫。ファルセット、ロングトーン、シャウト(こぶしあり)も申し分ない。しかしながら、オーセンティックなソウルやファンクのひとつの特徴ともいえる、歌い出しや歌い終わりにディレイをかけるようなアプローチはほとんどせず、リズムと音符にジャストに置いていくスタイルだ。これは5人が歌い紡ぐゆえの結果だとも思うが、そこが令和以降のリズム感にフィットし、今のフィロソフィーのダンスのファンクグルーヴになったと考察する。リズムがジャストでも、サビのユニゾンの中で日向ハルだけがシャウトしていたりと、5人の歌の魅力を最大限に引き出せるように考えられてファンクの要素を散りばめているのがわかる。
4月19日からワンマンライブ『Funky But Chic ~静岡・京都・東京編~』もスタートしたフィロソフィーのダンス。これまで数々の“仕掛け”を実力で成功に導いてきた彼女たちが、新しい扉を開けた。その先にある景色が楽しみでならない。
◾️リリース情報
フィロソフィーのダンス『NEW BERRY』
3月13日(水)リリース
CD購入:https://PhilosophynoDance.lnk.to/NEWBERRY
・初回生産限定盤(CD+ライブCD+BD+フォトブック):10,600円(税込)
・通常盤(CD Only):3,200円(税込)
<全形態共通収録楽曲>
01.Love&Loud
02.シュークリーム・ファンク
03.ムーピー・ゲーム
04.キュリアス・イン・ザ・モーニング
05.永遠頂戴
06.サンバーント・ロマンス
07.熱風は流転する
08.GO SURVIVE
09.ポジ子とネガ乃
10.Gimme Five!
11.永遠オーバーヒート
<BD・ライブCD収録内容>
“Greatest 5 Party 2023” at LINE CUBE SHIBUYA 2023.12.6
※副音声にメンバーによるオーディオコメンタリー収録
※フォトブック付き
◾️ライブ情報
『Funky But Chic ~静岡・京都・東京編~』
【静岡公演】(終了)
2024年4月19日(金)OPEN 18:30/START 19:00
会場:Live House 浜松 窓枠
【京都公演】
2024年4月20日(土)OPEN 17:00/START 17:30
会場:京都MOJO
【東京公演】
2024年5月4日(土)OPEN 18:15/START 19:00
会場:下北沢シャングリラ
<チケット情報>
全公演スタンディング:4,500円(税込)