04 Limited Sazabys GEN×KOTORI 横山優也、ライブシーンを語り合う 熱狂の最前線は今どこにある?

ライブハウスのあの距離感だったら100%伝わる(横山)

――そういうのって空気みたいなものじゃないですか。今は行っていいのか、行かないほうがいいのかとか、なんとなくフロアに共通理解のようなものがあって、それでライブを成立させているところもある。でも、そこも時代もお客さんの世代も変わって、ちょっとずつ変化してきている気がするんですよ。

GEN:それこそリフトみたいなものって、僕が高校生とかハタチくらいの時にライブハウスに行ってた頃はなかった文化だと思うんですよ。勝手にガタイのいい奴に向かって登っていくのが普通だった。友達とかとライブハウスに行って、誰かに助けてもらうみたいなのって、フェスが盛り上がって以降のノリだと思うんです。そういうのを僕はダサいと思うし、「ダサいよ」とは言うけども、それをただ全否定することは老害になるのかな、みたいな。新世代の新しいノリ方を、昔みたいに頭ごなしに否定はしなくなったかもしれないですね。

――まさにそこがフォーリミの、そしてもしかしたらKOTORIもそうかもしれないけど、いいところで。芯の部分は守りつつも、すごくしなやかに時代の変化を受け入れている感じがするんですよね。

GEN:そうですね。やっぱりライブハウスって自由な場所だと思っているので、多少は世間の感覚から逸脱していても許される場所であってほしいんです。だから細かくノリ方までこちらから働きかけるのは違う気もしています。

横山:特に何も考えてないです(笑)。だけど、俺のなかでいちばん理想のフロアがあって。全員が全員違うノリ方をしているっていうのが理想なんです。

GEN:ああ、いいね。

横山:もし100人いたら100人違う考え方があるのに、そこで周りに合わせて「みんながこうしているから」っていう考え方をしちゃうのは、すごく窮屈な気がする。みんな、周りを気にせずに自分のノリ方でノってほしいし。だから否定はしなくなりました。それぞれでいいかなって。

――ちなみにふたりのライブハウスの原体験っていうのはどういうものだったんですか?

GEN:僕は中学3年生くらいの頃にSLIME BALLを観に行って、その時に初めてモッシュっていうものを体験して。怖かったですね(笑)。僕もダイブして、頭から落ちて一瞬気を失うっていう。いまだにたんこぶが残ってるんですけど、そうやって学んでいきました。そこからすっかり上手くなって(笑)。

――(笑)横山さんは?

横山:だいぶ遅めです、そういう文化に触れたの。(出身が)宮崎だったので、ライブを観に行くと言っても、人もあんまりいないし、ジャンル的にもなぜかスカパンクが多かったんですよね。

GEN:そうなんだ。みんなスカダンスしてる、みたいな?

横山:そうそう、モッシュ・ダイブはなかったです。こっち(東京)に来て、そういうライブを観るようになって、それこそbachoとか裸体とか、他のバンドと触れ合ってから知っていきましたね。メロコアだったらよくあるかもしれないけど、それ以外のもので――なんて言うんですかね、気持ちで行くやつ(笑)。そういうもので自分は入っていったので、そういうほうがやっぱり上がるんです。忘れもしないですけど、初ダイブしたのはFILTERっていうバンドのライブで。

GEN:わかるわかる、(千葉の)柏のバンドね。

横山:そうです。対バンしたんですけど、俺(FILTERが)好きすぎて最前で観てたんです。そうしたら、ボーカルの(豊方)亮太さんからギターを渡されて。しかもシールド挿さってないんですよ(笑)。どうしたらいいかわからないからとりあえず弾く真似とかしてたら、周りが持ち上げて、ギター持ったまま人の上に乗ってて。なんか謎の初体験でした(笑)。

――(笑)。でも、そういう文化ってバンドからバンドへ、現場で受け継がれてきたもので。その最前線に今フォーリミもKOTORIもいると思うんですけど、そういうことを意識することはありますか?

GEN:僕は結構してますね。そうでありたいというか、ライブハウスシーンに属しているバンドであり続けたいという気持ちがあって。それこそメジャーに行って、会場も大きくなるなかで、そういう精神をなくして進む選択肢もあったと思うんですよ。それもあり得たと思うけど、それは絶対にイヤだなと思ってました。僕はHi-STANDARDがすごく好きで、そういうバンドを目指してたので、ハイスタが好きな世代の人たちもピンとこさせたいし、ハイスタを聴いていた頃の10代の自分もピンとこさせたいので、そういう人たちが「シャベえな」と思うようなバンドには絶対なりたくないと思うんですよね。

――そこが出発点で、それが今も続いているっていう感じなんですね。

GEN:そうですね。最近、ネットミーム的なやつで、「『あの夏はメタルを聴いていた』なんてことはメタラーにはありえない」みたいな感じのものがあって(※もとはドキュメンタリー映画『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』でのロブ・ゾンビの言葉)。僕も、その感覚にはしっくりくるんです。10代の頃はポップパンクとかを好きになって、こういったハードコアカルチャーを好きになってからも一度も嫌いにはなっていないですし、もちろんそれ以外のHIPHOPやダンスミュージックも好きだし、最先端の音楽にも興味あるし、聴きますけど、いわゆるコロナ禍とか社会が不安定になった時には昔から好きだったものにすごく支えられてました。やっぱり、一度刺さったら抜けないものなんだなって。それが刺さった頃の自分と同じような感覚の子たちにも刺したいというか、そうすればきっとその子たちにも一生刺さってくれるのかなって。そういう感覚でやってるんです。

横山:俺もまったく同じです。ライブハウスっていろんな衝撃があったじゃないですか。ライブハウスだけじゃなくて、バンドがかっこいい時の衝撃って絶対に忘れられないと思っていて。この場所で観たこのバンドっていうのが俺には結構あって。新宿LOFTのバーフロアで観たQomolangma Tomatoとか、一生忘れられないんですよ(笑)。

GEN:いいね(笑)。しかもチョモとか、ライブで初めて観たら完全に新しいものに触れた感があるだろうしね。

横山:なんか、沸き立つ感じでした。それはその時の感性でそう思ったのかもしれないけど、その感覚をわかってほしいし、そういう体験をしてほしいし。自分はどんどん新しいことをやりたいほうの人間なんですけど、「俺みたいな奴が“ずっといい”って言ってくれればいいかな」というか。ライブハウスって、何やってるかよくわからないけどかっこいいバンドがいっぱいいるじゃないですか。大きいところになると熱量が届きづらいこともあるかもしれないけど、ライブハウスのあの距離感だったら100%伝わる。たとえば、ライブハウスで観た時に衝撃的だったバンドが、ホールとかでやったとしても同じ衝撃を受けるかと言ったらそれは違う部分もあると思うし、そのやり方があると思う。そう考えると、まだ俺はライブハウスの規模で衝撃を与えたい。いつか大きいところで完全なショーとしてやりたいなとも思うんですけど、できるあいだはこの熱量がそのまま届く範囲でやりたい。

――いつかはそういう大きなショーをやりたいという気持ちもある?

横山:ありますね。テーマパークというか、視覚と聴覚でグッとできるようになったら、年齢も関係ないだろうし、座って観てもらってもいいし。そういう音楽、自分自身も好きなので。絶対にライブハウスがいいとは思ってないんですけど、いざそういう方向に行ったら、またライブハウスでやりたくなるんでしょうね。

――フォーリミはまさにそうですもんね。

GEN:うん、結局両方やってますね。どっちも楽しめるようになってきました。

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