和楽器バンド、日本武道館で活動休止を告げる 金爆・樽美酒研二も駆けつけた『大新年会2024』

 1月7日、和楽器バンドが日本武道館にて『Lemino presents 和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 ~八重ノ翼~』を開催した。デビュー時から和楽器バンドの恒例行事となっている大新年会は、今回でちょうど10回目。また、デビュー10周年のアニバーサリーイヤーの始めということもあり、まさに記念すべきライブであった。しかし、本公演のアンコールで、「和楽器バンドは2024年12月31日をもって無期限の活動休止に入る」ことを突如発表。本記事では、激動の2時間半の模様をレポートする。

 美麗な着物姿の観客も見受けられ、新年会らしい祝賀ムードが漂う中、定刻を少し過ぎたころに暗転。ステージを取り囲むように紫色のペンライトの明かりが一斉に灯り、武道館を美しく彩る。壮大なSEが流れる中、ステージ中央に掲げられた巨大な幕には8枚の白い羽が舞う。拍子木の軽快な音を合図に幕が落下すると、横一列に並んでポーズを決めた8人が華麗に登場。鈴華ゆう子(Vo)は8色のメンバーカラーで彩られた舞扇子を手に微笑んでいた。

 割れんばかりの歓声に迎えられながら、「愛に誉れ」で勢いよくスタート。観客もメンバーも、1曲目からエンジン全開でぶつかり合う。鈴華ゆう子が「さあ、日本武道館! 1つになって盛り上がっていくぞ!」と煽り、そのまま「雨のち感情論」へ。鈴華ゆう子の柔らかくも凛とした歌声が、黒流(和太鼓)と山葵(Dr)の阿吽の呼吸で刻むエネルギッシュな音に乗って響き渡り、神永大輔(尺八)が華やかなフレーズを重ねる。各メンバーのソロパートに突入すると、亜沙(Ba)と蜷川べに(津軽三味線)が軽快なリズムで早弾きを見せたかと思えば、いぶくろ聖志(箏)と町屋(Gt/Vo)が高揚感あふれるメロディーをたっぷりと聴かせる。まさに和楽器×ロックバンドという彼らの真骨頂がダイレクトに味わえる瞬間だった。

 MCは、「今回も日本武道館にて和楽器バンドの大新年会を開催できたことを嬉しく思います。集まってくれてありがとう」と、鈴華ゆう子が改めて感謝の気持ちを言葉にし、「年始から色々大変なこともありましたが、少しでも明るい気持ちで楽しい時間を一緒に過ごせたら」と思いを伝えた。さらに、「今日初めて来た人!」「10回以上来てくれてる人!」「海外から来てくれた人!」と様々なパターンで呼びかけて観客とコミュニケーション。ちなみにどの質問にも複数の観客が手を挙げており、和楽器バンドの客層の広さを実感させられた。

 天井に水面のような模様が浮かび上がり、独特の緊張感が漂う中、いぶくろ聖志が流れるような美しい箏の音を響かせる。観客がその音色に酔いしれていると、ステージ後方から鈴華ゆう子がせり上がりで登場。舞扇子を掲げ、手を大きく広げて無数の羽を操る姿は、まるで女神のような神々しさを放っていた。残りのメンバーが姿を現すと、「月下美人」へ。鈴華ゆう子の透明感あふれる歌声を体現したかのような、透き通った月下美人の花がスクリーンに映し出され、幻想的なムードに包まれた。その後も、「細雪」「雪よ舞い散れ其方に向けて」と冬の情景を美しく描き出すバラードソングを続けて披露。観客はステージに釘付けになりながら、彼らの生み出す雅やかな音楽に酔いしれた。

 ここで改めて10周年という節目に触れ、これまでの活動を振り返るメンバー。その中で鈴華ゆう子は、「和楽器バンドの10年を一言でいうと、第二の青春時代。今まで経験したことのないようなこと、メンバー8人が揃ったからこそ初めて見た世界がいっぱい広がっていて、とにかく全てが新鮮でした」と感慨深い表情を浮かべながら語った。

 「生命のアリア」で力強い魂の叫びを表現し、一気に観客の心を惹きつけてから、ライブは後半戦へ。ここでスクリーンに撮影OKの文字が映し出され、観客は一斉にスマートフォンを構える。厳かな尺八の音色で神永大輔が静を壮大に表現した後は、黒流が太鼓隊の2人(山田ケンタ·橋口隆之)と共に怒涛の勢いで和太鼓を叩き、躍動感溢れるリズムを打ち鳴らす。そこへ鈴華ゆう子が登場し、剣舞隊の2人(鈴華の流派でもある日本壮心流の入倉慶志郎、入倉真之将)と共に勇ましい剣舞を披露。空を切り裂く音まで聞こえてきそうな迫力満点の演技に観客は息を飲む。続いて、蜷川べにの津軽三味線に合わせて町屋がアコースティックギターを演奏。柔らかな音色で温かみのあるムードを作り上げると、今度は町屋がエレキギターに持ち替え、亜沙、山葵と共に王道のバンドサウンドをロックに叩きつける。メンバーが自在に組み合わせを変えながら様々な音楽を表現するこのパートは、各々の道を極めた8人だからこそ成し遂げられたものだろう。

 恒例のドラム和太鼓バトルのパートでは、なんとゴールデンボンバーの樽美酒研二がゲストとしてサプライズ登場。樽美酒と山葵は、『SASUKE』(TBS系)にて日置将士、岩本照を含めて“SASUKE4兄弟”と呼ばれており、今回は“山葵の最強のライバル”としてロープ速登り対決にチャレンジするという。武道館の高い天井から伸びたロープを腕の力だけで登るという、音楽とは無関係の筋肉勝負が突如スタートすると、会場は大盛り上がり。大歓声が2人を応援する中、山葵が勝利を勝ち取った。樽美酒は「音楽はできないから!」と言いながら、もちろんドラムを叩くことはなく降壇。その後、黒流と山葵がしっかりと熱いドラムバトルを繰り広げ、会場中の観客を高揚させた。

 様々な演出と新旧織り交ぜたセットリストで、濃密なステージを届けた本編。そのラストを飾るのは、「暁ノ糸」。花鳥風月を背に壮大なハーモニーを奏でるメンバーと、その光景を目に焼き付けながら共に歌う観客たち。記念すべき本公演にふさわしい、感動的で美しいフィナーレを飾った。

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