MIYAVI、異なる魅力を発揮した驚きの2日間 挑戦欲を爆発させたデビュー20周年追加公演

 続けて、<Day.2:Acoustic Xmas>と題された2日目。“Electric”が「動」なら“Acoustic”は「静」というイメージだが、そこはMIYAVI流でおかまいなしに「動」のステージで観客を沸かせた。激しいドラムとパッション溢れるピアノに合わせて、エレアコギターのボディを叩いたりしながら、MIYAVIの代名詞となったタッピング奏法でベースのように演奏。まるでジャズのインプロビゼーションのように、アドリブ感満載の演奏で会場を沸かせた。

 中盤のバラードゾーンはアコースティック演奏によって、MIYAVIのボーカリストとしての表現力の高さと独特の色気が浮き彫りになった。2人の女性バックコーラスが加わった「Me and the Moonlight」では、観客がスマホのライトを照らしどこか幻想的なムードに。ファルセットで今にも壊れそうなハートを歌ったR&B調のナンバー「FRAGILE」を続けて披露し、よく響く低音からハイトーンまで実にレンジの広い歌声を聴かせたMIYAVI。耳に心地よく残る声質で届けられる、甘いラブソングからメッセージ性あふれるアジテーションまで、どれも思わず聴き惚れてしまうものばかりだ。そして「久しぶりにこのナンバーをお届けします」と言って演奏したのは、沢田研二「TOKIO」のカバー。歌詞を〈YOKOHAMA〉と言い換えて観客と合唱し、楽曲の持つ未来へと思いを馳せた。

 ライブ終盤は、アコギをエレキに持ち替え、初日同様に爆音でライブを展開。挙げた手を前後に揺らした「Fire Bird」は、延々と繰り広げられるギタープレイが圧巻。「BANG!」では観客の大合唱とクラップが響き渡る中、MIYAVIはお立ち台に上がって高速で演奏を展開し、壮大な世界観が会場中に広がった。

 2日目本編を終え「腐ってもミュージシャンだから、ずっとステージに立っていたい。同じ曲をやってもどこか進化していたい」と語ったMIYAVI。今回から導入したという黒いマイクスタンドのことにも触れ、「大地からのパワーを感じながら、ボーカリストとしても新しいMIYAVIの声を届けたかった」とコメント。また、アンコールでは両日とも黒いサンタ帽をかぶってステージに登場し、「Santa Claus Is Coming To Town」を披露。少し遅れてのメリークリスマスを、観客とともに楽しんだ。

 また、両日とも『コードギアス 奪還のロゼ』の主題歌に起用される新曲「Running In My Head」が初披露された。アッパーで熱いサウンド、ちょっとクールなメロディ、天井をも突き破りそうに爽快なサビが印象的。まるで女性を引き寄せるように、マイクスタンドを引っ張ってハイトーンのボーカルを聴かせたMIYAVI。リリースはまだ半年近く先とのことだが、この曲をまた聴きたいがために、またライブに足を運ぶのもいいなと思えるほどカッコいい仕上がりだった。

 セットリストの当日変更は2日目の公演もあり、ライブにいい意味での緊張感を与えていた。ライブに予定調和があってはならないというのも、MIYAVIのポリシーだろう。実際に2日間それぞれ、エレキとアコギ、ダンサーとコーラスという異なる演出によって、同じ楽曲もまるで違う聴こえ方になっていて、両日参加のファンを驚かせていた。ただリハーサルの期間の短さに苦労したそうで、「費用対効果が悪すぎで、激しく後悔しています(笑)」と、冗談めかして笑いながら話す場面もあったが、その目は気迫でギラギラとしていた。そのほか、ステージにスマホを持ち込んでその場でInstagramを更新し、観客からコメントを集めたり、撮影OKの曲があったりと、足を運んだファンにとってはサプライズ尽くしとなった今回のライブ。ユーモアとサービス精神にあふれ、演奏は常に120%でエンジン全開。そんなMIYAVIに惚れっぱなしの2日間だった。

 年末ということもあり、来年の嬉しい予定も多数発表された。来年、2枚のオリジナルアルバムをリリースすること、さらにアルバム先行シングルとして「Broken Fantasy」を2月4日にリリースすることなど。来たる2024年もMIYAVIの動きから目が離せなくなりそうだ。

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