HEY-SMITH、w.o.d.、SIX LOUNGE……初のアニメタイアップで躍進するライブハウスバンド

SIX LOUNGE×『僕のヒーローアカデミア』

 最後に紹介するのは、SIX LOUNGE。2012年結成、大分出身の3ピースバンドだ。ライブシーンではすでに絶大な人気と支持を誇るバンドではあるが、今年、「キタカゼ」が、『僕のヒーローアカデミア』(6期第2クール)のエンディングテーマに起用されたことをきっかけとして、初めて彼らのことを知った人も多いと思う。また、今年の春から夏にかけてSNS上でバズが巻き起こった「リカ」に触れた人も少なくないはずだ。筆者は、フェスなどで何度も彼らのアクトを観てきて、その度にロックへの果てしない愛を滲ませた強烈なビート、激しく轟く骨太なギターリフ、そして、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)の胸の内で昂るエモーションの全てをストレートに放出するような渾身の歌に、強く心を動かされてきた。

 先ほど、w.o.d.の「STARS」を紹介する際に、「バンドが自分たちのロック観を貫いたまま、アニメ作品と深く共鳴し合う楽曲を生み出すことができたケース」と綴ったが、その他にも、アニメ作品との出会いによって、バンドの音楽性に新しい変化がもたらされるパターンもある。SIX LOUNGEにとって初のアニメタイアップ曲となった「キタカゼ」がまさにそのパターンで、同曲は彼ら史上、最も爽快感と開放感を感じさせる一曲に仕上がっている。バンドは、『ヒロアカ』とのコラボレーションについて、「吹きつける向かい風を、追い風に変えて仲間と共に突き進んで行く姿は本当にカッコいい。物語と共に、あなたの背中も押せる曲になってほしいと願います。よろしくお願いします」(※3)とコメントしており、物語を彩る役割を果たすだけでなく、同時に、リスナーの背中を押したいという揺るがぬ想いが伝わってくる。新しいリスナーとの出会いが大きく増えるタイミングで、それまで以上に広く開かれた一曲をドロップすることもロックバンドにとっての一つの正攻法であり、結果として「キタカゼ」は、彼らにとっての新しい代表曲としての地位を見事に確立したと思う。

SIX LOUNGE「キタカゼ」Music Video

 こうして振り返ると、各バンドが大切にし続けている信念や矜持が全く薄まることなくアニメタイアップ曲へと結実している事実が浮き彫りになる。これから先も、ロックバンドがアニメとコラボレーションすることによって生まれる化学反応や新しい可能性に注目していきたい。

※1:https://realsound.jp/2023/01/post-1226177.html
※2:https://bleach-anime.com/music/op02.html
※3:https://heroaca.com/music/music_6th_2/

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