WOLF HOWL HARMONY、強みを活かしたラブソング 全力のステージに向けた心がけも明かす
LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children〜』から誕生したWOLF HOWL HARMONYが、11月15日にデジタルシングル「Sugar Honey」をリリースした。同曲は恋愛疑似体験型ショートドラマ『キス×kiss×キス~LOVE ⅱ SHOWER~』(テレビ東京)の主題歌として書き下ろされた、“好きすぎて辛い”ラブソング。楽曲の制作エピソードはもちろん、歌詞にちなんだ妄想トークやライブ前のルーティンなど、幅広いテーマで語ってもらった。(斉藤碧)
「僕らの意見が反映されて、よりWOLFらしくなった」(SUZUKI)
――今作「Sugar Honey」(作詞:YVES & ADAMS/作曲:T.Kura・Chaki Zulu・Satoru Kurihara (Jazzin' park))は『キス×kiss×キス』の主題歌ですが、はじめからドラマのために書き下ろした楽曲なんですか?
RYOJI:そうですね。前作「Sweet Rain」を作ってくださったみなさんに、“好きすぎて辛い”をテーマにしたラブソングを作っていただきました。レコーディング前には、僕らもドラマの撮影現場に見学に行ったんですが、その時に出た「僕らの曲が流れた瞬間に恋が始まるような楽曲にしたいね」という話も作家さんたちに共有して、素敵な楽曲に仕上げていただきました。
SUZUKI:『花より男子』で言うところの「Love so sweet」(嵐)みたいに、イントロだけでも「お!」ってなってもらえたらいいよねって話していましたね。
――『キス×kiss×キス』を観て、SNSで“正気じゃいられない”状態になっていたHIROTOさんは、現場で撮影を見ていて大丈夫だったんですか?
HIROTO:いやぁ……正気じゃいられなかったですね(キメ顔)。
一同:あはははは!
HIROTO:と言っても、僕らはちょうどキスシーンが終わった頃に現場に行ったので、そこには立ち会っていないんですけど。他の人と一緒に観ても、1人で観ていてもドキドキするドラマですから、その現場にいるってだけで落ち着かなかったです。
SUZUKI:もし現場でキスシーンを見ていたら、こんな甘酸っぱい歌にはならなかったかもしれないよね? もっと感情的なボーカルになってたかも(笑)。
GHEE:刺激されちゃってね(笑)。
――「Sugar Honey」は「Sweet Rain」の作家陣が手掛けているということですが、バラードっぽく始まり、徐々に加速していく曲構成や歌割にも前作との繋がりを感じました。2作目にして、「WOLF HOWL HARMONYって、こういう音楽性のグループだよね」というイメージが確立されたなと。
SUZUKI:それは僕たちも感じています。「Sweet Rain」の時もそうだったんですが、今回も結構早い段階から打ち合わせに参加させてもらっていたのが、大きな理由じゃないかなって思いますね。楽曲構成や歌割にも僕らの意見が反映されているので、よりWOLFらしくなったというか。例えば、最初にいただいたデモにはラップパートがなかったんですけど、僕らはラップも強みだと思っているので、そこはしっかり活かしていきたいとお伝えしました。
――「Sweet Rain」の時もGHEEさんが「もともとこの曲はラップパートがなかったんですけど、僕のほうからご相談して、ラップパートを作っていただくことになったんです」とおっしゃっていましたよね(※1)。
GHEE:今回もT.KuraさんやChaki Zuluさんと「ラップを入れるんだったら、ここじゃない?」とか「どんなラップを入れる?」っていう話し合いをしながら、一緒に形にしていきました。歌割も僕たちの声質の強みを踏まえて、一番しっくりくる歌割を考えていて。特にサビは「この歌詞にはRYOJIくんの落ち着いた低音が合うよね」ってことで、満場一致でRYOJIくんに決まりましたね。
「自分らしいラップで楽曲の空気をガラッと変える」(GHEE)
――では、そんなサビのお話から、1人ずつレコーディングでこだわったことを教えてください。
RYOJI:僕が歌うサビは〈こっち向いて 独り占めしたくて〉という歌詞から始まるんですが、自分のキャラクターとは正反対な歌詞だなっていうのが第一印象でしたね。というのも、僕ってクールな歌い方をすることが多いんですよ。自分の好きなジャンルがR&Bなので。でも、その色を出しすぎると今回の曲には合わないのかなと思いましたし、もっといろんな引き出しを試したいという意欲もあったので、レコーディングに立ち会ってくださったKuraさんやChakiさんからアドバイスをいただきながら、これまでやったことがないくらい大きく口を開ける発声法で歌いました。
――それは言葉をハッキリ伝えるために?
RYOJI:そうです。さらに細かいことを言うと、ロー(低音)というよりはハイ(高音)成分を多めにして、全体的に一歩引いて歌っているイメージ。こう言うと専門的に聞こえると思うんですけど、前回の「Sweet Rain」のサビとは違う声質になっていると思うので、その違いを感じてもらえたら嬉しいです。
――本来のキャラクターと違うということは、演じるように歌っていたんですか?
RYOJI:完全に演じてましたね。〈ハート奪われすぎて/ツライCry〉って、僕はそこまで誰かに夢中になったことはないんじゃないかなぁ……。でも、失恋した時は男性のほうが女性より立ち直りが遅そうだなって思ったりもするし。そんな男性の弱い部分が表現できたらいいなと思って歌わせていただきました。
――個人的にはサビ以上に、2番の〈そろそろ目の前にある/幸せにその手伸ばして〉を歌うRYOJIさんが新鮮でした。「僕の存在に気づいてよ」って、健気に鳴いてる子犬みたいで(笑)。
一同:あはははは!
RYOJI:ここは、ちょっと可愛らしい感じがありますよね。「ねぇねぇ~」みたいな。
HIROTO:ねぇねぇ~(隣に座っているRYOJIをツンツン)。
RYOJI:実際の僕は結構ハッキリ言っちゃうタイプなので、こういう経験はないんですけど(笑)、演じる楽しみを感じながら歌っています。
――サビ終わりの〈ため息は甘いJealousy〉は、GHEEさんの甘い歌声がすごくハマっていますね。
GHEE:ありがとうございます。ここは「羨ましいなぁ……」という気持ちを込めたパートなので、語尾に感情を乗せると言いますか。苦しい恋心とまではいかないけど、執着心みたいなものを少し滲ませながら、〈甘い〉のところでエッジボイスを使ってみたり、声を少しひっくり返して歌ってみたりしましたね。それとラップパートは、僕が本来得意とするオーセンティックなラップとは違っていて。それこそWOLFになってからは毎回メロラップに挑戦しているんですけど、今回もそこが僕の見せ場になっています。僕の声は特徴的なので、そこまでWOLFに詳しくない方でも「この声はGHEEだ」ってわかりやすいと思うんですよ。だったら、自分らしいラップで楽曲の空気をガラッと変えようと、他のパートとの違いを意識しながらレコーディングしました。
――ラップパートは緻密に韻を踏んでいて、最初に聴いた時は聴き心地の良さが印象的だったんですけど、改めて歌詞を読むと、すごく甘い愛の言葉を伝えていますね。
GHEE:〈愛される/意味を教えてあげる〉ですからね。レコーディングの時はメロディやサウンド感を重視して歌ったんですけど、歌詞を読み込む中で、この曲は聴いてくれている人に話しかけているような、好きな人と会話しているような歌詞だなと感じていたので、ライブの時は僕も口を大きく開けて、歌詞を自分の言葉として伝えるつもりで歌っています。
SUZUKI:僕の見せ場は、やっぱり歌い出し。この曲に限らず、歌い出しを担当する時は僕の歌声で一気に世界観を作らないといけないので、技術的に上手く歌うのはもちろんですが、それと同じくらい景色が見える歌を届けたいなと思っています。特に「Sugar Honey」の歌詞は、〈なんてゆうか〉とか〈っていうかさ〉のような話し言葉や、〈急ぐ足音に 駅ビルのBGM〉のような具体性の強い言葉が多く使われているので、レコーディングでもその言葉がストレートに入ってくるように意識して歌いました。
――ちなみに、発音にこだわってレコーディングされたところ申し訳ないのですが、最初にスピーカーで聴いた時は、SUZUKIさんが歌う2Aの〈僕なら寂しくなんかさせない〉が〈僕らは寂しくなんかさせない〉に聞こえまして……。
SUZUKI:!?……そう聞こえましたか(うなだれるSUZUKI)。
RYOJI:あからさまに落ち込まないの(笑)。
――何か狙いがあったのかと思ったのですが、違ったようです。失礼しました!
SUZUKI:いえいえ(笑)。意図していたことではなかったんですが、確かに1Aと違い、2Aからはビートが入ってきてノリが出てくるところなので、発音を大事にしながらもグルーヴ感は消したくないと思っていて。それが結果として、そういう空耳になったのかなと思います。
RYOJI:「WOLFは君を寂しくなんかさせない」ってことで、ね(笑)。
――フォローありがとうございます(笑)。そして、SUZUKIさんが歌うAメロに続くのがHIROTOさん。ハイトーンで歌い上げるのが得意なHIROTOさんにしては、「Sugar Honey」は低音パートが多いですね?
HIROTO:おっしゃる通り、僕にとってこの曲は自分の一番ベストなキーを出せる楽曲ではないので、出だしやサビでどうやったら良い艶が出せるかな? っていうのを自分なりに考えて歌いました。その中で自分の歌声の種類や、それをどう使い分けていくかを学べたことが、今回のレコーディングでの大きな収穫でしたね。WOLFの楽曲はスーくん(SUZUKI)がAメロを歌って、その後、スーくんが作ってくれた世界観を僕が歌い繋ぐという構成が定番化しているんですけど、「Sugar Honey」もスーくんの世界観に寄り添うことを意識してレコーディングに臨みました。
――YouTubeの企画でたくさんのカバー曲を4人で歌ってきたことも、表現力を磨くための良い経験になっていたのでしょうか。
HIROTO:そうですね。カバーとはいえ、オリジナルをそのまま再現するのではなく、自分たちの良さを出すために工夫しながら録っていたので、そこで磨かれたものは多かったと思いますし。「Sugar Honey」のレコーディングで、歌詞によって声の表情を変える際にも、カバーを歌ってきた経験がすごく役に立ちました。