The Beatles、新曲リリースの奇跡 ピーター・バラカン&オカモトショウ「Now And Then」を語る

 また、「Now And Then」のデモテープについて、バラカンはリリース前からその存在を薄らと認識していたという。

「『Real Love』と『Free As a Bird』が発表されたとき、もう1つ未発表の曲があるという話をどこかで聞いたことがありました。ただ、もちろん音は聴いたことがなかった。だからなぜ今出したのかが不思議ですね。ポールの中で、何かタイミングがあったのでしょうか」(その直後に50周年となった「赤盤」(『ザ・ビートルズ 1962年~1966年』)「青盤」(『ザ・ビートルズ 1967年~1970年』)が発売され、「青盤」の最後に「Now And Then」がボーナス・トラックとして収録されていました)(ピーター・バラカン)

「コウキ(オカモトコウキ/OKAMOTO'S)に『Now And Then、すごく良かったね』と言ったら、『でもジョンのデモには、もう一つ曲の展開があった。あれがすごく好きだったからカットされて悔しい』と言っていました。実際に自分もデモを聴かせてもらったら、確かに良い展開が含まれていました。でもバンドで曲を作るとなると、誰かが作ってきたデモに他のメンバーが手を加えたりカットしたりすることは普通に起こるじゃないですか。そういう部分も含めて、“The Beatlesのニューシングルが出た”という感じがして好きでした」(オカモトショウ)

 そして、オカモトショウは、「Now And Then」のシンプルで普遍的な歌詞が心に強く響いたと話す。

「歌詞が超良かったなと思ってます。みんなと喧嘩してThe Beatlesを解散したジョンが、一人でこの歌詞を書いてたんだと思うと泣けてきちゃいます」(オカモトショウ)

「今回の歌詞はすごくシンプルで、メッセージというものでもないけど、色々な人の感想を見ていると、その言葉がすごく響くという人もいますね。彼らが喧嘩していたのはあくまで解散した時の話で、その後はみんな久々に会ったりすると割と仲良くやっていたみたいです。ジョンとポールが罵り合ってたのは、解散した翌年とか70年代初頭までですし、みんな大人だから、しばらくするとそういう感情も薄まってくるのでしょう」(ピーター・バラカン)

「The Beatlesの色々な作品が出てくるたびに思うんですけど、クオリティが全部すごく高いんですよね。さっき話した映像が綺麗というのも含めて。それは世界中のクリエイターたちの中でThe Beatlesを嫌いな人がいないからだと思うんです。それは見ていて楽しいですよね。この曲もまだ聴いてない人がいたらぜひ聴いてほしいです。それで、『俺は好きじゃない』『いや俺は最高だと思った』とか話し合えたらいいですよね」(オカモトショウ)

 技術の進歩と失われなかった情熱により、長い年月を経て蘇った「Now And Then」。完成までの軌跡と共に楽しみたい。

 本トークの完全版は、リアルサウンド映画部のオリジナルPodcast番組『BARAKAN CINEMA DIARY』Season2の第3回(第21回)で視聴できる。

■配信情報
『BARAKAN CINEMA DIARY』#21
『Now And Then - The Last Beatles Song』
出演:ピーター・バラカン、オカモトショウ
配信メディア:Spotifyほか各種配信サイト
Spotify podcast
Amazon Music ポッドキャスト

■配信情報
『Now and Then: ザ・ラスト・ビートルズ・ソング』
ディズニープラスにて配信中
監督・脚本:オリヴァー・マーレイ

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