『プロセカ』25時、ナイトコードで。はなぜ若者の共感を呼ぶ? 求められる“負の感情”昇華した音楽性

ザムザ / 25時、ナイトコードで。 × KAITO【3DMV】

 そして、11月8日にリリースされるニーゴの7th Singleには「ザムザ」と「キティ」の2曲を収録。てにをはが書き下ろした「ザムザ」は、イントロのボーカルチョップやラテン系の要素を採り入れたアグレッシブなトラックも鮮烈だが、フランツ・カフカの小説「変身」の主人公、グレゴール・ザムザからヒントを得たであろう歌詞が特に印象に残る。ある朝、目が覚めたら自分が虫になっていたザムザ。その不条理な物語と、母親の抑圧的な愛情にさらされ続けてきたまふゆ のストーリーが重なることで、この楽曲で描かれる絶望と希望はさらに深く心に刺さるものとなる。おそらく、歌詞の〈シャガの花に毒されても 光は1時の方角にある〉は、まふゆにとっての希望が“深夜1時=25時”、要するにニーゴの仲間たちだということを示しているのではないだろうか。

キティ / 25時、ナイトコードで。 × 鏡音レン

 もう一方の「キティ」は、MAISONdes「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」のヒットで知られるツミキによる夜の街を疾走するような煌びやかさと圧迫感のあるギターサウンドが同居したナンバー。儚さを残しつつも力強く歌う奏、まるで反抗心に目覚めたかのような歌を聴かせるまふゆ、〈銘銘に踊れや。一、二、三、四。〉でのファナティックな歌い口が強烈な絵名、がなり声を含む芯の通った歌声でリードする瑞希と、いつも以上に頼もしい歌声を聴かせる4人の歌唱アプローチも結束感を演出している。サビの歌詞に〈逃げ出して!〉というフレーズがあるのも、この楽曲が実装されたゲーム内のイベントストーリー「ボク達の生存逃走」に触れた人ならグッとくるポイントだろう。

 『プロセカ』のオリジナル楽曲は、各ユニット/キャラクターのストーリーを踏まえて制作されているため、その背景を理解していたほうがより深く楽曲を楽しめることは間違いないが、それだけでなく、ボカロシーンを中心に活躍する実力派クリエイターたちが手掛ける楽曲の強度と鮮度の高さ、“人間×ボカロ歌唱”という意味での掛け算的相乗効果を含め、キャラクターソングという手法を取りつつも最新鋭のポップミュージックとして楽しめるものになっている。そのなかでもニーゴの楽曲は、さまざまな“負の感情”がまん延する現代にこそ、必要とされているものではないだろうか。

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25時、ナイトコードで。 7th Single『ザムザ/キティ』

■リリース情報
25時、ナイトコードで。 7th Single『ザムザ/キティ』
2023年11月8日(水)発売
価格:¥1,540 (税込)

<収録内容>
1.ザムザ
2.キティ
3.ザムザ -instrumental-
4.キティ -instrumental-

詳細はこちら
https://bushiroad-music.com/musics/brmm-10695

『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』公式サイト
https://pjsekai.sega.jp/

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