いまの櫻坂46の真髄を感じられる映像の魅力 7thシングル「承認欲求」「マモリビト」MVを観て

 櫻坂46が10月18日にリリースする7thシングル『承認欲求』より、表題曲とカップリング曲「マモリビト」のMVが公開された。「承認欲求」のMV再生回数は公開からわずか2週間足らずで200万回を突破しており、注目度の高さがうかがえる。本稿ではいまの櫻坂46の真髄を感じられる映像の魅力を掘り下げてみたい。

櫻坂46『Start over!』

 「承認欲求」の監督は前作「Start over!」から引き続き加藤ヒデジン。これまでも「BAN」や「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」、「Dead end」など多くの櫻坂46楽曲のMVを手掛けてきた加藤は、静と動にフォーカスした映像やリアルとファンタジーを往復する奥行きのある表現スタイルを得意としている。櫻坂46屈指の名作とも名高い「Start over!」のMVでは、加藤の世界観がグループの魅力と融合し、彼女たちのポテンシャルを上手く引き出していたのが印象的だった。

櫻坂46『承認欲求』

 さて、大きな天井から光が差し込む教会で撮影された「承認欲求」のMV。会社のオフィスを舞台に自由奔放に踊り狂う前作「Start over!」はかなりの衝撃作だったが、今回は全体的に統一感のあるダンスで構成されている。「承認欲求」は文字通り「他者から認められて自分の価値を証明したい」という人間に備わっている欲求であり、現代に生きる人々が抱える葛藤を表現している。

 冒頭、開けた教会の天井が映し出されると、カメラのアングルは教会に祈りを捧げるポーズをとるセンターの森田ひかるを捉え、一気に森田の正面へと回り込みその表情を映す。そこで立ち現れる「承認欲求」の文字。すると森田が眼鏡を外し、片足で粉々に踏み潰すところから楽曲はスタート。森田のこの一連の行動は、表情も相まって祈りを捧げている仮初めの自分からの脱却という決意のように取れる。Aメロからは中央の通路に立つ森田がメンバーを引き連れて次第に整ったフォーメーションが作られていく。教会の中央部で踊る身体全体を使ったフォーメーションダンスは、空間を広く見せるカメラワークを駆使しつつ、メンバーの表情をはっきりと捉えている。

 2番では狭い通路で縦横無尽に披露されるダンス、スマートフォンで大園玲や田村保乃を撮影しているカット、白い衣装を纏った森田が宙を舞うシーンなど、楽曲の世界観に寄り添いながらも加藤らしい現実と虚像の融合した空間が作られていた。森田が公式ブログで「スカートのレイヤーがポイントです」「柄の入ったパンツスタイルなので細かいステップなど足の動きも見えやすくなっています」と明かしていたが、統一感のあるダンスの中でも無規則な動きをするスカートのレイヤーがフォーメーションダンスを華やかにしていた(※1)。

 そして大サビではスポットライトのみの明かりが照らされた教会で、森田を中心にフォーメーションダンスが繰り広げられる。センターである森田の存在感はさることながら、初選抜ながら谷口愛季、中嶋優月、村井優、山下瞳月の4人のダンスも引けを取らない。本作には新旧の融合がひとつのテーマとしてあったかと思うが、一期生と二期生の貫禄、そして三期生の資質を感じられたMVだった。

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