NOMELON NOLEMONが作り出した新たな“ルール” バンドスタイルを軸にしたLINE CUBE SHIBUYAでの自由なステージ

 今の日本の音楽シーンは率直に言って、ボカロシーンに追い風が吹いている。チャート上位に常にボカロ由来の楽曲が食い込み、ボカロ出身のシンガーソングライターや、そのユニットが大きな人気を集めている。ツミキもまたその風を受けている一人と言っていいだろう。しかし、ツミキはこのノーメロというユニットで、みきまりあと対等な立場で物作りに励み、サポートメンバーたちとともに至極バンド然としたスタイルで音楽を発信している。彼ならきっと、現在巷を賑わせているボカロ周りのアーティストたちと同じように、ソロアーティストとしてもやっていけるだろうし、あるいは作家としても引く手数多の才能を持っている。とすれば、今あえてバンドというフォーマットにこだわる理由とは何だろうか。なぜ今、バンドなのか。

 それはシンプルに気の合う仲間たちとバンドがしたいという、プリミティブな欲求からなのではないか。ベース担当の尋瀬ロルはツミキとは小学校からの幼馴染で、ギター/ドラムを担当するれあいはツミキが10代の頃にバンド活動をしていた時代からの仲だという。こうした旧い仲による編成からか、とにかくステージ上の彼らの表情が生き生きとしているのだ。ツミキがドラムを叩く時の躍動感も、ギターをかき鳴らすことに没頭する姿も、まりあと2人で向かい合わせになってギターを弾く時の楽しそうな雰囲気も、すべてが生き生きとしている。このライブを観て彼らから感じ取れるのは、そうした親しい仲のメンバーと楽しくバンドがやりたいという、極めてシンプルな思いなのだ。

 終盤、怒涛のラストスパートで駆け抜けた後、スクリーンにエンドクレジットが流れた。そのリストには、バンドメンバーだけでなく照明やヘアメイクなどの裏方としてこの公演に携わる人々の名前も載っていた。まるで一本の映画を観た後のような気分にさせられたが、これにはこの公演を作り上げたスタッフ全員へのノーメロ側の想いを感じた。

 ツミキは公演中にこんなことを言った。「ルールは守るものでも破るものでもなく、造るもの。ルールって本当はないはずなんです」。この言葉はそのまま今回のライブ作りにも徹底されていたように思う。各々が弾ける楽器を弾けばいい、バンドがDJをしたっていい、ボカロPがバンドを組んだっていい、ライブに携わった人全員を紹介したっていい。そんなナチュラルに自分自身が思う“当たり前”を具現化する。ノーメロが作り出した“ルール”が、今後の新しい常識となっていくかもしれない。そんなことを感じさせられた痛快なライブであった。

NOMELON NOLEMON、2人が正面衝突して生まれたアルバム『ルール』 結成から2年、ユニットとしての今を語る

ボカロPとしても活動するツミキと、シンガーソングライターとしても活動するみきまりあによる2人組ユニット、NOMELON NOLE…

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