NOMELON NOLEMONが作り出した新たな“ルール” バンドスタイルを軸にしたLINE CUBE SHIBUYAでの自由なステージ

ノーメロが作り出した新たな“ルール”

 ボカロPとしても活動するツミキと、シンガーソングライターとしても活動するみきまりあによる2人組ユニット、NOMELON NOLEMON(以下、ノーメロ)が10月6日にワンマンライブ『RULE』をLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。今年8月にリリースした2ndアルバム『ルール』を携えて行われたこの公演では、ノーメロが同作で提示するテーマがステージで表現されていた。

 開演時間から程なくして、ステージ上のスクリーンに開演を告げるアニメーションが流れた。すぐさまアルバムの1曲目「ルール」を披露。ステージ上には大きな“檻”のようなセットがあり、その檻の中に2人がいる状態からスタートした。〈あたしはあたしらしく生きる〉という印象的なフレーズを堂々と歌い上げるまりあ。対してツミキは、目の前のドラムを力強く叩き続ける。2人はその檻の外から出て、2曲目の「INAZMA」へ。まるで狭い世界から脱出したような解放感のある始まりだった。

 この檻はスクリーンでもあり、演奏中はそこにアニメーションや歌詞が映し出される作りになっている。レーザーが照射されるライトがいくつもついているため、映像と光によるカラフルで煌びやかな演出がノーメロの世界を支えていた。そのまま3曲目「ハイド・アンド・シーク」まで一気に駆け抜け、スピード感と解放感のある序盤を展開した。

 2ndアルバム『ルール』は「自分たちのルールを新しく作る」ということをテーマに掲げている。このライブでは、まさにそのノーメロが作る新しいライブのルールが提示されていたように思う。例えば、その一つが担当楽器だ。最初はドラムを担当していたツミキだが、4曲目の「透明水曜日」からはギターを持ち、ステージ上を自由に動き回った。ツミキは途中でピアノを弾く姿も見せ、マルチな才能を遺憾なく発揮。サポートメンバーの2人も複数の楽器を掛け持つなど、出演陣が一公演のなかで一つの役割にとどまらない自由なパフォーマンスを見せて観客を楽しませた。

 また、音楽的にもその自由さが発揮されていた。中盤まではロックバンド然としたサウンドを響かせていたが、DJブースがステージに現れると会場はミラーボールの輝く摩訶不思議なダンスフロアへと一変。ボーカルのまりあもサングラスをかけてDJに変身し、クラブ仕様にアレンジされた「ゴー・トゥ・ヘヴン」と「NAZONAZO」で会場を踊らせた。こうした普通のバンドのライブではまず見られないような構成は、今のノーメロならではのものと言っていいだろう。

 再度バンドメンバーが登場し、後半へ。「rem swimming」では効果的な光の演出で観客を魅了し、「バッド・ラヴ」では懐かしいネオンサインのアニメーションが観る者をレトロな世界へ誘った。特筆すべきはステージ上の“檻”が変形したことだ。この檻が前後に分割し、一つが上昇して縦長のスクリーンに変化したのには驚かされた。序盤はノーメロを囲う“檻”として、後半以降はライブを彩るカラフルなスクリーンとして、舞台セットもまたマルチな役割を担っていたのだ。

NOMELON NOLEMON ライブ写真

 ツミキは再びドラムへと移動し、よりパワフルなバンドサウンドを奏でていった。その演奏は終盤になるにつれて熱を帯び、会場から放たれる手拍子や歓声も徐々に大きくなっていった。ここで一つ実感したことがある。それは、ボカロPとして名を馳せたツミキが今、バンドをやることについてだ。

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