I Don't Like Mondays.『ONE PIECE』主題歌とツアーで得た自由 『RUNWAY』新曲群を語るセルフライナーノーツインタビュー
I Don't Like Mondays.が5作目となるニューアルバム『RUNWAY』を完成させた。ファッションとのリンクを感じさせるアルバムタイトルからしてそうだが、中身を聴いても前作『Black Humor』とは違った手触りを感じさせる、とても自由で風通しのいいアルバムだ。前作は「I Don't Like Mondays.とは何か」という根源的な自問自答をしながら挑戦を重ねるようなアルバムだったが、その後配信リリースを重ね、アニメ『ONE PIECE』とコラボし、海外でもライブを重ねるなかで、彼らはよりシンプルに「自分たちの今やりたいことをやればいい」という答えに辿り着いた。それが具現化したのがこのアルバムであり、だからここには、彼らの原点を思わせる80'sテイストから新進気鋭のプロデューサーとのコラボ曲まで、バリエーション豊かな楽曲が顔を揃えている。その象徴ともいえる新曲たちを中心に、このアルバムの手応えをメンバー4人に聞いた。(小川智宏)
原点に立ち返り、より自由を手にしたアルバム『RUNWAY』
――ニューアルバム『RUNWAY』が完成しました。前作『Black Humor』とはまた違うニュアンスをもった作品になりましたが、みなさんはどんなふうに今作を捉えていますか?
YU(Vo):前回のアルバムは、環境の変化もあったりして、いろいろ悩みながら作った作品だったんです。でも今回は、もっと直感的に自分たちが心からやりたいと思うものを追求して、「やっぱりこれだよね」とあらためて認識したうえで、自分たちのアイデンティティみたいなものをアルバムに詰め込めたかなと。
――たしかに、前作はディープに「I Don't Like Mondays.って何なんだろう?」と自問自答をしながら作った作品だったと思います。あのアルバムを作ったことで自分たちのなかで見えたものもありましたか?
YU:僕は歌詞を書くので、自分のなかの奥底に溜め込んでいたものを前の作品で吐き出せて、なんかすっきりしたんですよね。そのフレッシュな状態で作り始めたものが、この『RUNWAY』の曲たちかなと思います。
SHUKI(Dr):YUも言った通り、前作では環境の変化も結構あって、自分の引き出しにはなかったものにも挑戦したんですけど、今回はあらためて僕たちがやりたいことを前面に押し出したアルバムになったと思いますし、そのうえで前回やったこともうまく使って(制作が)できたんじゃないかなって。より自由なアルバムになった気がします。
KENJI(Ba):『Black Humor』の時はコロナ禍というのもあって、みんなで騒ぐというよりも、一人ひとりが家でも聴けるものにしたかったし、だから歌詞の内容も伝えやすいようにしたくて。そのために、日本の音楽をすごく勉強したり、今まで自分たちが影響を受けてきた日本の音楽をもう一回見直したり、歌詞だけじゃなくて音楽の作り方も伝わりやすくしたいと思って、工夫してやっていったんです。僕らはもともと洋楽を聴いて育ってきたのでバックグラウンドとしてはそっちのほうが強いんですけど、今の日本の音楽も「Aメロ→Bメロ→サビ」という形式にとらわれずに、すごく進化している気がして。そういう音楽が持っている、洋楽にもないような要素を前作で学んだので、今回は洋楽のバックグラウンドを使いながらも、前作で学んだ形式だけではないやり方も混ぜて、今の僕らなりのおもしろいものが作れたのかなと思います。
CHOJI(Gt):そもそも僕らの1stアルバム『TOKYO』(2015年7月リリース)の時は、80'sみたいなサウンドとか、MVとか、コンセプチュアルな部分をすごく大事にしていたんですけど、『Black Humor』ではそういうものを一回なしにしたというか。また違う切り口から攻めてみて、それを終えたあとに「もう一度ちょっと戻ってみようか」という感じで、わりとベーシックなところに戻ってきたなという印象です。
――『RUNWAY』というタイトルもそうですし、ビジュアルなども含めて、すごくI Don’t Like Mondays.らしいやり方でプレゼンテーションをするようなパッケージになっていると思うんですが、そのコンセプトにたどり着いたのはいつ頃だったんですか?
YU:去年は、アルバムは出していないものの、『Black Thunderbird TOUR』を周って、「PAINT」で『ONE PIECE』の主題歌をやらせてもらって、今の僕らがたどり着けるいちばん遠い場所まで行けたなと思ったんですよね。一旦いちばん遠くまで行けたから、「じゃあ足元を見直そうよ」って――というところで、こうなったのかな?
KENJI:ツアーをやったというのは、大きかったかもしれないですね。
――今の話にあった通り、I Don't Like Mondays.が『ONE PIECE』の主題歌をやるというのは、世のなか的にもインパクトがあるというか、意外性があったコラボだったと思うんですが、それはみなさんにどんな影響を与えていると思いますか?
YU:『ONE PIECE』というコンテンツは、僕らが小さい時から好きだったんですけど、曲を作るにあたって、あらためて『ONE PIECE』の原作をゼロから読み直して、その世界観に合わせるには、僕らが今まで培ってきたスキルのなかのどういうものがいちばんいいんだろう?って考えたんです。だから、アーティスト脳というよりも、どっちかと言うとクリエイター脳的な作り方をしたんですよね。そうすることによって、逆に自分たちのなかに秘められたアーティスト性みたいなものを見つめ直せたなと思っています。僕的には最高傑作ができたという自負もあったので、そういう自分たちのなかにあるアーティスト性、やりたい表現は何なんだろうと、原点回帰させてもらいました。
――そうやって回帰することで、YUさんとしては曲を作るうえでリラックスして向かえるようになった感じもありますか?
YU:僕はかなり楽になりました。
KENJI:めちゃめちゃ狙っていく感じではなく、自分のなかにあるものを結構素直に出せているのかなと思いますね。