男闘呼組、約30年ぶり再始動で示したロックバンドのアイデンティティ 解散ライブからRockon Social Clubへ繋がるストーリー

 これほど大きな反響になるとは、本人たちが一番驚いただろう。

 2022年7月16日だった。音楽特番『音楽の日2022』(TBS系)のプログラムにその名前はあった。

 男闘呼組ーー。

 前田耕陽(Vo/Key)、高橋和也(Vo/Ba)、岡本健一(Vo/Gt)、成田昭次(Vo/Gt)の4人が揃って公の場に登場したのは実に29年ぶりだった。全員が50代になっていた。当時Twitter(現X)では「男闘呼組」というワードがトレンドの1位になり、彼らの存在の大きさを改めて実感させられることとなった。

 この番組出演をきっかけに、デビュー35周年にあたる2023年8月までの1年間限定での活動再開をすることをアナウンス。再始動ライブ『男闘呼組1988』を東名阪で開催、全国ツアー『男闘呼組 2023 THE LAST LIVE』を巡っていくことになる。

 ひと口に復活と言っても、約30年ぶりだ。ことがそう簡単に運ばなかったのは容易に想像がつく。最初の兆しは、2019年だった。かつて男闘呼組のメンバー4人が主演した映画『ロックよ、静かに流れよ』の公開から30周年を記念して行われた特別上映イベントに岡本健一がゲストで出演した。その際、岡本を通して成田昭次がコメントを寄せたのだ。成田は当時、芸能界からは離れていたということもあって大きな話題となった。

 その1年後だった。4人が久しぶりに顔を合わせたのだ。場所は名古屋の練習スタジオ。目的は音を出すため、ただそれだけだった。それぞれの楽器を持ち寄り、セッティングし、せーので演奏を始める。別にその後の予定が決まっているわけではなかった。むしろ、本当にちゃんとできるのか半信半疑だったのではないだろうか。しかし、このときのセッションが4人を突き動かしたのは間違いない(※1)。前田、高橋、岡本がそれぞれの活動を続けていくなか、成田は自身のソロプロジェクトを始動する。そこで大きな役割を果たしたのがプロデューサーとして関わる寺岡呼人だ。この出会いが後々重要な伏線となって男闘呼組のメンバーにも関係していくことになる。

関連記事