このプログラムのセットリストにおけるハイライトといってもいいのが、先述の新曲2曲だろう。「みなさん掛け声をよろしくお願いします!!」という桑田佳祐のMCで始まった「歌えニッポンの空」は、ゆったりとした曲調に合わせ、観客から「ありがっとう!!」という掛け声が上がる。最新曲なのにこの一体感はサザンならでは。日本や故郷に対する感謝の気持ちを込めたメッセージは、確実に番組を観ている視聴者にも伝わったはずだ。そして「盆ギリ恋歌」では、華やかな着物や笠を身にまとったダンサーが登場して一気にヒートアップ。ナンパな夏歌の第一人者といっていい彼らだけに、少々猥雑かつ日本の夏を感じさせる曲調はまさに面目躍如といえる。この曲は真夏の屋外ライブで観たいと思わせられた。

　その後も、名曲がこれでもかと続く。軽快なモータウンビートを奏でるバンドサウンドが最高な「太陽は罪な奴」、夏のバラードといえばこの曲以上の楽曲が考えられない「真夏の果実」、疾走感に満ちたライブの定番ナンバー「希望の轍」、そしてアニバーサリーイヤーなら絶対に欠かせない45年前のデビュー曲「勝手にシンドバッド」へとなだれ込んでいく。再びサンバダンサーが登場、さらに着物＆マリアッチのダンサーも乱入し、桑田佳祐はカメラを片手に「ナイスですねぇ〜」とダンサーのお尻を撮るなど悪ノリしながら盛り上げる様子はまさに祭り。気がつくと「45周年ありがとう!!」と書かれた横断幕がステージに掲げられ、テンションは最高潮に達した。しかし、もちろんこれで終わるわけはない。「最後に一曲やらせていただきます」というMCの後は、屈指の名曲「Oh! クラウディア」を披露し、1時間にわたるステージが締めくくられた。

　デビュー45周年を彩る企画は他にも多数あるが、その中でもNHKの特別番組『サザンオールスターズ45周年特別企画「シン・日本の夏ライブSP!!」』はひとつの大きな山場といっていいだろう。この後も、9月には3カ月連続新曲配信企画のラスト1曲の配信が控えているほか、9月27日、28日、30日、10月1日の4日間にわたって『茅ヶ崎ライブ2023』も行われることが決定しており、9月30日、10月1日の2日間は全国47都道府県の映画館でライブ・ビューイングも行われる。おそらく、他にもまだ発表されていないトピックもあることだろう。今年最大の話題といっていいサザンオールスターズの45周年を、音楽ファンならしっかりと見届けるべきなのだ。