春野、1stアルバム『The Lover』での感情の変化が表情からも明らかに 観客と心通わせた代官山UNITワンマン
オーディエンスと声を合わせた「Limbo」を披露した後には、「楽しくて一生歌える」と飾らない言葉を残した。「昨年6月25日に初めて表参道WALL&WALLでライブを開催しました。その時は、確か150人くらい集まって。あれから1年が経ったんですけど、今日はその時の3倍くらいの人が集まってくれています。あなたたちの大切な人生の1日をもらっている。とても幸せ者です」と口にした。
ライブも終盤になり、手拍子を煽ったりしながらオーディエンスと距離を縮めていったのは、ギターフレーズが煌めく「U.F.O」「Love Affair」、そして「歌える?」と声をかけた「Kidding Me」。“魅せる”演出から、オーディエンスと一体となる演出になり、気づけば春野の表情が緩んでいたのは、一目瞭然だった。「Venus Flytrap」「Up In The Clouds」と続いた最後には、1stアルバム『The Lover』のラストの収録曲でもある「Angels」。過去の恋愛を思い出す瞬間に出会い、鬱屈とした気持ちが揺らいでいる春野の曲のなかでも、〈本当に好きだよ/これから会おうよ〉と特にポジティブな面が垣間見えるとともに、過去を受け入れ、未来へと踏み出すことを決意した‟強さ”が表れている。そうしてまた誰かの記憶の片隅をノックする1曲だ。
アンコールは、「一緒に歌うぞ」とオーディエンスと声をひとつにして歌った「ターミナルセンター(Tomggg Remix)」に始まり、「次の曲は滅多にやらない曲なので、びっくりする人もいるかもしれない。知っている人が多いといいな。サプライズの曲になっています」と伝えた「nuit」に終わった。
この日は、HISAと即興演奏に挑戦したり、オーディエンスと一緒に歌ってみたり、洒脱な作品を生み出す春野のおちゃらけた部分をはじめとした人となりも十分に輝いていた。多彩な表現力を纏った1stアルバム『The Lover』における感情の変化が、今作で素顔を公開した彼の前向きな表情に表れているのが何よりも素敵な出来事だった。
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