DOBERMAN INFINITY、盟友 BACHLOGICとの再タッグで“原点回帰”へ 今だからこそ書けた自由で深みのある歌詞とは?

DI、BACHLOGICと再タッグで原点回帰

 DOBERMAN INFINITYが、コロナ禍で制作した4thアルバム『LOST+FOUND』以来となる新作EP『milestone』をリリースした。同作ではDOBERMAN INC時代の盟友であるビートメイカー BACHLOGICが全面プロデュースを担当。5人の自由な空気感とクールなビートを堪能できる作品となっている。再びBACHLOGICと手を組み、入念なプロセスを経て制作していったという今作について、DOBERMAN INFINITYに語ってもらった。(編集部)

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「昔の自分と今の自分との合作」

――2022年リリースの4thアルバム『LOST+FOUND』を経てリリースされた今回のEP『milestone』は、全曲をBACHLOGICがプロデュースしています。DOBERMAN INFINITYの前身でもあったDOBERMAN INC時代に活動を共にしていたプロデューサーではありますが、なぜ、このタイミングで再タッグを組むことになったのでしょうか。

KUBO-C:結構前から「一緒にまたやりたいな」っていう気持ちはあったんです。

P-CHO:メンバー会議の中で「原点回帰的なテーマでやっていこう」という話になった時に、SWAYが「BACHLOGICさんとやるのどうですか?」って言ったんですよ。それで、自分から連絡させてもらったら「ビートのストックを一式送るわ」と返ってきて、(ビートを)送ってもらったところからスタートしました。ただ、その後すぐにコロナ禍でBACHLOGICとのプロジェクトは一旦保留みたいな形になってしまった。その間にアルバム『LOST+FOUND』をリリースして、「今だ」というタイミングでまた連絡させてもらって。

P-CHO

――DOBERMAN INFINITYとしてBACHLOGICと組むのは今回が初めてですよね?

SWAY:DOBERMAN INCの頃から数えて約20年ぶりですよね。

P-CHO:BACHLOGICのフルプロデュースという意味だと、2006年の『STOP, LOOK, LISTEN』が最後になるかも。

――INCとしての活動が終わり、制作を共にしていない期間も、BACHLOGICとは連絡を取ったり会ったりしていたのでしょうか?

KUBO-C:ちょいちょいしか会ってなかったですね。

GS:昔、仲のいい友達の家の近所にBACHLOGICのスタジオがあって、その時にはたまに会いに行っていましたね。でも、会っても音楽の話は絶対にせず、あくまでも同級生としてしょうもない話ばっかりしていた感じでした。

KUBO-C

――元々INCとして活動していたメンバーにとっては、久しぶりの再会&制作ということになりますが、そこに対してのお気持ちはいかがでしたか。

GS:「今、本当にBACHLOGICと一緒に制作できるかな」っていう不安は正直ありました。BACHLOGICは自分たちが音楽を始めたときに一緒に走り出した人でもありますし、DOBERMAN INCが駆け上がっていけたのも、BACHLOGICの大きな力があったからなんですよ。だからこそ自分の中にハードルができ上がってしまっていた。語弊があるかもしれないけど、INC時代はあまり考えずに曲を作っていたんです。「この曲がどう伝わるか」というよりも、「俺たち、かっこええやろ?」「これがおもろいやろ?」ということを重視していた。INFINITYになってからは、「これを受け取った人がどう思うんだろう?」ということをもっと意識して曲を作るようになったし、当時の感じを封印していたようなところもあったんです。だから、今の自分がBACHLOGICのビートに乗って、INCが出てきたあの頃のような新鮮さというか、センセーショナルさを出せるかな、と心配だったし。BACHLOGICはAKLOだったりSALUだったり、ヒップホップ業界でバーンと名だたるメンツを手がけているわけですから、そこに負けたくないという気持ちもありました。

――実際に、制作していく中でそうした感情はどのように克服していったのでしょうか。

GS:勝手に自分の中に持っていただけの先入観であって、実際はもっとシンプルでしたね。「これはこれでよかったな」って、やってから気づきました。INC時代の気持ちどうこうではなく、今のINFINIYのメンバーの一人として、SWAYやKAZUKIも含めた5人で『milestone』を完成させたことで自分の中でも吹っ切れたというか。もう1回、改めてバックルを締め直した感じですね。曲の中にどんなメッセージを込めるのか、どんな角度で届けていくか、という意識は若い頃にはなかったものだし、そうしたところまでを意識して、こうしてBACHLOGICと制作できたというのは、昔の自分と今の自分との合作という感じもします。

GS

「肩の力を抜いて作るのは久しぶりだった」

――まさにリリックの細かい内容は現在のリアルという感じがする一方、サウンドはDOBERMAN INCがバチバチに活躍していた2000年代前半の雰囲気を強く感じます。

P-CHO:自分が連絡したときに、BACHLOGICから「俺、構想があるからちょっと待っといて」って言われたんです。「あの時やってた感じで、気軽にやろうや」と言ってくださって。自分たちがINC時代にめちゃくちゃ刺激を受けていた時代のサウンド、例えばRoc-A-Fella RecordsとかBad Boy Records、プロデューサーでいったらジャスト・ブレイズとか、あのあたりの感じを再加熱したようなビートになっていたんです。

――懐かしさを覚える一方で、KAZUKIさんとSWAYさんは初めてBACHLOGICと制作したことになると思うのですが、印象はどうでしたか?

KAZUKI:お話だけは聞いていて、スパルタなイメージがあったんですよ。かなり厳しいんだろうなと思って、結構気合いを入れてプロジェクトに臨んだんです。不安も大きかったし。でも、最初にスタジオに行かせてもらった時、「ヤバ!」ってめっちゃアガりましたね。かなりミニマルなスタイルだったんですけど、自分もトラック作ってるので、デモの時点ですごく興味深かったです。

SWAY

SWAY:僕も、今回一緒にできてとても嬉しかったです。BACHLOGICさんって、「これ食ってみ」って感じでサクッとトラックを聴かせてくれるんですよね。でも、それがすでに「美味い!」みたいな。

P-CHO:爆音じゃなくて、すごい普通のボリュームでちょこっと聴かせてくれるビートがすでにかっこよかったもんな(笑)。

SWAY:今回のEPは、制作に入る前にBACHLOGICさんとみんなでご飯を食べながら「気軽なやつ作ろうや」って感じでスタートしたんです。だから、「攻めた!」っていう楽曲はないんですよ。最初は「気軽に作りすぎてどうしよう」と思ったくらいだった。だからこそ、贅沢な作品ができたなって思っています。肩の力を抜いて作るのも久しぶりだったし、気楽にやれたのがすごく楽しくて。

KAZUKI:僕も「どうやって(メロディを)ハメていこうかな?」って悩んだ曲もあったんですけど、自分が思うままにレコーディングさせてもらったんです。録った状態の曲をBACHLOGICさんが料理してくれて、返ってきたものが本当にすごかったんです。「こういうことなんだ!」っていう驚きを肌で実感できました。

KAZUKI

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