sumikaの新体制初ライブ、BiSH×細美武士×TOSHI-LOWコラボ、SiM MAHの熱いMC……春フェスで起きたトピックをプレイバック

 今年も春フェスのシーズンがやって来た。すごいスピードでそのシーズンは駆け抜けていき、やがてその終わりを迎えようとしている。今年の春フェスは、声出しやモッシュが解禁されるケースが増えており、コロナ禍前により近い盛り上がりを見せている印象だ。本稿では、GW以降に行われた春フェスのトピックをいくつか取り上げて、紹介してみたいと思う。

sumikaがライブに帰ってきた『ARABAKI ROCK FEST.23』

 2023年4月29・30日に、宮城県・みちのく公園北地区で開催された『ARABAKI ROCK FEST.23』で印象深かったのは、sumikaの新体制後初のライブだろう。sumikaについては事前に発表されたニュースを受けて、おそらくファンは様々な想いをもって当日のライブを観たはずだ。確かに変わったものもあっただろうが、音楽を通じて幸福感のある世界を作り出すというsumikaの根本は変わっていないと、SNSではライブを観た多くの人がそう言葉を漏らしていた。

 一方、今年6月の東京ドーム公演をもって解散がアナウンスされているBiSHは、最初で最後の『ARABAKI ROCK FEST.』出演となった。ライブ中盤では、ELLEGARDENの細美武士(Vo)をゲストに迎え、同バンドのトリビュートアルバムでカバーした「ジターバグ」をコラボ披露。これだけでも豪華ではあるが、細美に呼び込まれたBRAHMANのTOSHI-LOW(Vo)が、ダンス要員としてBiSHと共にキレキレのダンスを披露したことも話題に。大型フェスならではの豪華コラボと異例の形でのパフォーマンスが実現した瞬間だった。

 また、本来出演予定だったThe Birthdayがチバユウスケ(Vo)の食道がん治療に伴い出演を辞退。マキシマム ザ ホルモン、BRAHMANなどがMCでチバへのエールを語ったほか、ELLEGARDENが「涙がこぼれそう」をカバーしたことも観客の感動を誘った瞬間だったように思う。

 さらに最終日のメインステージの大トリは、奥田民生 アラバキ★ライダー。MICHINOKU PEACE SESSIONと題して、まず、奥田民生とフジファブリックと伊藤大地という豪華メンバーがバンドを組んでステージに。これだけでも十分豪華なのに、曽我部恵一、のん、岸田繁(くるり)、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、BiSH、TOSHI-LOW、吉川晃司という、これだけで一公演できそうなラインナップが集った。岸田が登場した場面ではサンフジンズ(奥田・岸田・伊藤の3ピースバンド)の楽曲を久々に披露するレアなシーンも展開。最後は参加者全員による「イージュー☆ライダー」で締めるという、大団円でクライマックスを迎えた。

鈴木愛理とハロプロ後輩コラボが話題を呼んだ『JAPAN JAM 2023』

 『JAPAN JAM 2023』は2023年4月30日・5月3日・4日・5日・6日に千葉市蘇我スポーツ公園にて開催された。『JAPAN JAM』もトピックはたくさんあるが、その中でもハロー!プロジェクトのOGである鈴木愛理が、同事務所の後輩と豪華ステージを披露したのは、アンジュルムやモーニング娘。'23が集った同フェスならではのポイントではないだろうか。℃-uteの代表曲「悲しきヘブン」を、鈴木愛理が同グループと同じメンバー数で歌い上げた瞬間は、印象深いアクトのひとつになったのではないかと思われる。

 また、『JAPAN JAM 2023』最終日は、強風のためにSUNSET STAGEを閉鎖するという判断がくだされた。天候などの影響で、予定していたプログラム通りに進行できなくなる、というのは野外フェスでは毎年見られる光景ではある。しかし、参加者がそのアナウンスを受けてどう感じるのかは、フェスによって大きく異なる。

 ただ、『JAPAN JAM 2023』においては、参加者はその判断に納得し、可能な形で楽しんでいたような印象を受けた。閉鎖されたステージに出演予定だったアーティストのうち、Saucy Dogだけは別ステージでパフォーマンスすることができたのだが、その凛としたパフォーマンス・光景はその日の『JAPAN JAM 2023』のハイライトと語る参加者も多かったように思う。また、Da-iCEはステージ閉鎖で出演できなかったものの、急遽YouTubeに「ダンデライオン」のダンスプラクティス動画を公開。ファンに違った形で喜んでもらうようなアクションを起こすアーティストもいた。

関連記事