水曜日のカンパネラ、「エジソン」大ヒット以降に起きた意識の変化 詩羽「最近ボーカリストとしての自覚が芽生えた」

 水曜日のカンパネラが2nd EP『RABBIT STAR ★』をリリースした。収録曲「エジソン」が大きな話題を呼んだ1stEP『ネオン』から約1年。新作は勢いに乗る今の水曜日のカンパネラらしい、カラフルでバラエティ豊かな一枚だ。

 昨年10月にデジタルリリースした「ティンカーベル」と「鍋奉行」、そして今年1月に配信した「赤ずきん」に加え、神様たちがカレンダー写真撮影のために集まる「七福神」、運慶と快慶が朝まで飲み明かす「金剛力士像」、高速道路を走り忍びの里に向かう「シャドウ」という新曲3曲を収録。ユーモラスな発想とヌケの良いビートが絶妙に融合したナンバーが揃う。

 新作について、そして今の水曜日のカンパネラの向かう先について、ケンモチヒデフミと詩羽に話を聞いた。(柴那典)【最終ページに読者プレゼントあり】

1年以上経って自分がやっと落ち着いてきた(詩羽)

ーー「エジソン」のヒット以降、いろんなことが変わってきたと思うんですけれど、まずは前作EP『ネオン』からの1年を振り返って、どんな実感がありますか?

ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ):「エジソン」はシンプルに作った曲だったんですよ。それまでもっとひねってやろうとか、もっと変なところを出してやろうという感じで作ってたんですけど、何も考えず、面白い歌詞と聴きやすいメロディといい感じのビートで作って。それがいい具合にみんなに知ってもらえるようになった。新しい代表曲ができて、ほっとしたというのもあるし、自信に繋がった感じもありました。

詩羽:「エジソン」がバズったことによって、テレビとかメディアに出演する機会も増えて。「水曜日のカンパネラが新しくなりました」と言っても、情報ってそんな簡単に回らないんだなっていうのを感じていたんですけど、少しずつ人に知れ渡っていくのを目に見えて実感することが増えたんで、それは良かったんじゃないかなと思います。

ーー詩羽さんは去年からライブの場に立つこともすごく増えたんじゃないかと思います。ワンマンだけでなく、フェスとかイベントも含めて、新しく水曜日のカンパネラを知ってくれた人に出会う経験も多かったと思うんですが、振り返ってどうでしたか?

詩羽:もともと、今までのファンを大切にしながら、新しいファンを増やして年齢層を広くしていきたい、いい意味でカオスな感じにしていきたいと思っていたので。ツアーやリリパとかは、それが少しずつ叶っているなっていうのを景色として実感しますね。リリパの時はライブの終わりに名刺ステッカーをお渡ししてみんなと挨拶するんですけど、その時に「初めてライブにきました」とか、小学生とか幼稚園児くらいの子がお母さんとライブに来てくれて「ライブデビューなんです、この子」と言ってくれたりとかして。そういうのも純粋に嬉しいなと思います。フェスとかイベントでも、前は観に来てから「あれ? ボーカル前と違くない?」って人が多かったんですけど、今はいろんな選択肢がある中で水曜日のカンパネラにわざわざ足を運んでくれる人たちがいるんだなって。

ーー去年は「THE FIRST TAKE」への初登場もありました。詩羽さんとしては、ボーカリストとしての自分の成長や変化については、どう感じていますか?

詩羽:去年の12月くらいにやっと「私って、歌を歌うの好きなんだな」って気付きました。入ってから1年くらいは、今思うと自分のことを考える暇がなくて、とにかくいろんな機会があって、チャンスもあるし、やるべきことも沢山与えられる環境で、求められたことに対して120点で返して次の機会を増やしてやろうっていう気持ち、負けないぞって気持ちだけで全部に挑んでいて。ボーカルとしての意識だったりとか、難しいことは全然考えていなかったんです。私がボーカリストだって気持ちも全然なかったし。「THE FIRST TAKE」もただ楽しもうと思って挑みました。けど、12月にリリパのツアーを回ったくらいから、私って、歌を歌うのが好きなんだなと気付いて。だから、もっと歌が上手くなりたいと思い始めたのは、本当に最近です。ずっとボイトレをしてなかったんですけど、その時からボイトレを始めたいですと私からお願いして。最近ボーカリストとしての自覚が芽生えました。

ーー自分が歌うのが好きなんだって気付いたきっかけはありました?

詩羽:自分のライブを振り返るようになり始めたのがそれくらいの時期で。それまではライブを振り返ることがなかったんですよ。でも、今日のライブがどうだったかとか、あそこはもっとこうできたなとか、自分で思うようになった。去年の8月のワンマンあたりから、水曜日のカンパネラのチームっていうものが私でも実感できるくらいしっかりと見えてきて。環境が変わったり、1年以上経って自分がやっと落ち着いてきたのもあったのかもしれないですね。

ーーケンモチさんとしては、詩羽さんのライブでの様子や、ボーカリストとしてのパフォーマンスはどう変わってきたと感じてますか?

ケンモチ:もともとあまり緊張してなかったんですけど、最近の方がいい意味でどんどんこなれてきていて、MCもいい感じに次につなげたり、曲運びも上手くなってる気がします。あと、こういうところはもうちょっとこうしたら良かったんじゃないか、みたいな反省点を聞くと、次の時までにちゃんと自分の中でその課題をクリアしてくるというのが目に見えてあります。去年の年末くらいから、ライブが終わった後の雰囲気も本当に楽しそうにしてるのが垣間見えるようになって。

詩羽:私、丸くなりましたよね。

ケンモチ:そうね(笑)。前は何か許せないことがあってもずっと溜めたままでいたんですけど、だんだんそれを言ってくれるようになったんです。レコーディングのときも不機嫌な状態だったりすると、「その前にこういうことがあったんで、仕方ないんです」と理由を言ってくれるようになって。

詩羽:いつも機嫌悪いんですけど(笑)。

ケンモチ:おそらく水曜日のカンパネラの全体像が見えてきて、自分もここでこう振る舞っていいんだ、こういうことを話していいんだって思ってくれるようになったっていうのが、ここ最近は大きい気がします。

関連記事