NHK連続テレビ小説『らんまん』主題歌、あいみょん「愛の花」のユニークなアプローチ 歌詞から連想する万太郎の物語

 あいみょんの楽曲の歌詞は、あるフレーズに呼応して出てきた表現に注目するといい。「愛の花」で注目したいのは〈涙は明日の為〉に呼応する〈新しい花の種〉や、〈涙は枯れないわ〉に呼応する〈明日へと繋がる輪〉。共通するのは涙をきっかけに新しい花が咲くというイメージであり、今日上手くいかなかったとしてもその経験は決して無駄にならないといういち人間単位の“円環”や、大切な人が亡くなってもその人からもらったものは確かに内面化していて、つまり心は受け継がれるのだという時代も肉体も超えうる“円環”(第2話で登場した“見えんでもおる”の精神に近い)、その両方をイメージできる。

 そんな歌詞から連想したくなるのは、万太郎の人生を彩る個性豊かな人物たちだ。思えば万太郎は、人生の指針を与えてくれる人や彼のことを温かく見守ってくれる人に囲まれながら育った。病弱ながら子に惜しみなく愛情を注ぎ、万太郎が「この小さなバイカオウレンも力強く生きているんだ」「どんな命も等しく大事なんだ」と気づくきっかけを与えた母。女手一つで家を守ってきた苦労を一切滲ませず、愛ゆえの厳しさで万太郎に接し、立派な当主に育てようとする祖母。目を離した隙にいなくなる万太郎をいつも見つけ出してくれる姉やお目付け役。お前の望みはなんだと語りかけ、万太郎を「花の名前が知りたい!」という答えへと導いた“天狗”こと坂本龍馬。学ぶ楽しさを教えてくれた学問所の学頭。そういった人々から受け取った愛情が万太郎の人柄の一端を形成しているのだろう。時に混乱を伴いながら時代が移り変わるなか、様々な人からもらった愛を胸の中で育て、植物学者としての道を貫き続けた万太郎の物語を「愛の花」の穏やかな響きとともに見守りたい。

※1 https://www.aimyong.net/news/detail/2067

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■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K 07:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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