櫻井翔、“サクラップ”に刻まれる嵐の歴史 リリシスト/ラッパーとして綴ってきた言葉の強さ

 13枚目のアルバム『THE DIGITALIAN』通常盤に収録のボーナストラック「Take Off!!!!!」では、彼らがファンの手を引いて連れだしてくれるような距離の近さと、視線をぐっと上に持ち上げてくれるようなパワーと包容力を含み、解放感に満ちた世界観で魅了する。

 嵐はデビュー曲「A・RA・SHI」で、ヒップホップとラップを盛り込んだパフォーマンスでデビューを飾った。メッセージ性の高い楽曲は当時としてもセンセーショナルだったが、いまなおそのメッセージは色褪せることはない。そしてアイドルならではのキラキラと希望に満ちた世界観だけではないのが嵐。櫻井の力強いラップや歌詞を通して伝えられるリアルさもまたエッセンスとなってファンの心を掴む。

 彼らが国民的アイドルとして不動の地位を築いたその道のりには知られざる苦労があり、それでも自分たちのスタイルで進むんだというパワフルなメッセージがリリックから感じられる。ありきたりな言葉や耳障りの良い言葉で片づけるのではなく、飾らずストレートに、自分の言葉で心情や軌跡、メッセージを表現する櫻井の歌詞。彼の紡いだ言葉に何度も背中を押されたというリスナーも多いのではないだろうか。

 さて、本展示会では櫻井の音楽活動のほかに、過去8大会のオリンピックや報道番組での取材メモ、「Johnny's web」での連載「オトノハ」を綴った歴代の携帯電話やパソコンなどのツールをはじめ、2021年掲載「Newsweek」日本版での特集「櫻井翔と戦争の記憶」の資料など、櫻井が言葉を紡ぐために活用した資料が展示される。言葉を大切にする櫻井のその一端に触れられる貴重な機会だ。今回の開催に至った経緯もまた櫻井が書き記した言葉が発端になったという。何に対しても主体的で俯瞰する視点を持ち、頭で考えて、足を運んで見て感じて……そうして紡がれた櫻井の血の通った言葉にはパワーが宿っている。これからも彼が伝える言葉、紡ぐ言葉が楽しみだ。

櫻井翔、報道番組から紅白まで司会業が絶好調 嵐メンバーとの関係性に変化も生まれた40歳としての1年

1月14日スタートの土曜ドラマ『大病院占拠』(日本テレビ系)で主演を務めるほか、3月31日には劇場版『映画 ネメシス 黄金螺旋の…

櫻井翔、個人初の展覧会開催 7つのインスタレーションで櫻井の“言葉”をポジテイブにわかちあう空間に

櫻井翔の個人初となる展覧会『櫻井翔 未来への言葉展 SHO SAKURAI:WORDS FOR THE FUTURE』が、本日4…

関連記事