ORβIT、「Room Project」で発信する5人だからこその音楽表現 ソロ曲や作詞へのこだわりを明かす

ORβIT「Room Project」で発信する音楽表現

 2023年、新たなコンセプトプロジェクト「Room Project」をスタートさせた7人組ボーイズグループ・ORβIT。同プロジェクトは現在兵役義務のため活動休止中のYOUNGHOONとHEECHOが不在中の空間・ゆとりを5人のメンバーで埋め、さらに5人それぞれの個性、5人で生み出す表現をさまざまな部屋に見立てて見せていくという内容だ。3月から3カ月連続でのシングルリリース、4都市を回ったZeppツアー『ORβIT LIVE 「ROOM」 TOUR 2023』などを通して、改めて自分たちの音楽性を発信している真っ最中である5人は、「Room Project」をどう捉えているのか。改めて話を聞いた。(高橋梓)【記事最後にプレゼント情報あり】

2人がいない空白や余白を僕たち5人で埋めていく

――まずは、「Room Project」をスタートさせた経緯を改めて教えてください。

SHUNYA:メンバー2人がいない中でJUNEくんが「Room」というコンセプトを考えてくれて、2人がいない空白や余白を僕たち5人で埋めていこうということになりました。7人で活動していた時は世界観を作った上でアルバムとして楽曲を出してきましたが、この5人だからこそできることをすべきだよねという話になったんです。ORβITは結成直後にコロナ禍になってしまったこともあって、思うようにライブができなくて。僕たちの存在はなんとなく知っているけど、詳しくは知らないという方もいると思うんです。そういう方々にも僕たちの楽曲を聴いてもらいたくて、アルバムではなくシングルを3カ月連続で出すことにしました。そして、リリースイベントや『ORβIT LIVE「ROOM」TOUR 2023』を通して、より多くの人にORβITの曲を届けたり、再認識してもらったりしようというのが「Room Project」をスタートさせた理由でした。

――発信はJUNEさんだったのですね。

JUNE:僕らは毎回全員でコンセプトを考えているんです。今回は運良く僕の案が選ばれました。

SHUNYA:今応援してくれているファンの方を大事にするのは当然ですが、その上でまだORβITのことを知らない人にも音楽を届けていきたいという思いがメンバーに共通してあったんです。アルバムを出そうという話も出ましたけど、今回はシングルをリリースしていろんなイベントをやっていこうという形に落ち着きました。

――“Room”というワードをチョイスした意図はあるのでしょうか?

JUNE
JUNE

JUNE:今まで、作品名に結構難しい単語を使ってきたんですよ。『Enchant』とか『Alter Ego』とか。例えば、僕らを知らない人がその単語を聞いたら「どういうこと?」ってなるじゃないですか(笑)。なので、簡単でイメージが湧きやすい単語はないかなと考えた時に「Room」という言葉が出てきました。説明がなくてもみんな知っている言葉だと思うし。それに「部屋」という意味は知っていても、「空間」、「ゆとり」という意味まではあまり浸透していないのかなって。2つの意味でぴったりだと思って選びました。

――実際にプロジェクトをスタートさせてみて、手応えもあるのでは?

YOONDONG:いろんなライブができて、本当に嬉しかったです。リリースイベントを初めて5人でやって、僕たちを知らない方にもパフォーマンスを披露させていただいて。楽しかったし、よかったなって思います。

TOMO:シングルにすることで気軽に手に取りやすいと思うんですよね。その面でもよかったな、と。

――そのシングル第1弾表題曲の「I can't breathe」は、どんな楽曲に仕上がっていますか?

ORβIT - I can’t breathe(Live Performance)

YUGO:この曲は、「わかりやすい楽曲」というのがテーマでした。1度聴いたらすぐに「かっこいい」って思えるかどうかを重視していて。それを5人で作ったことでORβITらしさは残しつつも、7人の時の“THE ORβITらしい曲”とは違った色を見せられたと思います。

――「違った色」とは具体的にどのような点ですか?

YUGO:歌い方一つとってもそうですね。ただ、僕はすべての作品で歌い方を変えています。例えば、僕は声が特徴的なので7人の時は雰囲気を変える役割だったんです。でも5人になったことで必然的にパートが増えるし、人数が少なくなったからこそ浮きすぎないようにしています。今まで通りに歌うとちょっとクドく感じてしまうので、少しトーンを抑えてみたり。

――「I can't breathe」でもその変化は感じられますね。

YUGO:そうですね。あとは、この曲のキーが低いのも違って聴こえる要因の一つかもしれません。ORβITの楽曲でここまでキーが低いのって初めてなんじゃないかな。今までは結構ハイトーンで難しいものが多かったので。

JUNE:最終的に1つキーは上げたけどね。多分YOUNGHOONくんがいたら1つ低くてもよかったんですけど、僕たちは低い声で頑張るよりも一番歌いやすいキーでやった方がいいよねっていう話になって。みんなでどのキーが良いか投票したりしました。

TOMO:全員のバランスを取らなきゃいけないので、難しかったです。

YUGO:TOMOはもう1つ上げても良かったくらいだったよね。

TOMO:僕は音域が広めなのでどのキーでもいけるんですけど、キーを変えたらパートを変更するかも。僕、ORβITの楽曲ではパート割りを担当しているんですよ。「I can't breathe」は「このキーになったらこのメンバーをこのパートにできるな」と考えながら投票していました。僕的にはめちゃくちゃ面白いパート割りになったと思います。

――というと、この歌割りにもこだわりが?

TOMO:「このメンバーはこういうパートを歌う」っていうイメージをぶち壊しました。例えば、普段なら僕はサビの最初を歌うっていうイメージがあると思うんですよ。でも、今回は一切歌っていないんです。逆にサビはSHUNYAとYOONDONGさんにやってほしかったのでお願いしました。JUNEとYUGOは息が強めなボーカルなので、曲中の印象的な部分をお願いしています。JUNEはラップ以外の歌い出しをやるの初めてなんじゃない?

JUNE:そうかも。

TOMO:JUNEはラップのイメージが強いですけど、歌も本当に良いんです。なので、どうしてもJUNEの歌を聴かせたくて。5人それぞれのまだ見えていない個性を発揮して、5人でもこんなにすごいんだよというのが見えるパート割りを考えました。

――歌詞に関してはSHUNYAさんとJUNEさんが手掛けられてますね。

SHUNYA:僕は初めて作詞を担当したので、すごく難しかったです。自分たちが歌って伝えられることって、今の自分たちについてや抱えている感情なのかなって考えて。5人になった時の不安や葛藤、葛藤を乗り越えた上でこういう歩みを進めていくよという部分を歌詞にしました。

――ある種の決意表明的な内容なんですね。JUNEさんはラップパートを書かれたと思いますが、SHUNYAさんと目線を合わせて作っていったのでしょうか。

JUNE:もともとラップパート以外、SHUNYAの歌詞が出来上がっていたんです。ラップも初めは違うラインだったんですけど、作曲家さんと相談しながらSHUNYAの歌詞に合わせて書いていきました。

TOMO:でもこの歌詞、めちゃくちゃ2人っぽいよね。それぞれどこを書いたのかがすぐわかる。特にSHUNYAは初めての作詞ですけど、馴染みやすい言葉やわかりやすい言葉を素直に書いてくれて。言い回しも初めてとは思えないくらいキレイ。ORβITが持つ神秘的な印象を崩さずに、5人ならではの歌詞にしてくれたので、素直に「すごい」と思いました。

YOONDONG:僕たちの話を歌詞に反映してくれたので、SHUNYAは僕たちのことをよく考えてくれたと思います。それに応えるためにも、気持ちを入れながら歌いました。

――SHUNYAさんは作詞をする際の「自分なりのスタイル」が生まれたりも?

SHUNYA
SHUNYA

SHUNYA:スタイルは……わかりません(笑)。ただ、語彙力がないって痛感しましたね。本を読んだり、人の言葉に注目したり、言葉の表現をインプットしておかなきゃとすごく思いました。あと、これはJUNEくんにアドバイスをもらったんですけど、意外とお酒を飲んで書いたほうがキザな言葉が出てくるんです(笑)。書こうと思って書くと上手く書けなくて、ほろ酔いでリラックスしたり、散歩をしている時にビビッと来ることが多かったかも。そこにインプットがもっとあれば、もうちょっと早く書けたかもしれなかったですね。

――JUNEさんは詞を書くのが早いと伺ったことがあります。

JUNE:モノによりますけどね。人に提供する時はまじで早いっす(笑)。でも自分のは本当に時間がかかる。

SHUNYA:なので、JUNEくんをはじめみんなにも相談しながら書きました。できたと思って読み直すと、「うわ、恥ずかしい!」ってなったり。

JUNE:逆にそれくらいがいいんだよって言ったね。

YUGO:そう、そう。気になるのは自分だけだから。

SHUNYA:作詞においては先輩なので、メンバーにはすごく支えてもらいました。

――2曲目の「「Love」」はYUGOさんが作詞をされてますね。

YUGO
YUGO

TOMO:これこそ、できるの早かったよね?

YUGO:1週間くらいでできた気がする。そんなに困ることはありませんでした。デモでいただいた時のタイトル「ラブホリック」と、トラックのR&Bっぽい雰囲気から世界観を想像して。僕が作詞をする時に最初にすることは、目をつぶってどんな世界が広がっているかを見ることなんですね。この曲に関しては見えてきた景色と、デモ曲からもらったヒントを合わせて、初恋の切なくて苦い思い出を書こうと思って制作をしました。そういえば、なんで僕が「「Love」」を作ることになったんだっけ?

SHUNYA:たしか自分でやるって言ってたよ。

YUGO:あぁ、ちょうどその頃、スケジュールに余裕があったんだ(笑)。みんないろいろやってくれているし、久しぶりに仕事しようかなと思って書きました(笑)。

――そういう理由だったんですね(笑)。みなさんから見たら、YUGOさんっぽい曲だと思いますか?

一同:はい!

JUNE:「Never gonna get away」となんか似てる。曲調も似てるけど、歌詞の感じも似てるって思います。YUGOっぽい色が出ていて、すごくいいですよね。

――JUNEさんが思う“YUGOっぽい色”とは?

JUNE:意外と深いことを言っているところ。メンバーの中で一番深いことを言うイメージがあります。

YUGO:そんなことないでしょ(笑)!

JUNE:いや、言ってるね。作詞の才能、あります。

YUGO:ありがたいけど、僕自身は自分のスタイルがあんまり好きじゃないんです。なので、同じシングルに入っているソロ曲「推」ではイメージをガラッと変えました。歌詞も全く違う言葉を使っています。

――「推」では作曲も担当されていますね。

YUGO –「推」Special Music Clip

YUGO:そうですね。これはメロディを決めてから作詞をしていって。作曲している時点では英語と日本語が混ざった詞で、タイトルも全く違っていました。僕たちがファンの皆さんに向けて歌う曲はあるんですけど、ファンの皆さんが僕に歌ってくれる曲ってないなと思って自由に書いていった感じです。〈ミニマム くせっ毛 高い声/優柔不断 ネガティブモード〉とか、まんま僕。ファンの皆さんはどんな僕でもいつも愛してくださるから、ありがとうの気持ちを込めて書きました。

――SHUNYAさんのソロ曲「Answer is you」も同じシングルに収録されています。YouTubeのSpecial Clipの概要欄には「心の中のヒーローが、気持ちを後押ししてくれる」とありましたが、心の中のヒーローとは?

Answer is you (Special Clip)

SHUNYA:「この人です」っていう正解はないです。これから新生活が始まる中で、恋愛、仕事、進路において、自分が本当にやりたいことをヒーローが後押ししてくれるっていうストーリーを描いて歌詞を書きました。僕自身も奥手なので、そういう存在がいたらいいなって。でも、「こういう思いを伝えたかった」っていうよりも、学びの方が大きかったことが印象的です。「Answer is you」はもちろん、このプロジェクトを通して勉強になることばかり。僕はグループの音楽の部分に携わることがあまりなかったので、自分の音楽性や歌のスペックを見つめるきっかけになりました。

――どんな気づきがありましたか?

SHUNYA:甘やかされてたなって(笑)。歌うパートが多いメンバーは自分たちの曲をどう歌ったらどうなるかを理解しているので、レコーディングを聴いていてもすごく上手いんです。でも僕は、今までそこまでしっかり理解できていなくて。5人になって歌うパートが増えたり、ソロ曲をやったりしたことで、「ここはこうしなきゃいけない」、「思っている以上にアクセントをつけないとミックス作業の時に埋もれちゃうんだ」など、いろんなことを学ぶことができました。

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