ExWHYZ、メインストリームへ乗り込む新たな王道宣言 色合い豊かな歌声に表れた“6人の進化と自信”

 ではEMPiRE時代を含めてもかなり新鮮で軽快なロックチューン「FIRST STEP」はどうか。「ANSWER」同様に作詞で参加している岡嶋(nowとの共作)と久保田真悟(Jazzin' park)というヒットメーカーコンビによるこの曲。ロックといってもインディ感を感じさせるそれではなく、それこそアヴリル・ラヴィーン的なポップさを感じさせるものになっていて、メンバーのチアガール姿が話題となったMVも含めExWHYZがこれまで提示した世界観とは逆方向に振り切っている。にもかかわらず、正統派のうまさを炸裂させるmayuから個性的なかわいらしさを体現するnowまで、振れ幅の大きな6人の声の個性をしっかりと伝えるものになっているのは、この数カ月でExWHYZという器が格段に大きくなったことの証明だと思う。

ExWHYZ / FIRST STEP [Music Video]

 この曲や前作の「STAY WITH Me」に引き続きデニー・ホワイトが参加したEDMチューン「SUPeR SIMPLe」、Shin Sakiuraが手がけた「DIVE」など、洗練されたトラックメイキングとキャッチーな歌の組み合わせが効果的に発揮された楽曲群は、このアルバムの大きな柱となって全体を支えている。6人の声の表情やニュアンス、そしてそれが重なったときの広がりもはっきりと伝わってくるという意味では「Darling」も重要だ。Shingo Suzuki(Ovall)が作編曲を手がけたこの曲は、躍動的なリズムとサウンドが印象的なエレクトロポップだが、曲のグルーヴを生み出しているのはバックトラックというよりも短いフレーズでくるくると入れ替わるボーカルだ。トラック自体はほぼ同じような構造でループしていくのだが、声の主が変わることで色合いが変わっていく。

 そうしてExWHYZなりの王道を標榜するような楽曲がずらりと並ぶ一方で、ファンキーなサウンドとメンバーのラップが強烈な印象を残す「Walk this way」、アッパーなドラムンベースが鮮烈な「メトロノーム」のようなエッジの立った楽曲もアルバムの中で強い輝きを放っている。「Darling」のようなまさに「歌」が主役の楽曲に対して、トラックとせめぎ合うようなこれらの曲は間違いなく表現するハードルが高いはずだが、そうした楽曲でも6人の個性は決して隠れないどころか、サウンドとの相乗効果によってさらに力強いものとなって響いてくる。「Walk this way」はK-POPを主戦場に活躍するLouise Frick SveenとMooFのコンビ、「メトロノーム」は新進気鋭のトラックメーカー・KBSNKによる楽曲で、いずれもExWHYZにとっては初めてのタッグ。前作でも一緒にやっていたクリエイターたちとはまた違う角度でグループの振れ幅を引き出していて、このあたりの人選の妙も今作の大きなポイントだろう。

ExWHYZ / メトロノーム [ExWHYZ TOUR 2023 xANADU at Zepp Haneda 2023.04.01]

 前作で築いたベースをいっそう強固にしつつ、そのベースを成熟させる方向性と新たな可能性を切り拓くような姿勢の両方を同時に見せつける『xANADU』の世界観。メンバーもより自信をもってExWHYZのスタイルを表現しているように思えるし、挑戦的な音像の向こう側から6人それぞれの「人間」が浮かび上がってくる今作の手触りは感動的ですらある。その意味でアルバムの最後に収められた「Everything」はこれまでで一番“裸”のExWHYZを届けるような曲だ。決して派手ではないサウンドとメロディでありながら、次々と移り変わっていく声と細かい歌い回しに込められたニュアンスが、この曲をとても豊かなものにしている。

 〈きっと 変わりはしないよ この声のある限り〉――「Everything」で歌われるこのフレーズが、今の彼女たちがまとっている確信のようなものを表している。前作についてのコラムで、筆者はExWHYZは「生まれ変わり続ける」グループだと書いた(※1)。そこからさらに一歩進んで、いかに形を変えようともブレない根っこの部分、つまりこの6人が自分の声で歌うということがExWHYZのExWHYZたる所以なのだと、胸を張って伝えているのが「Everything」であり『xANADU』なのだ。

ExWHYZ / Everything [FIRST TOUR xYZ at Zepp DiverCity 2023.01.12]

 このアルバムの新曲群を披露するツアーを経て、5月13日にはExWHYZ初となる日本武道館ワンマン『ExWHYZ LIVE at BUDOKAN the FIRST STEP』が控えている。『xANADU』を携えて武道館のステージに立ったその瞬間、ExWHYZは次のフェーズへの扉を開けるのだろう。その先の景色を、一緒に見届けたいと思う。

※1:https://realsound.jp/2022/11/post-1167219.html

■リリース情報
ExWHYZ
2ndアルバム『xANADU』
2023年4月19日(水)発売

【初回生産限定盤】[2CD+Blu-ray+PHOTOBOOK] ¥11,000(税込)
【DVD盤】[CD+DVD] ¥6,600(税込)
【通常盤】[CD] ¥3,300(税込)

配信中
https://lnk.to/ExWHYZ_xND

<収録内容>
●CD
01 xANADU
02 BLAZE
03 Des Speeching
04 ANSWER
05 FIRST STEP
06 SUPeR SIMPLe
07 Walk this way
08 メトロノーム
09 DIVE
10 Darling
11 Everything

●Blu-ray
・『2023.01.12 ExWHYZ FIRST TOUR xYZ at Zepp DiverCity』
xYZ
D.Y.D
Obsession
Higher
Shall We
WEEKEND
4:00 a.m
You & Me
あいしてる
Wanna Dance
Universe
STAY WITH Me
Everything
※※初回生産限定盤、DVD盤に収録
※初回生産限定盤のみメンバー副音声収録

・Music Video
Obsession
STAY WITH Me
あいしてる
FIRST STEP
※初回生産限定盤のみ収録

●Live CD
01_xYZ
02_D.Y.D
03_Obsession
04_Higher
05_Shall We
06_WEEKEND
07_4:00 a.m
08_You & Me
09_あいしてる
10_Wanna Dance
11_Universe
12_STAY WITH Me
13_Everything
※初回生産限定盤のみ収録

●PHOTOBOOK(52P)
●Box仕様

■ライブ情報1
『ExWHYZ TOUR 2023 xANADU』
2023年4月24日(月)梅田CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00

2023年4月25日(火)名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00

https://www.exwhyz.jp/news/detail/9357

■ライブ情報2
『ExWHYZ LIVE at BUDOKAN the FIRSRT STEP』
2023年5月13日(土)日本武道館
OPEN 16:00 / START 17:00
https://www.exwhyz.jp/news/detail/8584

ExWHYZ オフィシャルHP

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