たかはし智秋、『ヒプノシスマイク』勘解由小路 無花果を通して届けたいメッセージ コンテンツとしての存在感も語る

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク –Divisiion Rap Battle-』(以下、『ヒプマイ』)、中王区“言の葉党“初のCD『Verbal Justice』が、4月12日に発売された。Awich、大門弥生といった実力派アーティストが楽曲を提供。『ヒプマイ』、そして中王区“言の葉党”にしかできない音楽表現が詰まった、珠玉の一枚である。

 中王区“言の葉党”は、男性キャラクター中心の女性向けコンテンツにおいて女性キャラクターでありヒールにも関わらず、多くのファンを生み出している。その功績の一端を担っているのは、熱演とパフォーマンスで魅了するキャスト陣だろう。今回は、勘解由小路 無花果(かでのこうじ いちじく)を演じる、たかはし智秋にインタビュー。CDの聴きどころや楽曲への取り組み方、長く続いてきた『ヒプマイ』に対する熱い気持ちを聞いた。(草野英絵)

無花果様のキャラクターを通して、励ましていけるような人間になりたい

ーーまず、今回のCDリリースを知ったとき、どう思われましたか?

たかはし智秋(以下、たかはし):『ヒプノシスマイク』というコンテンツの中で、女性がCDを出すというのが異例な感じがして……少し懸念がありました。我々は、主役である各ディビジョンメンバー達と対立している象徴的な“敵”として出てきているわけで。我々が3人揃ってディビジョンみたいな形でCDを出させていただくことには、正直驚きましたね。

——今回のCDに収録されている初のソロ曲「No Pain, Not to be Strong」は大門弥生さん、SUNNY BOYさんによる楽曲ですが、初めて聴いた時の印象はどうでしたか?

たかはし:『数々のヒット曲を生み出しているSUNNY BOYさんと、パワフルでカッコイイ、まさに女性も惚れてしまう素敵なDIVA、大門弥生さんが楽曲を提供してくださって……もう感無量です! 初めて曲を聴いた時は、無花果様が抱えている“痛み”や“悲しみ”、“悔しさ”や“辛さ”などが伝わってきて、思わず涙が出ましたね。無花果様は男性を憎み、言の葉党に入って、男共に支配されない世界を作りたいという正義感の元に生きている人。男性を憎むようになってしまった経緯は、原作CDのドラマトラックで描かれているので、そちらも曲と重ね合わせて聞いていただけると嬉しいです。また、彼女はいつもセクシーな格好をしています。それはきっと「男性のための自分(女性)ではない」という彼女の生き様かもしれません。男性が好むものを持ち合わせているけれども、敢えてそれを見せながら指一本触れさせない、男を喜ばせる気なんてさらさらない。常に誇らしい自分でいるために、あのセクシーな格好をしているのだと思います。媚びない強さの中にも研ぎ澄まされた、ある意味哲学さえ感じる彼女のカッコ良さが、この「No Pain, Not to be Strong」の中にはふんだんに盛り込まれていると思うのです。

 そして、「No Pain, Not to be Strong」は、辛い経験をされている方……特に女性の皆様には共感していただける歌詞になっていると思います。もちろん、世の中には素敵な人もたくさんいらっしゃいますが、男女に問わず、心を弄ぶ悪人がのさばっていたり、虐め、セクハラ、パワハラなど……残念で悲しいことがたくさんあるのも事実です。生き辛い場面に遭遇した時、この曲を聴いて「よっしゃ、強く生きていこう!」と、元気を出して貰えると嬉しいですね。

ーー本当に、単体で楽曲として聴いても女性が励まされるような楽曲ですよね。そしてキャラクターやストーリーと合わせて聴くと、涙が出てきます。

たかはし:そうですよね。私も励まされるし、無花果様のキャラクターを通して、皆様のことも励ましていけるような人間になりたいです。

ーー実際、歌ってみてどうでしたか? 難しかった部分や楽しかったところ、どのようにレコーディングは進んでいきましたか?

たかはし:私は元々ブラックミュージックが好きで、90年代のソウルミュージックやR&B、2000年代前半のヒップホップやダンスホールレゲエを好んで聴いています。キャラクターソングでまさかこのジャンルの曲を歌う日が来るとは思ってもいなかったのでびっくりしました。当然ながら……聴くのと歌うのとでは、話は別で。ブラックミュージックが好きだからと言って、ラップやR&B系の歌が上手いというわけでもないんですよね(笑)。我々声優の仕事も同じで、アニメが好きだからと言って決して声優になれるわけではありませんから。ありがたいことに、大門弥生さんご本人が仮歌を作成してくださったので、その歌声やラップをものすごく聴き込んで、目を瞑っても歌えるくらい、たくさん聴いて頭の中に刷り込んでレコーディングに臨みましたね。

 前作の「Femme Fatale」の時もそうですが、無花果様の特徴として、巻き舌や語尾を上げるニュアンスがあって……それが難しく、今回もめちゃくちゃ練習しました。他のキャラクターソングでは、まずやったことがありません。そもそも、キャラクターソングにブラックミュージック系の曲は少ないし、やるとしてもロック系な感じの音楽かなと思います。「No Pain, Not to be Strong」は、普段から耳馴染みのあるレゲエ系の曲なので、リズムのとり方やピッチ感がしっくりきていたのが救いでしたね。長年の趣味がここにきて活かされるとは(笑)。本当に良かったです。

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