サヘル・ローズ、“心の安定剤”として欠かせないBUCK-TICKへの想い 進化し続ける楽曲を世界中に届けたい理由

支援活動を通して実感した「NO MUSIC, NO LIFE」の意味

ーーサヘルさんは幼い時に国を出られたとおっしゃっていましたが……。

サヘル:今も定期的に養母と共に帰ったり、撮影で戻ることもあります。私の血のつながりがある親戚はいませんが、支援し続けている方々のために。パスポート上の国籍はイランなんですが、ふとした時、それが必ずしも自分の居場所ではないと感じるんです。みんな、「自分の国ってどこなんだろう」と悩んでしまったことはありませんか。居場所が見つからない、定まらないーーそういう方々が世界中にはたくさんいると思うんですよ。そんな時、目を閉じれば、まぶたの裏側が自分の居場所。自分が会いにいきたいと思う人がいる場所こそ、自分の故郷になると思っています。

ーーイランでは公共の場でポピュラーミュージックを流すことが好ましくないとされていて、国のお墨付きがないと演奏することも許されないとか。

サヘル:そうなんです。でも、イラン革命前までは、歌うことは女性でも男性でも自由でした。音楽は心の本音や時代の風潮を託すものだと思います。しかしイランに限らず、様々な独裁と言われる国では、奏でることさえも自由ではない。イランでは事前に歌詞を政府に提出し、許可が下りたものが作品として生まれてきます。でも、音楽を自由に楽しめないなんて、間違ったルールだと私は思っているし、「NO MUSIC, NO LIFE」っていうのは単に洒落てる言葉ではなく、本当にそうだと思います。

 話がちょっと逸れますが、支援活動を続けていく中で、尊敬するギタリストのSUGIZOさん(LUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARSほか)も同じ意志を持って活動されています。ご自身のバイオリンとギターを持ち、難民となってしまった方々のために音楽を奏でていらっしゃいます。国を追われた方々にとって音楽は潤い。音楽によって人々の表情が一気に変わるんです。実際に私も活動で訪れる国々で日本語の歌を歌うことがあります。すると、そのお礼に自分たちの音楽で感謝を表現してくれます。そうやって言葉がわからなくても音楽でキャッチボールが生まれるので……そう、リズムというのは、会話だと思うんです。

ーーサヘルさんは日本語で何を歌われたんですか。

サヘル:坂本九さんの「SUKIYAKI」(上を向いて歩こう)です。一番伝わるかなと思っています。あと、「蛍の光」なども。さすがに「月世界」を歌うのは私の歌唱力では無理です(笑)。今度は支援でイラクに再度行くのですが、その時に「JUPITER」などを現地の言葉に変えて聴かせてあげたいです。私自身がBUCK-TICKさんの曲を聴いた時、涙が溢れ出てきたからこそ、言語を超えた力のある曲をいつか私が翻訳し、まずはイランでも聴いてほしいと思います。

ーー音楽の力をそのような場で感じられているのはすごい経験ですね。

サヘル:大昔のようにシルクロードを通っていろんな文化が交差していけたら面白いですよね。BUCK-TICKさんの音楽もそういうところに、旅立って行けると思います。ヨーロッパはもちろんですが、中東でも絶対に求められる音楽だと個人的には思います。その場合は、私がコーディネートして現地と繋げたいほどです。

ーーグローバルに活動してほしいですよね。ようやくコロナ禍も収束に向かって、動きやすくなっていますし。

サヘル:コロナ禍で、エンターテインメントって必要ないかのような話題が出てきた時、それが一番怖かったんです。それによって、表現者、音楽家の方々の心が殺されたと思うんです。ご飯を食べれば人間は生きていけますが、エンターテインメントがなくなったら私たちの心は死んでしまいます。異国の音楽の力で、目を輝かせている人たちと触れ合ったからこそ、音楽も映画もアートも、どんなことがあってもなくならない、ずっと残っていくもの、残していくものだと思います。それがあるからこそ、アーティストの方々は100年先、200年先でも残るものを作ろうとしています。私もそういう気持ちで、自分が関わった作品がずっと残っていき、誰かが観たり聴いたりしてくれた時、自分の表現が相手の感情にとってプラスになればいいと思います。

「BUCK-TICKさんの前ではMになってしまいます(笑)」

ーーBUCK-TICKも昨年デビュー35周年を迎えましたが、初期の曲は今も愛され続けていますよね。

サヘル:そうですね。「月世界」もだいぶ前の曲ではありますが、私が最初に聴いた時みたいに、今も闇の中で孤独を感じている10代の子が救われているかもしれない……私、BUCK-TICKさんのライブに行ったことがないと話しましたけど、もしかするとそれは、ずっと一人で聴いていたからかもしれないです。ライブで聴くより、一人で聴いて自分自身の中で楽曲を噛み締めたいのです。映画もそうなので。けど、その分、CDを必ず買うようにしています。アルバムのアートワーク、一つひとつに心が込められていると思いますし、ブックレットの小さな文字を頑張って読んだり、たまにディスクを間違えて別のケースに入れてしまったりとかもあります。

 また、デジタルではない方が視覚で記憶に残りませんか。親の本棚を見ることで、「親はこんなことを考えていたんだ」って見つけられることがありますし、もし私に子どもがいたら、自分が何を読んで何を聴いて生きてきたのか、残してあげたいと思うかもしれません。

ーーサヘルさんは読書家でもいらっしゃるようですが、日頃どんな本を読みますか?

サヘル:最近ですと(イマヌエル・)カントです。BUCK-TICKさんも哲学だと思うので、櫻井さんも哲学の本がお好きなんじゃないかと妄想しています。言葉の紡ぎ方には私もいい影響を受けていて。一方で、美術や舞台の装飾などは今井さんの世界観を強く感じています。

ーー他にBUCK-TICKというバンドにはどんな魅力を感じていらっしゃいますか?

サヘル:一つのバンドに今井さんと星野さんという、2人の作曲家がいらっしゃること、それはとても強いですよね。聴いている曲が、まさか同じバンドのものとは思えない時があります。いい意味で個性のぶつかり合い、それが十二単とかミルクレープみたいにうまく重なっている。それがここまで続いた秘訣なのかもしれないです。いろんな問題が生じてもやり続けていくのは決して簡単ではなくて、立ち止まることが多いと思うんですが、BUCK-TICKさんは常に進化し続けて、どの曲を聴いても新しい感動をもらっている。その一方で変わらない側面もあって。櫻井さんは今57歳ですよね。どうしてあんなに若々しくて変わらないんでしょうか。

ーー本当にみなさんお変わりないですよね。そしてBUCK-TICKのニューアルバム『異空 -IZORA-』が4月にリリースされますが、今後の彼らに期待したいことはありますか?

サヘル:私、ファンの中ではまだまだ新入りですが、自分は“BUCK-TICK信者”だと勝手に思っています。だからBUCK-TICKさんには、そのまま自由に、今まで通りやっていってほしい。なぜかというと、どれだけ更新して、変化しても、期待外れだったことが一度もないんです。なので「どこまでもついていきます」という気持ちです。私、どちらかというとSなんですが、BUCK-TICKさんの前ではMになってしまいます。何をされても大丈夫です(笑)。他のバンドさんは、ファンの皆様が厳しいなと思うケースがあって、新曲が出ると「求めてるのはこれじゃない」と、厳しいことをおっしゃるファンの方々もいます。けど、BUCK-TICKさんのファンの皆様は温かい。絶対に大丈夫という安心感と、また新しいものを見せてくれるというワクワクをもって、4月の新作も楽しみにしています。

■テレビ出演情報
『MUSIC STATION』(テレビ朝日系)
4月7日(金)20:00~21:48
https://www.tv-asahi.co.jp/music/

■最新リリース情報
ニューアルバム『異空 -IZORA-』
2023年4月12日(水)発売

完全生産限定盤A(SHM-CD+Blu-ray):¥6,050(税込)
完全生産限定盤B(SHM-CD+DVD):¥5,500(税込)
通常盤(SHM-CD):¥3,300(税込)
完全生産限定アナログ盤(2枚組):¥5,500(税込)
完全生産限定カセットテープ:¥3,080(税込)

<収録曲>
1. QUANTUM Ⅰ
作曲:今井寿
2. SCARECROW
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
3. ワルキューレの騎行
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
4. さよならシェルター destroy and regenerate-Mix
作詞:櫻井敦司  作曲:星野英彦
5. 愛のハレム
作詞:櫻井敦司  作曲:星野英彦
6. Campanella 花束を君に
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
7. THE FALLING DOWN
作詞:今井寿   作曲:今井寿
8. 太陽とイカロス
作詞:櫻井敦司  作曲:星野英彦
9. Boogie Woogie
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
10. 無限 LOOP -IZORA-
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
11. 野良猫ブルー
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
12. ヒズミ
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
13. 名も無きわたし
作詞:櫻井敦司  作曲:今井寿
14. QUANTUM Ⅱ
作曲:今井寿

<VICTOR ONLINE STORE数量限定商品>
VICTOR ONLINE STORE数量限定セット(完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ):¥9,900(税込)
VICTOR ONLINE STORE数量限定セット(完全生産限定盤B+オリジナルTシャツ):¥9,350(税込)
VICTOR ONLINE STORE数量限定セット(通常盤+オリジナルTシャツ):¥7,150(税込)

<ファンクラブ限定商品>
ファンクラブ(FISH TANK)数量限定セット(完全生産限定盤A+オリジナルキャンバス保冷トート):¥9,900(税込)
ファンクラブ(FISH TANK)数量限定セット(完全生産限定盤B+オリジナルキャンバス保冷トート):¥9,350(税込)
ファンクラブ(FISH TANK)数量限定セット(通常盤+オリジナルキャンバス保冷トート):¥7,150(税込)

<Blu-ray/DVD収録内容>
「太陽とイカロス」MUSIC VIDEO
「無限 LOOP」MUSIC VIDEO
・オリジナルアルバムCDにボーナスディスクが付属したスペシャルパッケージ仕様
・すべてのCDプレーヤーで再生できる高品質CD「SHM-CD」を採用
・ボーナスディスクには映像コンテンツを収録したディスク(Blu-ray/DVD)を付属
・シングル、アルバム3作購入者対象応募シリアルナンバー封入
・SHM-CD / Blu-ray(DVD)の収録内容をスマホで簡単再生できるプレイパス®対応

<通常盤(SHM-CD)>
・オリジナルアルバムCD
・すべてのCDプレーヤーで再生できる高品質CD「SHM-CD」を採用
・シングル、アルバム3作購入者対象応募シリアルナンバー封入
・SHM-CDの収録内容をスマホで簡単再生できるプレイパス®対応

<完全生産限定アナログ盤(2枚組)>
・オリジナルアルバム全2枚組LP、180g重量盤
・ホワイト・ヴァイナル仕様
・オリジナルポスター封入
・シングル、アルバム3作購入者対象応募シリアルナンバー封入
・アナログレコードの収録内容をスマホで簡単再生できるプレイパス®対応

<完全生産限定カセットテープ>
・シングル、アルバム3作購入者対象応募シリアルナンバー封入
・カセットテープの収録内容をスマホで簡単再生できるプレイパス®対応

<VICTOR ONLINE STORE数量限定商品>
VICTOR ONLINE STORE数量限定セット予約受付

<ファンクラブ限定商品>
ファンクラブ(FISH TANK)数量限定セット予約受付

▼予約はこちら
・完全生産限定盤A(SHM-CD+Blu-ray)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-2169.html
・完全生産限定盤B(SHM-CD+DVD)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIZL-2170.html
・通常盤(SHM-CD)
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VICL-70274.html
・完全生産限定アナログ盤(2枚組) 
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VIJL-60287.html
・完全生産限定カセットテープ
https://www.jvcmusic.co.jp/-/Linkall/VITL-65546.html

・VICTOR ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ)
https://victor-store.jp/item/36328
・VICTOR ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤B+オリジナルTシャツ)
https://victor-store.jp/item/36329
・VICTOR ONLINE STORE限定セット(通常盤+オリジナルTシャツ)
https://victor-store.jp/item/36330

■BUCK-TICK リリース情報
●第一弾シングル『太陽とイカロス』
発売日:2023年3月8日(水)
価格:¥1,320(税込)
<収録曲>
1. 太陽とイカロス(作詞:櫻井敦司/作曲:星野英彦)
2. 名も無きわたし -花鳥風月REMIX-(作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿)Remixed by YOW-ROW (GARI)

●第二弾シングル『無限 LOOP』
発売日:2023年3月22日(水)
価格:¥1,320(税込)
<収録曲>
1. 無限 LOOP(作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿)
2. 無限 LOOP -LEAP-(作詞:櫻井敦司/作曲:今井寿)

■ライブ情報
『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』
4月19日(水)東京:J:COMホール八王子 OPEN 17:30  START 18:30
4月23日(日)栃木:宇都宮市文化会館 大ホール OPEN 17:00  START 18:00
5月13日(土)香川:観音寺市民会館 大ホール OPEN 17:00  START 18:00
5月14日(日)岡山:倉敷市民会館 OPEN 17:00  START 18:00
5月20日(土)京都:ロームシアター京都 メインホール OPEN 17:00  START 18:00
5月21日(日)兵庫:神戸国際会館こくさいホール OPEN 17:00  START 18:00
5月27日(土)神奈川:パシフィコ横浜 国立大ホール OPEN 17:00  START 18:00
6月3日(土)愛知:日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧:名古屋市民会館)OPEN 17:00  START 18:00
6月10日(土)石川:本多の森ホール OPEN 17:00  START 18:00
6月11日(日)長野:長野市芸術館メインホール OPEN 17:00  START 18:00
6月17(土)大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)OPEN 17:00  START 18:00
6月18(日)大阪:オリックス劇場(旧:大阪厚生年金会館)OPEN 17:00  START 18:00
6月24(土)広島:上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)OPEN 17:00  START 18:00
6月25(日)福岡:福岡サンパレスホテル&ホール OPEN 17:00  START 18:00
7月1(土)北海道:札幌カナモトホール(札幌市民ホール)OPEN 17:00  START 18:00
7月9(日)宮城:仙台サンプラザホール OPEN 17:00  START 18:00
7月15(土)群馬:高崎芸術劇場 大劇場 OPEN 17:00  START 18:00
7月17(月・祝)静岡:静岡市民文化会館 大ホール OPEN 17:00  START 18:00
7月22(土)東京:東京ガーデンシアター OPEN 17:00  START 18:00
7月23(日)東京:東京ガーデンシアター OPEN 17:00  START 18:00

前売りチケット¥9,900(税込)
一般発売:2023年3月25日(土)10:00〜

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