ビートボックスバトルが熱い! 世界大会の前哨戦『BEATCITY JAPAN』で体感した現場で味わう興奮

『BEATCITY JAPAN』振り返る

 さあ、いよいよ『GBB2023』出場をかけた天下分け目のバトルが始まる。RUSYとMOMIMARU、ふたりの表情からは緊張が伝わるが、まずはMOMIMARUがフィルタを再現した技巧を聴かせつつ、身振り手振りで挑発。それにRUSYは「近いっすよ先輩」と冷静に応対しつつ持ち味のベースを轟かす。それにも関わらず「先輩の方を見なきゃダメでしょ」と再度オラオラに詰め寄るMOMIMARUだが、自身の出音はクリーンなところが興味深い。最後はRUSYが本戦で一番遅いビートを最後に提示して最終戦のマイクは置かれた。

 NaPoMが勝者として手を取ったのはMOMIMARU。「悔しい涙が多かったですが、勝って泣くのは5年ぶりです。今年が最後の挑戦なので『GBB』も頑張りたいです」と感極まる。NaPoMは「とにかくレベルの高いバトルでした。ビートをダイレクトに感じられたのが素晴らしく、今日この場に来られたことを誇りに思います」とコメント。

 バトル後は健闘を見せたKAJIとRUSYにKoheyを加えたグループ・SARUKANIがライブを披露。本来なら『GBB』ループステーション部門における活躍でも知られるSO-SOもメンバーだが、今回はVTR出演のみだった。スキルを活かしながらも、バトルとはまた違う魅せ方で会場を盛り上げ、さらなる熱気が立ち込めた。

 そして、この日はNaPoMのショウケースで締め。ハウスやテクノ、ヒップホップなど多様なグルーヴやフィール、さらに歌やユニークな音も含めて驚嘆としかいいようがない。中盤からはKenny Urbanも合流したデュオ・パフォーマンスとなり、会場の熱狂は最高潮。歓声も飛び交い、このような熱気がポストコロナ期の音楽シーンに波及していってほしいところ。

 

 こうして『BEATCITY JAPAN supported by SWISSBEATBOX』はエンディングを迎えた。健闘したビートボクサーたち、そしてゲストの面々にはリスペクトしかない。そして来たるAI時代、ヒューマンビートボックスはツールを伴わない人力音楽表現の最右翼となるのではないだろうか。世界の強者たちが集まる10月の『Grand Beatbox Battle 2023』に強く期待するに足る時間だった。

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