常田大希×井口理、二人の信頼関係がKing Gnuに与える影響 幼馴染から仲間になるまでの足跡を辿る

 そもそもKing Gnuにおいても、結成当初はバンドにおける常田の比重は強かったし、常田は楽器を弾く“プレイヤー”でありながら、どことなく楽器隊に指示を行う“指揮者”のような存在でもあった。しかし、King Gnuが活動を続けていく中で、少しずつバンドの関係が変わっていくことになる。特に、井口の存在感は大きな変化を迎えることになる。実際、「白日」の歌い出しとなる、井口の美しくて聴きやすいハイトーンボイスに魅了されて、King Gnuのファンになった人も多いと思うし、時にひょうきんに時にマイペースにパフォーマンスを行う井口のキャラクターに魅了された人も多いと思う。つまり、活動を重ねる中でバンドにおける井口の存在感は強くなり、King GnuはよりWフロントとしての色合いが強くなった。

 これは単に井口がボーカルとしての技術を磨いたから……というだけでなく、活動を続ける中で、井口と常田の絆が強くなっていった部分も大きいと思う。最初は常田が指揮するよう動いていたが、いつしか自律的に動くようになっていたし、そうした動きが増えてきたのは二人に確固たる信頼関係が育まれたからこそであるように思う。現在バンドと役者の活動も並行する井口は、そんな信頼関係を示すひとつの状況とも言えるのではないだろうか。

 また、常田がKing Gnuとして生み出す楽曲の多くは、井口がボーカルを取ることで真価を発揮するものも少なくない。これは、井口のパフォーマンスを常田が信頼しているからこそである。「白日」のようなボーカル力が試されるような楽曲が生まれたのもその現れである。そして、“井口が歌う”という軸がしっかりしているからこそ、「一途」のように井口と常田のボーカルが分かれる場合、そのコントラストがより明白かつ迫力あるものになっているように思う。

 独特の関係の中で、お互いに絆を育んだからこそ、King Gnuとして不動の地位を築き、バンドシーンひいては音楽シーン全体をみても、大きなインパクトを与える存在になっていった。常田と井口の今の姿をみると、改めてそのように思うのである。

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