来日間近のMegadeth、マーティ・フリードマンとの再共演を見逃せない理由 メタル史を切り拓いたギターソロ誕生秘話

 Megadeth時代のマーティと言えば、Jackson Kellyを使用していたことが印象的であるが、本人が語った『Rust In Peace』とJackson Kellyにまつわる興味深いエピソードを紹介したい。

「僕はハワイに住んでいる10代のときに、初めてJacksonのKellyを購入したんだ。『The Natives Are Restless』(Hawaii)のアルバムカバーにも映っていて、このようなクオリティのギターを買ったのは初めてだった。当時、他のブランドとエンドースメント契約をしていたんだけど、スタジオのモニタースピーカーは騙せないから、レコーディングのときにはJacksonのKellyをたくさん使用していた。Cacophonyが解散してから、僕はサンフランシスコで一文無しになっていた。だからそのJackson Kellyを地元のギタリストに600ドルで売ったんだ。かなり安く売ったことはわかっていたけど、お金が必要で、自分が持っているもので価値があるものはそのギターだけだった。

 それから1年も経たないうちに僕はロサンゼルスに引っ越し、運が回ってきてMegadethに加入するまで、色んな人のソファで寝泊まりする生活を送っていた。加入してからすぐにプリプロを開始し、『Rust In Peace』のレコーディングを開始することになった。でも以前のエンドースメント契約でもらったギターでは、当時勢いに乗っていたMegadethで狙っていたタイトでアグレッシブなサウンドが出せないことに気がついた。最適なギターをすぐにゲットする必要があった。僕にとっての唯一のチャンスは、サンフランシスコで手放したあのJackson Kellyを取り戻すことだった。

 僕はKellyを売った地元のギタリストに連絡をし、なけなしのお金と、当時持っていたギターを渡して、Kellyを返してくれないか懇願した。彼に渡したギターは悪くなかったけど、Jacksonではなかったし、真っ黄色だった。彼は嬉しくなさそうだったけど、『Rust In Peace』のレコーディングにギリギリ間に合うように、渋々Kellyを送ってくれた。『Rust In Peace』のレコーディングでは、このギターしか使用しなかった。数カ月後、Jacksonが僕のシグネチャーモデルのKelly(KE-1)をリリースした。Kellyを受け渡してくれたそのギタリストには何も言わず、新品のJackson KE-1とアクセサリーを全部プレゼントしたんだ。しばらくして彼から手紙が届いた。このように書かれていた。

 『このギターをくれて感謝しきれないよ。君が売ってくれたあのKellyは、僕が持っていたなかで一番良いギターだった。Kellyを黄色いギターと交換したと知った僕のバンドメンバーたちは、頻繁に僕をバカにしてきた。最悪だったし、正直あまり良い気分ではなかった。メンバーたちは、君のことを気味の悪い奴だと思っていた。でもこの新しいギターを見て、音を聴いたとき、みんな考えが変わったよ。このギターの素晴らしさに驚いたし、何かしらの形で君の手助けができただけで嬉しいよ』

 彼には本当に助けられたよ。『Rust In Peace』で使用したそのKellyは東日本大震災の義援金を集めるためのオークションで手放して、僕のWEB管理者のMayzanが落札して弾き倒しているよ」(※3)

 来たるMegadethの武道館公演で、どのような形で共演するのかは明かされていないが、『Rust In Peace』の楽曲、特に「Tornado of Souls」のギターソロを披露する可能性は高いだろう。

(※1、筆者訳)https://megadeth.com/news/2023/megadeth-to-reunite-with-marty-friedman-in-budokan/
(※2、筆者訳)https://youtu.be/Yvz1vxwLJrs
(※3、筆者訳)https://www.instagram.com/p/CdySviqOIWZ/

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