BLUE ENCOUNT、辻村勇太の渡米で迎える大きな転換期 観客とともに作り出した6年ぶり武道館ワンマン

 変わっていくこととは何だろうと考えてみる。人によってはワクワクするものだろうし、人によっては恐怖に感じるものかもしれない。そこで思うのは、私たちは生きている以上、変わることを避けては通れないということだ。自分が願ってのことにしろ、周りから影響されてのことにしろ、生きている中で私たちは変わっていくタイミングがきっとある。

 BLUE ENCOUNT(以下、ブルエン)もまた、大きな転換期を迎えている。昨年6月、メンバーの辻村勇太(Ba)が2023年春より活動拠点をアメリカに移すことが発表された。これまで通りブルエンのメンバーとして楽曲制作、レコーディングは続けるが、ライブは当面の間サポートメンバーを入れて行う形になる。昨年10月から全国9カ所で開催した『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 〜knockin' on the new door〜』は、辻村が渡米する前の最後のワンマンツアーだ。

写真=ハマノカズシ

 2月11日、ツアーファイナルとして彼らが選んだステージは日本武道館だった。ワンマンライブとしては、2016年10月9日の初のワンマン武道館公演『LIVER'S 武道館』以来およそ6年ぶり。勝手ながら「前回のライブを超える」とか、「4人の姿を見届けてほしい」といった想いを込めて行われるものだと、ライブを観るまでは思っていた。おそらくそんな気持ちもゼロではなかったと思うが、1曲目に「アンコール」が演奏された時、予想が少し外れていたことに気づく。〈“これからもあなたと歌いたい”〉の歌詞が表す通り、この日のステージは、あくまで観客と一緒に作り出すことに重きを置いていたように思えた。

写真=ハマノカズシ

 前半戦は「Survivor」「ポラリス」「DAY×DAY」とキラーチューンが続けざまに披露され、観客は拳を突き上げたり、飛び跳ねたり、手を叩いたりして4人の熱量に応える。その熱をまた返すように、江口雄也(Gt)や辻村がステージの端まで駆けて行ってプレイし、高村佳秀(Dr)も胸に響く力強いドラムで応戦する。1つの区切りを意識した悲しさや寂しさはなく、今日というお祭りを楽しむ光景がそこにあった。

 中盤では彼らがお世話になったライブハウスやスタジオ、母校である熊本高等専門学校の映像が流れた後、売れるまでの葛藤を綴った楽曲「city」を披露。曲中で〈武道館でワンマンやりたい〉と歌っている通り、ブルエンにとって日本武道館はきっと大切な場所だ。なお、歌唱前の映像で使われたBGMは辻村が手掛けたものだという。MCではそこから最近の制作の話題になり、田邊駿一(Vo/Gt)いわく「今は一人ひとりが作曲家みたいになっている」そうだ。今まで多くの楽曲を田邊が手掛けてきたブルエンにとって、これもまた1つの変化と言えるだろう。

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