神はサイコロを振らない、オーディエンスの“声”に感涙 試練を乗り越えて辿り着いたドラマティックなステージ
オリエンタルなメロディが特徴のミディアムバラード「REM」をしっとりと歌い上げたところで、大阪出身のシンガーソングライター・asmiがステージに登場。「Monthly Winter Release“冬の大三角形”」第二弾楽曲の、「朝靄に溶ける」でコラボレーションを行った彼女との一夜限りの共演がついに実現する。
「今度はいつやるか分からない、だいぶレアな機会なのでみんな思いっきり目と耳に焼きつけて帰ってくださいね」と柳田。恋人との別離がテーマだが、どこか清々しさをも感じさせるメロディを情感たっぷりに2人が歌い上げると、フロアからは大きな拍手が湧き上がった。
「asmiちゃんとのコラボで平和な気分になったところで、もう一曲平和な曲を」と言って演奏したのは「目蓋」。〈ただ一人君だけには 幸せと言う名のピースで 人生のパズルを埋めて欲しいんだ〉〈君の為に 僕は生きて 僕の為に 君は生きて 幸せもその反対も 半分こにできるなら〉と歌う、切なく優しいラブソングが心の琴線をそっと揺らす。さらにバラード曲「徒夢の中で」を、ブルーの照明の下で披露。この曲のエンディングでは、吉田と柳田によるシューゲイズなギターオーケストレーションが会場に降り注いだ。
ライブ後半はアッパーな楽曲を畳み掛ける。The Chemical BrothersやThe Prodigyなど、1990年代後半のデジタルロックを彷彿とさせる「解放宣言」を演奏した後、「セクシーな曲いくぜ!」という柳田の掛け声とともに披露したのは「桃色の絶対領域」(柳田によるSexy Zoneへの提供曲)と「愛のけだもの」(神はサイコロを振らない × キタニタツヤ)。とりわけピンクの照明の下で演奏した「桃色の絶対領域」は、バキバキのホーンセクションとケレン味たっぷりのメロディ、しゃくり上げるような柳田のボーカルが、歌謡テイスト多めのJ-Popを彷彿とさせる。UKロックからJ-POPまで取り込む無尽蔵な音楽性は、神サイの大きな魅力の一つだ。
「いくつになってもキラキラしていていい」という、柳田のポジティブな側面が炸裂した「キラキラ」、おびただしい光の線が飛び交う中、高揚感たっぷりに演奏した「クロノグラフ彗星」、そして柳田が「生きてくれて、出会ってくれてありがとう!」と叫び、「Monthly Winter Release“冬の大三角形”」の第三楽曲「夜間飛行」を披露。〈無限じゃないから儚くて/終わりがあるから大切で〉というフレーズが心に響く。「illumination」のシンガロング部分を、自然発生的に歌い始めたオーディエンスのアンコールに応え、再びステージに現れた4人は神サイの中でも一際ストレートなロックナンバー「パーフェクト・ルーキーズ」を演奏し、「ずっとこの瞬間を思って作りました」と感極まった柳田が涙を堪えながら紹介した「illumination」で、この日のライブに幕を閉じた。
コロナ禍でメジャーデビューを果たし、いくつもの試練を乗り越えてきた神サイ。ようやく「声出し」も解禁となったこの日のライブは、ファンにとってもバンドにとっても忘れがたいものになったことは間違いないだろう。
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