miwa、「2月14日」で川崎鷹也とコラボした背景 “バレンタイン”を様々な視点で描いたEPを語る

 miwaが新作EP『バレンタインが今年もやってくる』をリリースした。

 タイトル通り、バレンタインをテーマにした本作には、川崎鷹也とのデュエットによる「2月14日 feat.川崎鷹也」、遠距離恋愛を描いた「一番会いたい人」、切ない恋愛感情を映し出したバラードナンバー「Love me」を収録。さらに「片想い」のアコースティックギターバージョンの「片想い〜A.Guitar ver.〜」が収められている。また初回生産限定盤には、昨年9月に行われたライブ『miwa special concert 2022 “REVIVAL”』の映像も。シンガーソングライターとしての多彩な魅力を体感できる本作の制作エピソードや、2023年の展望について聞いた。(森朋之)

川崎鷹也と歌って感じた新しさ

——EP『バレンタインが今年もやってくる』は、題名通り、バレンタインをコンセプトにした作品です。

miwa:2月にEPをリリースすることになって、「2月と言えば、バレンタインもあるね」みたいな話をしていて。そのときに「チョコを渡したい女の子とチョコをもらいたい男の子の気持ちを、両方の目線で歌ったらどうだろう」と思いついたんです。そういう形のバレンタインソングはあまりないし、面白いんじゃないかなって。

——その着想が「2月14日 feat.川崎鷹也」につながった、と。

miwa:そうですね。まず、どんな主人公にしようかなと考えて、学生のほうがいいだろうなって。同じ教室のなかで、チョコ作りについて話している女の子がいて、その様子を見ながら、「誰に渡すんだろうな。その相手が自分だったらいいのにな」と思っている男の子がいるっていう。ドキドキと不安が入り混じった気持ちを描きたかったんですよね。そうやってストーリーを作ってから曲にしていく作業も楽しいんですよ。応援歌とはまた違ったやりがいがあるというか。川崎鷹也さんにも、「私たちはもう大人ですけど、学生時代に戻ったつもりで歌ってもらえたら嬉しいです」とお伝えして。すごく乗り気になってくださってよかったです。

——川崎さんにオファーしたのはどうしてなんですか?

miwa:川崎さんとは『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)だったり、武部聡志さんがプロデュースされた山形のイベント(『TIMELESS SESSIONS in 山形 2022』)などでご一緒したことがあって。どちらの機会でもコラボさせていただいて、森山良子さんや岸谷香さんの楽曲などを一緒に歌いました。特に印象的だったのは、私の「don’t cry anymore」を二人で歌ったとき。一人で歌うときとは違う新しさを感じたんです。川崎さんと私のハーモニーの雰囲気もよかったし、バレンタインをテーマにした曲を一緒に歌うんだったら、川崎さんがいいなと思ってお願いしました。曲を作る段階から“二人でアコギを弾きながら歌う”というイメージもあって、それにもピッタリだったので。川崎さんは渋さも甘さもある声で、そしてギターもすごく上手なんですよね。

——なるほど。レコーディングはどうでした?

miwa:私が先に歌入れしたんですが、サビのパートは川崎さんの歌声を聴きながらレコーディングしました。そのほうがしっくり来るなと思ったし、一人で歌うときとは違う表現になったと思います。二人でアコギも弾いたんですけど、私のギターの弦が切れてしまって、川崎さんに張り替えていただきました(笑)。

——ミュージックビデオでは、miwaさんがお菓子作りをしている姿が映されています。実際にお菓子を作ったそうですね。

miwa『2月14日 feat.川崎鷹也』Music Video

miwa:私、学生時代に5年間、お菓子作りの部活に入っていて。その経験を初めて活かせました(笑)。こういう撮影って通常はフードコーディネイターの方が入ってくださると思うんですけど、今回は全部自分でやったんですよ。お菓子のメニューを決めて、買い出しに行って、あとはひたすらお菓子を作って。歌唱のテイクもありますが、そっちは少なめで、お菓子作りがメインですね(笑)。10年ぶりくらいに作ったんですけど、意外と忘れてないものだなって。素敵なMVになってよかったです。

——「2月14日 feat.川崎鷹也」、バレンタインの新しい定番曲になりそうですね。

miwa:そうなってくれたらいいですね。川崎さんも「今年のバレンタインをジャックしたい」って言ってくださいました。クリスマスソングに比べると圧倒的に数が少ないですけど、イベント自体は毎年盛り上がるじゃないですか。コロナ禍になってから、直接チョコレートを手渡すのが難しくなってたけど、今後はまた戻ってくるんじゃないかなって。そのときに「2月14日」を聴いてもらえたらうれしいです。カラオケで、好きな人と一緒に歌うのもいいかも(笑)。

——miwaさんの学生時代のバレンタインの思い出は?

miwa:私が学生の頃は、「友チョコ」って言葉が流行り始めた時期だったと思うんですよ。友達とチョコとかお菓子を交換するんですけど、私はクラスの女の子の人数分用意してたので、大変でしたね。デビューしてからも、お世話になっているみなさんにチョコを渡してました。

——カップリング曲についても聞かせてください。「一番会いたい人」「Love me」は、 ヒロイズムさん(her0ism/NEWS、Nissy、MISIAなどの楽曲を手がけるクリエイター)とのコライトですね。

miwa:去年、 ヒロイズムさんが私のライブを観に来てくださって。そのときに「バレンタインをテーマにしたEPを作ろうと思ってるんですよね」とお話しして、参加していただけることになりました。「一番会いたい人」で描いたのは、遠距離恋愛中のバレンタインですね。チョコレートを手渡すことはできない二人の気持ちを描いてみたくて。みんながみんな、バレンタインデーに一緒にいられる人ばかりではないと思うので。

——〈チョコレートは 雪みたい/あなたのもとへ 舞 い 降りたい〉の部分もそうですが、すごく切ない感情が伝わってきました。サウンドは高揚感のあるダンストラック。

miwa:そうなんですよ。これはもう、中山美穂さんのクリスマスソング「遠い街のどこかで…」に倣って。山下達郎さんの「クリスマス・イブ」もそうですが、サウンドはポップで明るいのに、歌詞が切ないというバランスってすごくいいなと思っていて。「一番会いたい人」も、バレンタインという楽しいイベントにピッタリなんだけど、切ない気持ちにも寄り添える曲にしたかったんですよね。ヒロイズムさんにもそのことをお伝えして、一緒に制作させていただきました。メロディで遊ぶこともできたし、複数で歌っているようなコーラスワークも入れることができて、気に入ってますね。

——「Love me」は、〈最後に泣くのは私でいいから/君だけは傷つけたくない〉という冒頭のフレーズからグッと掴まれるバラードナンバー。

miwa:この曲はバレンタインEPのために書いたというわけではなくて、以前からあった曲なんです。ざっくり言うと片思いの曲なんですが、バレンタインには片思いのイメージもあるので、ぴったりだなと思って。

——“チョコレートを渡して片思いの相手に告白する”というのもバレンタインデーならではですからね。

miwa:そうなんですよね。アレンジに関しては、とにかく王道のバラードにしたくて。あと、韓国ドラマの挿入歌のイメージもありました。韓国の恋愛ドラマで使われてる楽曲って、すごくいい曲が多いんですよ。

——韓国ドラマ、好きなんですか?

miwa:大好きです! 『ザ・グローリー』を見始めたいんですけど、いまちょっと忙しくて。2023年は気になる韓国ドラマが目白押しなので、楽しみが多くてワクワクしてます。

関連記事