claquepot「満点です!」 過去から現在、そして未来への姿を映し出す『the test』携えたツアーファイナル
アッパーなテンションから一転、どこか不穏で艶やかな「reflect」、切ない心情をドラマチックに描いた「finder」、ピンスポットライトが効果的にステージを彩った「flying」が続けられる。プロジェクト自体や様々な試みが注目されるclaquepotだが、ボーカリストとしての表現力ももちろん抜群で、「sweet spot」では感情を炸裂させ、MVを彷彿させるようなライトで照らされた「useless」では気怠げな雰囲気を纏ったラップも聴かせた。
「息つく暇さえ与えない」と言った通り、ここまで9曲ノンストップでその世界観に誘ってきたclaquepot。ようやく一息つくと、自身のこれまでの道のりを回想し始める。「10年以上前に会社に黙ってこっそり(楽曲のMVを)YouTubeに上げ、消し、上げ、消しを繰り返す日々。それを乗り越え配信、からのCD、そしてZepp。誰が想像しました? この光景! ……俺は想像してました」とニヤリ。自信を覗かせると、サングラスからメガネに“claquepot初の早着替え”をして、後半戦へと進んだ。
後半戦最初の曲はコロナ禍で作られた「hibi」。〈当たり前だった日々が/当たり前じゃなくなって/当たり障り無く過ごしていられなくなっていく〉という歌詞が印象的な同曲を、アコースティックの音色に乗せて静かに歌い上げる。続く「resume」ではフィルターマイクも駆使し、噛みつくようにパフォーマンス。キーボードの美しい旋律から始まる「tone」、原曲では田邊駿一(BLUE ENCOUNT)とコラボしている「silence feat. 田邊駿一 (BLUE ENCOUNT) 」、ユニークな言葉選びと緩やかなメッセージが印象的な「okashi」ではそれぞれ歌詞世界にあわせた柔らかな歌声で会場を包み込んだ。
フィルターマイクのボーカルで一気に空気を変えたのは「rwy」。シニカルな歌詞とひりついたサウンドで惹きつけ、サビでは観客にもジャンプさせる。〈早送りの街から抜け出して/沈む空で羽伸ばそう〉という歌詞に合わせて観客が“飛ぶ”光景には、思わず唸ってしまった。ここまで考えているとしたらclaquepot、おそるべし。そして「『the test』の1曲目に戻ってきました」との言葉から、「blue print feat. Novel Core」をシリアスに歌い上げ、アルバムの収録曲をすべて演奏。歌い上げたあとにはアルバムタイトルに合わせて「満点です!」と笑顔で本ツアーを採点してみせた。
満点を叩き出した『the test』だが、まだまだ終わらない。「追試やります?」」と観客に聞くと、大きな拍手を受けたclaquepotはサイネージを再びスワイプ。するとそこに、RUNG HYANG × claquepot × 向井太一によるEP『PARK』のジャケットが表示される。同時に表題曲「PARK」のイントロが始まり「これもclaquepotの大事な歴史の1ページだから。この曲をやるならこの2人がいないと!」と、向井太一とRUNG HYANGを呼び込む。お馴染みのメンバーが揃いさらに気を許した様子のclaquepotは、伸びやかにパフォーマンス。楽しげなムードが広がる中、3人はさらに「So Good」も披露し、観客を喜ばせた。
「これで2022年までの歴史は全部終えた」と話すclaquepot。「が、しかし。未来の話をしたいですね?」と言い、最後に未発表の新曲「blank」を披露する。披露前には同曲について、「press kit(資料)」「resume(履歴書)」「the test」といったこれまでの“書類シリーズ”になぞらえ、「今まで積み重ねてきたものを全部白紙にする、それくらいの気持ちで2023年はやっていく」という想いを込めたと説明。さらに「(テストや履歴書を)受ける側じゃなくて作る側になりたい」と言い、新たなことに挑戦する人を後押しできたらと話した。「頭の中が空っぽになって楽しめるくらいめちゃくちゃブチ上がる曲」だと付け加えると、〈白紙の解答用紙〉という、前作までのつながりも感じさせるサビから始まるハイテンションな新曲で最後まで駆け抜けた。アウトロでは演奏に負けじと声を張り上げ、「今年もclaquepotについてきてくれますか?」と尋ねたかと思えば「……って聞くまでもなくない?」と彼らしい自信に満ちた表情で、ワンマンライブを締めくくった。
なお、ツーマンツアー『claquepot crosspoint 2023』の開催も発表。さっそくclaquepotの白紙の未来に楽しみな予定が書き込まれた。
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